山脇啓造
日本における多文化共生社会の形成に関連するニュースを選びました。
2006年3月に「地域における多文化共生推進プラン」を策定した総務省が、それからの10年余りを振り返り、「多文化共生事例集-多文化共生推進プランから10年 共に拓く地域の未来」を作成しました。多文化共生に資する全国の優良な取り組みとして52事例をまとめたものです。
横浜市が「多文化共生まちづくり指針」を、名古屋市が「多文化共生推進プラン」を策定しました。横浜市は「外国人が認められ、活躍できる『機会を創りだす』」ことを、名古屋市は「すべての市民が...多様性を活かして活躍する」ことを目指しており、多文化共生2.0(多様性を活かしたまちづくり)の観点を打ち出しています。
大阪市は、ヘイトスピーチの抑止を目的とした全国唯一の条例に基づき、ヘイトスピーチと認定した動画3件について、サイト上の通称名である投稿者名をホームページで公表しました。個人情報保護や通信の秘密の観点から実名を特定せず、有識者審査会による答申を踏まえて投稿者名での公表を決めました。
政府の最も基本的な政策文書である「経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~」(骨太方針)の「外国人材の受入れ」の項目に、「高度外国人材を更に積極的に受け入れるため、・・・日本語教育の充実など生活面の環境整備・・・を進める」と記されました。
横浜市が、来日間もない外国人児童生徒やその保護者への支援のため、政令市初の日本語支援拠点施設「ひまわり」を開設し、日本語の初期集中指導プログラム(週3日で4週間)を始めました。2018年3月には、小学校入学直前の外国人の子どもと保護者を対象にガイダンスを行う予定です。
欧州評議会が進めるインターカルチュラル・シティ・プログラムに浜松市が加入しました。同プログラムは、2008年に始まったプログラムで、文化背景の異なる住民間の交流を進め、移民がもたらす多様性を活かした都市づくりを推進しています。現在、欧州を中心に約120都市が参加していますが、アジアの都市の参加は初めてです。
川崎市は、市立公園や公民館などの公的施設でのヘイトスピーチを事前規制するガイドラインを、全国に先駆けて策定しました。ガイドラインでは、公的施設の利用申請に際して、「不当な差別的言動の行われるおそれが客観的な事実に照らして具体的に認められる場合」、不許可などの措置を取れるとしています。2018年3月末からの施行を予定しています。
外国人住民の多い22都市が参加する外国人集住都市会議が、「多様性を活かした、活力ある地域社会を目指して―魅力のある雇用・生活環境の実現、日本語支援及び次世代育成を―」というテーマを掲げて、三重県津市で開催されました。会議の最後に、「生活や就労に必要な日本語学習機会を保障する制度の設立」を求める津宣言を採択しました。
東京都が、「東京で暮らす外国人と日本人が共に活躍し、安心して暮らせる『多文化共生社会』」の実現に向けて、「東京多文化フェス」を開催し、5000人近くが参加しました。都知事の挨拶の他、タレントによるトークショー、世界各国の食体験、各国の伝統芸能・音楽パフォーマンス、大学生のプレゼン、多文化共生関連団体のブース展示などが行われました。
多文化共生推進指針を2016年2月に策定した東京都が、「外国人と日本人がともに活躍するグローバル都市・東京」を目指して、多文化共生コーディネーター研修を始めました。12月と1月にあわせて4日間となるプログラムで、講義やグループワークのほか、フィールドワークも含まれています。約40名が受講しています。
経済産業省がダイバーシティ2.0検討会報告書を公開(3月)
経済産業省がダイバーシティ2.0検討会報告書「競争戦略としてのダイバーシティの実践に向けて」をとりまとめ、「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」を策定しました。ダイバーシティの必要性は浸透してきているが、持続的に経営上の効果を生み出せるダイバーシティへと、ステージアップが急務との問題意識に基づいています。