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Vol.154 敬老の日

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□■□      CLAIRメールマガジン vol.154(2016年9月16日)
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□                   ~ 敬老の日 ~

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                            T O P I C S               
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【記事】中国でも進む高齢化

【記事】お年寄りを支えるのは社会?家族?~シンガポールの高齢者福祉~

【記事】アメリカの敬老の日は「祖父母の日」

【記事】オーストラリアでの高齢者への敬意の表し方

【INFO】募集開始! "日本語パートナーズ"派遣事業

【INFO】「第2回海外経済セミナ-in大阪」の参加者募集中!!

【REPO】スタッフだより 世界が認める意外な価値!?  

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【記事】中国でも進む高齢化
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北京市では戸籍人口のうち60歳以上の高齢者が2015年末に約315万人となり、
全体の23.4%を占め、2030年には30%を超える見通しです。

人口急増を抑制するため1978年に導入された一人っ子政策は2016年1月に撤廃
されましたが、「先老未富」(豊かになる前に老いる、の意味)と言われるよ
うに急速な高齢化が社会問題となっており、高齢者に対する社会的扶養のニー
ズが高まっています。

一人っ子政策導入直後の1980年代は50~60歳代の子ども5人で両親を扶養すれ
ばよかったところ、現在は20~40歳代の子ども1人で両親を支えなければなら
ない状況にあります。

中国では夫婦共働きで祖父母が孫の世話や家事をするのが一般的です。日本以
上に子どもの養育に対する祖父母の参加度が高くなっており、わざわざ子ども
夫婦の家の近くに引っ越しをすることもありますし、家が離れていれば祖父を
家において祖母が子ども夫婦の家に住むこともあります。それでも、学校への
送迎、習い事への同行といった親の子どもの養育に対する負担が大きいため、
祖父母の介護が必要となれば、それまで協力してもらえていた子どもの養育と
家事、親の介護、これらの負担が一気にのしかかってきます。「孝行」という
伝統的道徳観・家族観から「子どもが親の世話をする」ことが当たり前であり、
一部の富裕層を除いて、自宅で家族が介護を行うのが一般的です。このため、
夫婦どちらかが離職して介護に当たるケースが多くなっています。

中国では国の制度として日本の介護保険に当たるものはなく、青島市や長春市
など一部の地方政府が独自に整備し、運営しているのみで、急速な高齢化に制
度が追いついていないのが現状です。高齢化に対して中国がどのような政策を
打ち出していくのか、引き続き注目していきたいと思います。

                     (北京事務所所長補佐 飯田)

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【記事】お年寄りを支えるのは社会?家族?~シンガポールの高齢者福祉~
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もうすぐ敬老の日。日本では少子高齢化による人口減少への対応が大きな社会
的課題になっていますが、ここ、シンガポールも少子高齢化の波が確実に押し
寄せています。しかし、同じように経済発展をしている2つの国ですが、高齢
者を支える政策や意識には違いが見えてきます。

(1)シンガポールの高齢者福祉政策
日本は高齢期を年金、医療保険や介護保険など様々な福祉政策で支えています。
一方で、シンガポールの福祉の考え方は「自助(individual responsibility)」、
「地域互助(community support)」、「政府による間接援助(Government 
subsidies help to keep basic healthcare affordable)」の3つの原則とさ
れており、高齢者自身も、まずは自分のことは自分で支えるという自助を基本
としています。その自助が困難な人は地域の福祉ボランティアによって支援し、
さらにそれも難しい場合には政府がボランティア団体等に財政的な援助をする
ことで間接的に援助をすることとなっています。

そのため、日本のような賦課方式の年金制度ではなく、中央積立基金(CPF)
に自分たちで積み立てる方式が採られています。また医療費も基本的にこの中
央積立基金(CPF)から支払っています。

