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Vol.157 特集・MICE誘致のポイント

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□■□      CLAIRメールマガジン vol.157(2016年10月14日)
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□                ~ 特集・MICE誘致のポイント ~

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                            T O P I C S               
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【特集記事1】主要都市に負けない、地方都市のMICE誘致戦略
       ~オーストラリア・ニューカッスル~

【特集記事2】MICEにおけるユニークベニューの活用について

【特集記事3】シンガポールのMICE事情

【記事】アメリカ人の食生活に欠かせないサンドイッチはヘルシー?

【記事】国民の「意識」を動かす政府キャンペーン

【INFO】受賞作品決定! JETプログラム動画コンテスト

【REPO】スタッフだより 音がなるチーズ?! 

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【特集記事1】主要都市に負けない、地方都市のMICE誘致戦略
       ~オーストラリア・ニューカッスル~
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国際会議協会(ICCA)が2015年に発表した統計によると、オーストラリアの国
際会議開催数は世界全体で第15位、アジア太平洋地域では第4位と比較的上位
に位置します。二大都市シドニーとメルボルンのあるニューサウスウェールズ
州とビクトリア州が開催数の60%以上を占め、国内のMICE産業を支えています。
アクセスの良さと時間・コスト削減のため、主要都市でのビジネスイベントが
好まれる中、ニューサウスウェールズ州の地方都市ではその地域の特長を生か
し、大都市に負けないMICE誘致の取組が数多く行われています。

オーストラリア、ニューサウスウェールズ州ハンター地方の都市ニューカッス
ルはシドニーから車で2時間ほどの場所にあり、人口は約16万人と比較的大き
な都市です。2015年に行われたサッカーアジアカップなどのスポーツイベント
を始め、ニューカッスル市では毎年様々なイベントが開催されています。その
中でも、国際会議や企業の研修旅行は、ビジネスイベント訪問者の与える経済
効果が非常に高いため、市はこのような訪問者をより多く呼び寄せるべく、都
市のインフラ整備を次々と行っています。

広大な自然の中で行われる野外活動は、会議出席者たちの集中力や記憶力を高
める効果があるとして、ニューカッスル市ではこのような「グリーンエクササ
イズ」を盛り込んだ会議プログラムを提案しています。また、交通の利便性向
上のためのインフラ整備も行われています。ニューカッスル市や、同じハンター
地方に属するポートスティーブンス市は2012年、約8千万ドル(約64億円)を
かけてニューカッスル空港を拡張するプロジェクトを発表しました。州政府に
よる資金のもと、その第一段階であるターミナルの再開発が2015年に完了し、
出発ロビー、到着ホール、税関や入国管理事務所、フードコートなどが新しく
整備されました。「ハンターエクスプレスウェイ」と呼ばれる新しい道路開発
も行われ、ニューカッスル市やシドニー周辺の主要都市からハンター地方への
アクセス向上に寄与しました。

ニューカッスル市だけにとどまらず、セントラルコーストやブルーマウンテン
などニューサウスウェールズ州の地方都市では、大都市では体験できない自然
いっぱいの環境と、主要都市に後れをとらないインフラ整備によってMICE誘致
の取り組みが続けられています。

                          (シドニー事務所)

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【特集記事2】MICEにおけるユニークベニューの活用について
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ユニークベニューとは、「歴史的建造物、文化施設や公的空間等で、会議やレ
セプションを開催することで、特別感や地域特性を演出できる会場」のことを
指します。日本においても、観光庁が2013年に「ユニークベニュー利用促進協
議会」を立ち上げ、日本におけるユニークベニューの開発・利用促進を図るな
ど、MICE誘致での活用が注目されています。

国際会議協会が発表した2015年の国際会議件数ランキングで、日本では東京都
が国内最高ランクの80件で28位となっています。一方、フランス国内最高ラン
クのパリ市は前年から順位を下げたものの186件の2位で、東京都の件数の2倍以
上となっています 。(*1)

そこで、パリ市におけるユニークベニューの活用に関係する取り組みを紹介し
ます。パリ観光局のホームページ(*2)では、会議場や美術館などの文化施設だ
けでなく、屋外空間、ラグジュアリー空間(船上や元パリ証券取引所など)、
バーなど様々な場所を提案しています。日本では、歴史的建造物や文化施設の
ユニークベニューが目立ちますが、パリ市では様々な場所を提案することで、
MICE誘致の可能性を広げていると感じます。

