山脇啓造
日本における多文化共生社会の形成に関連するニュースを選びました。
世田谷区が、「多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」を制定しました。多文化共生と男女共同参画の両者を取り上げた条例は全国初であり、差別解消をめざした多文化共生の条例としても全国初となります。外国人や性的少数者への差別に関する苦情処理の仕組みを定めた全国初の条例としてメディアが大きく報道し、社会的関心を集めました。
安芸高田市が「多様な市民による持続可能なまちづくり」を基本理念とする第2次多文化共生推進プランを策定しました。基本目標は、「安心・安全に暮らし活躍できる地域づくり」と「移住・定住したくなる魅力的な地域づくり」です。外国人の移住・定住の促進に取り組むことを謳った全国初の多文化共生プランです。
政府の基本方針を定める今年度の骨太方針が、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる新たな在留資格「特定技能」の創設を打ち出しました。また、外国人の生活環境の整備を行うため、法務省が総合調整機能を持って司令塔的役割を果たし、「外国人が円滑に共生できるような社会」の実現に取り組んでいくことが示されました。
骨太方針と同時に閣議決定された地方創生の方針である「まち・ひと・しごと創生基本方針」において、「地方における外国人材の活用」が初めて打ち出されました。具体的には、在外の外国人材と自治体をマッチングさせる「外国人材による地方創生支援制度の創設」、「外国人留学修了者の専門人材としての積極活用」等が示されています。
「新たな外国人材の受入れ」及び「我が国で生活する外国人との共生社会の実現」に向けた環境整備について、政府一体となって総合的な検討を行うため、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議(議長・内閣官房長官)が開催され、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(検討の方向性)」が了承されました。
日本弁護士連合会が青森市で人権擁護大会を開き、「新しい外国人労働者受入れ制度を確立し、外国にルーツを持つ人々と共生する社会を構築することを求める宣言」を発表しました。外国人受入れについての基本方針を定める法律(仮称「多文化共生法」)を制定するとともに,これらの施策の実施を所管する省庁(仮称「多文化共生庁」)を設置することを求めています。
2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会を前に、「多様な性の理解の推進」と「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進」を謳った東京都の条例が制定されました。性的少数者(LGBT)の差別禁止と外国人等へのヘイトスピーチの規制を条例で定めたのは都道府県では初めてです。2019年4月に施行されます。
日本経済団体連合会が「外国人材の受入れに向けた基本的な考え方―深化するグローバル化への対応」を発表しました。「外国人との多文化共生社会の実現」に向けて、「受入れ側の意識改革と、日本語教育をはじめとする生活者としての外国人を支援する環境整備」の必要性を指摘し、「暮らしやすい地域社会づくり」や「外国人子女の教育の充実」、「労働環境の改善、社会保険の加入促進等」を掲げています。
外国人労働者受入れを拡大するために、新たな在留資格「特定技能」を設け、また法務省の入国管理局を出入国在留管理庁に拡充する出入国管理及び難民認定法と法務省設置法の一部を改正する法律案が可決成立しました。2019年4月から施行される予定です。参議院の付帯決議で「共生社会を実現する観点」が言及されました。
2018年7月に外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議で了承された「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策(検討の方向性)」に基づき、法務省の検討会での審議を経て、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」がとりまとめられました。「外国人との共生社会の実現に向けた環境整備」を推進します。