(2)子供は親を支えるもの?
このように、自助の精神が強いシンガポールですが、多くの高齢者は家族のサ
ポートのもとに暮らしています。1995年には「両親扶養法(Maintenance of 
Parents Act)」という法律が制定されており、生計を立てることが困難な両
親を子供が扶養することが義務づけられています。

実は、中央積立基金(CPF)は年金や医療費としての役割だけでなく、住宅費
や教育費としても活用されるため、老後の資金として貯蓄されている額が少な
い場合もあり、子供のサポートがないと生活が難しいという一面もあるようで
す。

したがって、シンガポールは金銭面でも生活面でも子供や家族のサポートが欠
かせないものとなっています。

(3)日本とシンガポール、違いと共通点
長年社会を支えてきた高齢者を支援するという根本的な考えはどちらも変わり
ませんが、日本は高齢者を家族だけでなく社会全体で支える考え方であるのに
対して、シンガポールはより一層家族が支えるものととらえている点に違いが
見えてきます。

敬老の日をきっかけに身近な高齢者を大切にする気持ちを見直したいものです。

                 (シンガポール事務所所長補佐 中澤)

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【記事】アメリカの敬老の日は「祖父母の日」
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アメリカでは、母の日や父の日には花束を贈るなど盛大にお祝いが行われ、多
くの店でプレゼント用品のセールも開催されます。イベントも多く、今年の母
の日に開催されたヤンキースタジアムでのヤンキース対レッドソックス戦では、
選手のユニフォーム、バット、シューズ等がピンク色に変わりました。では、
アメリカでは日本の敬老の日に当たるような祖父母のお祝いの日はあるのでしょ
うか。

アメリカでは9月5日のレイバーデーの次の日の日曜日(今年は9月11日)が、
「National Grandparents Day(祖父母の日)」と定められています。1970年
にウエストバージニア州の一人の女性が、祖父母の日の設置運動を開始したこ
とに始まり、1973年にウェストバージニア州が初めて祖父母の日を定めました。
その5年後、1978年に、連邦議会で祖父母の日を定める法案が可決され、ジミ
ー・カーター大統領が祖父母を称える宣言を行いました。

毎年、大統領による「祖父母の日」の声明が発表されたり、地域によっては9
月の下旬頃に参観日として祖父母を招待する学校があったりしますが、あまり
大きなイベントは行われておらず、祖父母の日はよく知られていないのが実情
です。
愛情表現が豊かなアメリカ国民ですが、祖父母の日に大きなお祝いをしないの
はちょっと意外な感じもします。

一方、ニューヨークに本部が構えられている国連では、10月1日を「International 
Day of Older Persons (国際高齢者デー)」を定めています。高齢者の権利や
高齢者虐待撤廃などの意識向上を謳っており、日本でいう敬老の精神とは違っ
た意味合いの日となっています。

                 (ニューヨーク事務所所長補佐 会沢)

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【記事】オーストラリアでの高齢者への敬意の表し方
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オーストラリアでは日本と異なり国民の祝日とはされていませんが、ほとんど
の州で祖父母の日(Grandparents day)があり、非営利団体、コミュニティグ
ループ、スポーツクラブ、公立学校や図書館が若い世代と高齢者の交流を目的
とし、祖父母の日を記念したイベントを主催しています。ニューサウスウェー
ルズ州(以下「NSW州」という。)では、NSW高齢化対策協議会(The Council 
on the Ageing NSW)がイベント開催のための助成金を査定の上で交付しており、
交付決定を受けた団体は助成金$750(約60,000円)を受け取ることができます。
この助成金を活用して、生徒が祖父母を学校に招待し、一緒に学校で手工芸品
を製作するイベントなどが行われています。今年の祖父母の日はNSW州、クイー
ンズランド州ともに10月30日です。

このほか、毎年約10日間、各州で州政府主催の高齢者のための祭り(Seniors 
Festival)が開催されています。この祭りの目的は、高齢者が地域社会に貢献
してきたことへの感謝を示すもので、参加対象者は、年齢60歳以上の高齢者、
50歳以上のアボリジニなどの先住民、50歳以上の障がい者です。開催期間中は、
芸術・スポーツ・音楽・テクノロジー・健康・栄養・娯楽などに関する、様々
なイベントが行われます。