また、ユニークベニューの活用は自治体側だけでなく、施設所有者側にも施設
のPRや収入確保といったメリットが挙げられます。例えば、パリ市にある世界
的に有名なルーブル美術館では、休館日や閉館後の時間を活用して、施設の貸
し出しを行っています。2015年の貸出件数は79件で、約293万ユーロにのぼって
います。

ユニークベニューの活用は、競争が激しくなっているMICE誘致において、他地
域とは異なる提案をすることで地域の優位性を示せるだけでなく、観光PRや施
設の収入確保にもつなげることができる有効な手段ではないでしょうか。

                                        (パリ事務所所長補佐 小勝負)

(*1) < http://www.iccaworld.com/npps/story.cfm?nppage=6036 >
(*2) < http://en.convention.parisinfo.com/events/guides >

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【特集記事3】シンガポールのMICE事情
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2015年のシンガポールの国際会議開催件数は、アメリカ、韓国、ベルギーに次
ぎ国別ランキングで世界第4位、都市別では世界第1位となっています。
(Union of International Associations調べ)

なぜシンガポールはMICE開催地として世界的に高い評価を得ているのでしょう
か。
シンガポールにおいては、海外からの民間投資の呼び込みによる成長戦略を国
家的課題として掲げており、その一環として、通商産業省と政府観光局が中心
となって、MICEの誘致に積極的に取り組んでいます。

シンガポールの特徴的な取り組みとしては、豊富なMICE誘致予算を背景とした
高額な開催支援金を主催団体に支給(金額非公開)しているほか、政府系ウェ
ブページ上でのイベント広告掲載といったサポートを行うなど、多彩な支援を
実施していることが挙げられます。

また、日本でもよく知られているMarina Bay Sandsはシンガポールを代表する
MICE施設の1つで、地下1階、地上4階、延床面積12万平方メートル(東京ド
ーム2.6個分)に2,000の展示場、250 の会議室を備えるなど、45,000 人以上
を同時に収容できる大型施設です。さらに、アジア最大の8,000平方メートル以
上の宴会場では、6,600人以上の規模の宴会の開催を可能にするほどの卓越した
オペレーション能力がMICEの開催を支えています。加えて、空港からの優れた
利便性、カジノやホテル、飲食・物販、エンターテイメントといったアフター
コンベンション機能が充実していることもMICE開催地としての魅力を高めてい
ます。

MICEの誘致を巡っては国際間競争が激化する中で、グローバルニーズに適合す
るようなハード面での整備を政府主導で戦略的に実施しているだけでなく、ソ
フト面の支援を充実させていることで、シンガポールはMICE開催地としての国
際的な地位を不動なものとしています。
            
                 (シンガポール事務所所長補佐 安田)

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【記事】アメリカ人の食生活に欠かせないサンドイッチはヘルシー?
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サンドイッチはお弁当派・外食派にかかわらず、人気のランチメニューの一つ
としてアメリカで多くの人々に親しまれています。

サンドイッチの定番のひとつは、濃厚なピーナッツバターを塗った食パンの上
に、さらにジャムを重ね塗りした「ピーナッツバター・アンド・ジェリー・サ
ンドイッチ」。ピーナッツバターの製造メーカーで知られるピーターパン社は、
アメリカ国民が一生で食べるピーナッツバター・サンドイッチの量は、平均
2,984個との調査結果を発表しました。これを全て積み上げると、自由の女神
像の高さに匹敵するピーナッツバター・サンドイッチをアメリカ人は一生をか
けて消費していることとなります。

お昼時になると、サンドイッチを求めるビジネスマンや学生で長蛇の列ができ
る専門店では、豊富な種類のサンドイッチが用意され、カウンターでパンの種
類や具材を自由に選べる店も増えています。最近は、大手チェーン系でも野菜
の無料増量、要望のカロリーに応じた具材の調整といったサービスを打ち出し
ています。栄養価の偏りなく、ヘルシーな一品に仕上げることができ、健康志
向の強いニューヨーカーにとってはありがたいものです。 

