山脇啓造
今年も成人式がやってきました。式当日の1月8日に行方をくらませた横浜の振袖レンタル業者の問題で大騒ぎとなりましたが、多文化共生に関心をもつ者の間では、もう一つ話題になったニュースがありました。それは、NHKテレビが8日夕方に流した「東京23区の新成人 8人に1人が外国人」というニュースでした。NHKの調べによると、23区の新成人は8万3400人で、そのうち1万800人(約13%)が外国人だといいます。
23区の中では、新宿区が外国人の新成人が最も多く、およそ1790人で、新成人の約46%となっています。次いで豊島区が1200人で38%、中野区が860人で27%だったと報じられました。フジテレビも同様な報道を行っています。
これだけ外国人の新成人が多い背景には、近年、特に東京都では、日本語学校や専門学校で学ぶ外国人留学生が急増していることがあります。全国的に「留学」の在留資格を有する外国人が増え、2017年6月末現在、在留外国人の約12%を占めていますが、東京都では約20%となっています。
総務省の統計によれば、団塊の世代が新成人となった1968~1970年には、全国で約240万人が毎年成人式を迎えていました。総人口に占める割合は約2.4%でした。その後、新成人の数は減少を続けましたが、1979年に増加に転じました。しかし、1994年に207万人に達すると、再び減少を始め、今年は123万人で、総人口の約1.0%となりました。一方、今年の東京都の新成人は11万9000人 で、東京都の人口の約0.9%です。
全国の新成人の数は2010年代を通じてほぼ横ばいですが、この間、外国人の新成人が増えている分、日本人の新成人は減少していることを意味しており、今回のニュースはそうした少子化傾向を象徴するものと言えます。東京都の新成人の数もほぼ横ばいであり、人口減少時代に、全国から若い世代を引き寄せ、「一人勝ち」していると言われる東京都でさえ、例外ではないことを示唆するニュースとも言えます。
NHK NEWS WEB:東京23区で新しく成人した人 8人のうち1人が外国人