今年のSeniors Festivalは、NSW州では4月1日~10日に開催されました。テー
マは「若返り(Grow young)」で、高齢者が生き生きしていることの大切さに
ついて、祭りの大使が色とりどりのポップな洋服を着ることによって伝えてい
ました。

また、アボリジニのコミュニティでは、長老(elders)は非常に重要な存在と
して扱われます。長老の定義は、暦年齢ではなく、ライフステージや相対的な
成熟度によって決められるので、比較的若い年齢でも長老とみなされることが
あります。コミュニティにおいて、長老は、その文化の知識の豊富さ、リーダ
ーシップや決定権などにより非常に尊敬されます。

上記のように、オーストラリアでは、長寿をお祝いするイベントなどを通じ、
多文化社会を反映した形で、社会レベルで高齢者へ敬意を表しているのです。

                          (シドニー事務所)

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【INFO】募集開始! "日本語パートナーズ"派遣事業
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ASEAN諸国の学校等で、授業のアシスタントや日本文化の紹介を行う"日本語
パートナーズ" を募集しています。
       
アジアで多くを発見・吸収し、それを周囲へ、未来へ広げていくことに興味・
関心のある方のご応募をお待ちしています!


■募集期間:平成28年9月5日(月)から平成28年10月13日(木)

■お問い合わせ先
 独立行政法人国際交流基金アジアセンター日本語事業第2チーム
 TEL:03-5369-6136
  Eメール:< nihongopartners@jpf.go.jp >

■詳細はこちらからご覧ください
  < http://jfac.jp/partners >

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【INFO】「第2回海外経済セミナ-in大阪」の参加者募集中!!
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※7月に東京で好評を博したセミナーを大阪でも開催いたします!是非この機
会にご参加ください。	

地方自治体と民間企業の連携によるインバウンド観光需要拡大への取り組み事
例の紹介等、インバウンド対策を行ううえで必要な情報を提供するため、平成
28年度第2回海外経済セミナーを開催します。

日時:平成28年10月28日(金)13:00~

場所:大阪駅前第3ビル17階TOG貸会議室

内容:自治体・民間企業連携のインバウンド取り組み取組成功事例の紹介

※詳しくはHPをご覧ください。
 〈 https://www.clair.or.jp/j/economy/3/page-1.html 〉

■お問い合わせ 経済交流課
 Tel:03-5213-1726 Mail:〈 keishin@clair.or.jp 〉
              
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【REPO】スタッフだより 世界が認める意外な価値!?         
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秋になりました。
「越前おろしそば」が有名な福井では、10月末頃から香り高い新そばを味わう
ことができますが、実は福井人は一年中、たとえ冬でも多くの人が好んで冷た
いおろしそばを食べます。ですが、寒い冬にまで冷たいおろしそばを食べたが
る理由は、福井人もわかりません。それぐらい自然に根付いており、ただ無性
に食べたくなるのです。

2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された「和食;日本人の伝統的な食文化」
とは、特定の料理のことではなく、「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づ
いた「食」に関する「習わし」のことだそうです。

例えば「秋に新そばの香りを楽しむ」、「冬でも冷たいおろしそばを食べる」
などの食文化というのも、世界から見ると非常に価値があるかも知れません。

ともすれば素通りしてしまうような魅力ある文化を、世界中の人々にどんどん
伝えることができたらいいですよね。自治体の海外活動についてはクレアでお
手伝いできるケースもありますので、なにかあれば是非ご連絡ください!
                        
                         (企画調査課主査 川畑)

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【編集・発行】一般財団法人自治体国際化協会(企画調査課)
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビル7F
HP < https://www.clair.or.jp/ > TEL:03-5213-1722 FAX:03-5213-1741

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