しかし、そこはやはりアメリカ。日本のサンドイッチと比較して、出来上がっ
た厚さは倍以上、重さもずっしりとしていて、一つ食べ終えるとかなりの満腹
感が得られます。さらに、気になるのは付け合わせのサイドメニューとして、
フライドポテトやポテトチップス、そして炭酸飲料を3点セットとして安価に販
売していること。この組み合わせでは、サンドイッチ単体をヘルシーに仕上げ
たとしても、一気に危険な高カロリー食となってしまうことも忘れてはいけま
せん。

                 (ニューヨーク事務所所長補佐 建道)

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【記事】国民の「意識」を動かす政府キャンペーン
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「方言で話すのはやめましょう」と言われると地元に愛着を持つ人はカチンと
来るかもしれませんが、これはシンガポール政府が過去に行ったキャンペーン
の一つです。

シンガポール独立当初(1965年)国民の多数を占めていた中華系は、福建・潮
州・広東などそれぞれ出身地の方言で話していました。そこでシンガポール政
府は小さな国家の一体性を保つため「Speak Mandarin Campaign」(Mandarin=
標準的な中国語)を実施して言葉を統一しようとしました。政府による当時の
テレビCMでは、商店の主人が色んな方言で話しかけられて「方言じゃ分からな
いよ!」と叫ぶコミカルなシーンや、いまだに多くの国民が覚えている有名な
キャンペーンソングが放送されました。現在のシンガポールで中国語の方言を
使う国民が1割程度しかいないことは、このキャンペーンの「成果」と言えるか
もしれません。

・他にもこんなキャンペーン
「Courtesy (礼儀正しく) キャンペーン」:元々はシンガポール政府観光局
が外国人観光客を増やすため観光客に親切に接することを奨励する目的でした
が、1979年以降「隣人に優しくしましょう」、「老人を助けましょう」として
社会的に広がっていきました。このキャンペーンのおかげか、今でもエレベー
ターを降りる時に「開」を押していると例外なくお礼を言われます。ちなみに
シンガポールの人気マスコットキャラクター「シンガ」はこのキャンペーンか
ら生まれました。

「Two is enoughキャンペーン」:いわゆる「ふたりっ子政策」で、人口増加が
著しかった1970年代、出産を抑制する政策がとられました。当時のポスター写
真は「一つのリンゴを持った二人の女の子」で、少ない収入(リンゴ)では二
人しか養えないことを暗示し、男児欲しさに何度も出産することを牽制する意
図がありました。

しかし、その後女性の社会進出等の要因も重なり、政府の狙いであった人口の
「安定化」の水準を超えて一気に「減少化」まで進み、日本と同様、少子化に
悩まされるようになってしまいました。

・今後のキャンペーンは?
テーマソングやマスコットキャラクターなどカジュアルな方法を多用しつつ、
個人の生活や習慣の領域に深く踏み込むようなキャンペーンを行ってきたシン
ガポール。それでいて確実に成果を上げてきましたが、経済発展やグローバル
化と共に価値観が多様化してきた現代では、直接的に国民に訴求するキャンペー
ンは少なくなり、また手法についても、より国民に受け入れられ易いよう、柔
らかくメッセージを伝える方向にシフトしてきているようです。

                 (シンガポール事務所所長補佐 加藤)

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【INFO】受賞作品決定! JETプログラム動画コンテスト
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JETプログラム30周年記念事業として、「JET参加者が伝える日本の地域」をテー
マに実施した動画コンテストの受賞作品10本が決定しました。
JETプログラム参加者及び経験者の視点から日本の地域の魅力を伝える力作揃い
ですので、是非ご覧ください。

受賞作品はこちらでチェック!
< http://jetprogramme.org/ja/videocontest/ >

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【REPO】スタッフだより 音がなるチーズ?!
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金木犀が香る季節となりました。皆さんはどんな秋をお過ごしでしょうか。
秋の夜長をワインとともに過ごすのもいいかもしれませんね。
そんな時ワインと「ハルミチーズ」を合わせてみませんか。
ハルミチーズはキプロスを代表する健康食品で、ギリシャやイギリスでも人気が
あります。焼いても溶けない、そして、焼いたものは食べると「きゅっ、きゅっ」
と音がなるのです。この独特の食感を是非お楽しみ下さい。

                        (企画調査課主事 倉田)


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