山脇啓造
東京都は2016年2月に「多様性を都市づくりに活かし、全ての都民が東京の発展に向けて参加・活躍でき、安心して暮らせる社会の実現」をめざした「東京都多文化共生推進指針」を策定しました。その中で、「外国人が地域の担い手として活躍できる環境をつくるためには、地域における外国人の多様なニーズなどにきめ細かく対応していく必要があります。そこで、都と国際交流委員会が主体となり、教育・医療・福祉・労働・防災等多岐にわたる分野の支援や様々な団体との連携を、区市町村等で包括的にコーディネートできる専門人材を、区市町村や国際交流協会などの職員を対象に育成していくことを掲げました。
この指針に基づき、東京都は都の地域国際化協会である東京都国際交流委員会を運営主体として、2017年12月7、14日と2018年1月11、28日の4日間、「多文化共生コーディネーター研修」を実施しました。初日の筆者による講義「多文化共生のこれまでとこれから」を皮切りに、「在留制度」、「平時の情報提供」、「緊急時の情報提供」、「生活支援・相談対応」、「教育」、「日本語教育」、「医療・保健・福祉」、「就職・起業」、「意識啓発」、「社会参画」に関する講義が続きました。3日目の午後には、受講者が3つのグループに分かれ、東京入国管理局、東京外国人雇用サービスセンター及び新宿外国人雇用支援・指導センター、多文化共生センター東京でのフィールドワークを行いました。それぞれのグループのネットワーキングやフィールドワークの引率は都内在勤の3名の多文化共生マネージャー(自治体国際化協会が認定する多文化共生の専門人材)が担当しました。そして最終日の午後に、それぞれの地域において受講生が今後どのような活動をしていきたいかを発表しました。
東京都では、東京都国際交流委員会の主催で、都内の国際交流協会や市民団体を対象にした研修会や国際化をテーマにした市民フォーラムが開かれてきましたが、多文化共生に関する体系的な研修プログラムが実施されるのは初めてのことで、多文化共生社会づくりに向けて大きな一歩を踏み出したといえます。