山脇啓造
外国人住民が多い15の市町でつくる外国人集住都市会議の首長会議「外国人集住都市会議おおた2018」が、2019年1月29日に群馬県太田市で開催されました。昨年の臨時国会で入管法が改正され、政府の「外国人材受け入れ・共生のための総合的対応策」が策定されてから、初めての自治体と国の対話の場となりました。
自治体側の参加者は、座長である清水聖義太田市長の他、村山俊明大泉町長、鈴木康友浜松市長、佐原光一豊橋市長、森智広四日市市長の5首長です。一方、国側の参加者は、法務省の佐々木聖子入国管理局長と菅野典子在留管理業務室長、総務省の風早正毅国際室長、厚生労働省の古館哲生外国人雇用対策課長、文部科学省の奈良哲国際課長と三好圭男女共同参画共生社会学習・安全課長、文化庁の髙橋憲一郎国語課長の7名です。会議の一番のサプライズは、今回の法改正の実質的な責任者だった佐々木局長の出席でした。
毛受敏弘日本国際交流センター執行理事が「外国人受入れ新政策-日本の未来への展望」と題した基調講演を行い、新政策の意義を述べた後、「新たな外国人材の受入れについて」と「外国人住民が多様性を活かし活躍できる環境の整備について~日本語教育を中心として~」をテーマとする2つのセッションが行われました。筆者がコーディネーターを務めました。
両セッションの討論では、今までの会議と比べ、どの省庁参加者からも、自治体に歩み寄る姿勢が伺えました。首長側も、省庁の事業の使い勝手の悪さや予算額の少なさを批判しながらも、総合的対応策を評価する発言もあり、国の施策を活用して、外国人住民の生活環境を改善しようとする姿勢が感じられました。
2つのセッション、そしてNPOの事例発表の後、「私たちは、外国人住民との共生に取り組んできた基礎自治体としての四半世紀にわたる経験を生かし、外国人を含むすべての住民が安心して暮らし、お互いを認め合い、多様性を生かし、誰もが活躍できる多文化共生社会の実現に向けた取り組みを力強く進めていく」ことを5首長が宣言して、会議は幕を閉じました。
筆者は、第二セッションの最後にコメントしたように、外国人集住都市会議には、設立以来、多文化共生に取り組んできた経験と知見があり、それを全国の自治体と共有することには大きな意義があると考えます。しかしながら、13市町でスタートした外国人集住都市会議は、2012年の29市町をピークに、その後減少を続け、現在15市町となっています。筆者は、2015年12月に浜松市で開かれた「外国人集住都市会議 浜松2015」で、「外国人集住都市会議の15年とこれから」と題した基調講演を行いました。その中で、「集住都市」以外にも多文化共生に取り組む自治体が全国に増えていることを踏まえ、外国人集住都市会議がそうした自治体との連携を進めることを唱え、あわせて名称も「多文化共生都市会議」とすることを提案しました。国が「外国人材・共生のための総合的対応策」をとりまとめた今こそ、多文化共生をめざした多様な都市の連携を進めることを期待したいと思います。