2020年4月23日に、欧州評議会のインターカルチュラルシティ・プログラムが主催するオンライン会議「Covid-19-インターカルチュラルシティにとっての課題と機会(Covid-19: Opportunities and Challenges for Intercultural Local Authorities)」が開かれました。会議は、ヨーロッパを中心に20を超える都市の代表や各国の都市ネットワークのコーディネーターが参加しました。同プログラムが会員都市を対象としたオンライン会議を開くのは初めてでした。用いたテレビ会議システムは、BlueJeansでした。
会議では、主催者側による会議テーマの趣旨説明の後、前半は、コロナ危機の中でインターカルチュラルシティの三つの基本理念(平等、多様性、相互交流)をどのように推進しているかについて、参加者からの報告がありました。参加者からは、ロックダウンや移民の現状、自治体やNGOの取り組み、特に多言語による情報提供の報告がありました。会議の後半は、ポスト・コロナのインターカルチュラル政策をテーマに、排外主義が台頭する中で、いかに多文化共生社会を築いたらよいか、意見交換が行われました。各国経済が大幅に縮小する中でダイバーシティの価値を問い直すことやヘイトスピーチ対策や反差別の取り組みを強化すること、デジタル技術を活用してインターカルチュラルなコミュニケーションを推進すること、社会的不平等を改善することなどが提起されました。
筆者は残念ながら同会議に参加できませんでしたが、会議の報告からオンラインによるコミュニケーションを積極的に活用している自治体とそうでない自治体に分かれていることがわかります。その点、日本の自治体は後者に属するといえるでしょう。一方、コロナ情報を移民に提供するために多言語化に取り組む自治体が多かったようですが、その点では、日本の自治体もかなり頑張っているといえるのではないでしょうか。
筆者は、この10年ほど、インターカルチュラルシティ・プログラム他、自治体のための国際会議に何回も参加してきましたが、日本の自治体が参加することは少ないといえます。日本の自治体が国際的な都市ネットワークにほとんど参加していない理由として、言語の問題(英語力の不足)と移動の問題(費用と時間)が大きかったと思われます。
コロナウィルス感染症がいつ収束するのかわかりませんが、オンラインの会議が「新常態」になりつつある今、日本の自治体にとっては、移動の問題が大きく軽減され、国際的な都市連携を進めるチャンスが来たとは言えないでしょうか。ちなみに、インターカルチュラルシティ・プログラムでは、その後、6月になって、公共空間や難民統合に関するオンライン会議も開いています。
同会議に関する情報を集めたサイト
https://www.coe.int/en/web/interculturalcities/-/online-meeting-covid-19-challenges-and-opportunities-fir-intercultural-local-authorities-