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Vol.171 各国の都市再生・都市開発

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□■□      CLAIRメールマガジン vol.171(2017年2月24日)
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□               ~ 各国の都市再生・都市開発 ~

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                            T O P I C S               
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【記事】Kings Crossにみるまちづくり

【記事】パリでは建築コンペが目白押し

【記事】シドニー大都市圏都市再開発計画について

【記事】中低所得者も住みやすい街へ~ニューヨークの再開発~

【INFO】クレア経済アドバイザーの視点 ~輸出を知ろう~

【REPO】スタッフだより  幹部セミナーに思う

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【記事】Kings Crossにみるまちづくり
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Kings Crossといえば、ハリーポッター、ホグワーツ魔法学校行きのホグワーツ
特急が発着する9と3/4番線を連想する方も多いと思います。ホグワーツとは結
ばれていませんが、Kings Crossは、Kings Cross, St. Pancrasの二つのNational
railのターミナル駅から英国北中部の都市と結ばれ、6本の地下鉄でロンドン各
地、さらには、Eurostarでパリ、ブリュッセルと直結するなど、ロンドンの交
通の要衝となっています。

この地域では、かつての産業鉄道の跡地を活用して、歴史的な建造物の再生も
含めた都市再開発が行われており、プロジェクトの目標年次である2020年には、
316,000平方メートルのオフィスエリアと46,400平方メートルの商業・レジャー
エリアが、2,000戸の居住エリアに近接して、開発されることになっています。

18世紀に産業発展の著しい英国北部の都市とを結ぶ産業輸送の中心地として栄
えたこの地域は、1970年代の不況により廃れ、使われなくなった鉄道施設や流
通施設が廃墟となりました。その後、ナイトクラブなどの風俗が立地したため、
治安が悪い地域という評判が立ち、1980年代にはロンドンで最も不動産物価が
安い地域になってしまいました。このため、低所得者層の居住が集中して、さ
らにイメージが悪化するといった悪循環に陥りました。

こうした状況を改善しようと様々な長期的再開発計画が立案されましたが、ハ
イスピードレイル(HS1)の導入に合わせて、Eurostarの発着駅をテムズ川南岸の
WaterlooからSt.Pancrasに移すことが決定されたことを契機に、1996年にマス
タープランが決定され、開発が進められました。その結果、新規産業の誘致や、
廃倉庫を活用したスーパー、モダンな集合住宅、緑が多い川辺の公共空間やショッ
ピング通りの開発が進み、かつてのマイナスイメージは完全に払拭されるとと
もに、賑わいの創出につながっています。Kings Crossの開発は、歴史的建造物
と現代的建築の融合のほか、開発手法にも特徴があります。開発は、地元のカ
ウンシルやEnglish Heritageのほか、地域のコミュニティーグループと議論を
重ね、実際に通りを歩く訪問客や若者の意見をリサーチしながら進められまし
た。こうした調査は計画段階だけでなく開発が進んだ今も行われており、訪れ
る人々の目線を大事にする姿勢がうかがえます。Kings Crossは英国における、
まちづくりの好事例と評価されています。

参考サイト
< http://casestudies.uli.org/kings-cross/ >

                                           (ロンドン事務所次長 浅田)

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【記事】パリでは建築コンペが目白押し
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「パリは歴史的な建物が守られ、美しい街並みが保たれている」との印象をお
持ちの方が多いと思います。歴史上、道路の幅員に応じて高さ規制が敷かれ、
パリ市では、今も原則37メートル以下とされています。市内で最も高い建造物
は1887年築のエッフェル塔で、高層ビルでは1970年築で高さ210メートルのモン
パルナスタワーです。また、100メートルを超える高層ビルの数は限られており、
その多くは1970年代に特定の地域に集中して建設されています。

一方、パリには斬新な現代建築も多く、1977年築のポンピドゥーセンターをは
じめ、国立図書館フランソワ=ミッテラン館、ルイ・ヴィトン美術館、フィル
ハーモニー・ド・パリなどが特に有名です。また、パリ市を取り囲む環状高速
道路近くでは、現在、高さ規制が180メートルまで緩和され、1991年以降なかっ
た高層ビルの建設が進められています。例えば、パリ北西部では、パリ中心部
のシテ島から一部の裁判所等が移転するパレ・ド・ジュスティス・ド・パリ(
高さ160メートル)が建設中で、ポンピドゥーセンターと同じくレンゾ・ピアノ
氏による建築であることも関心を引いています。

昨年2016年2月には、2014年11月にパリ市が公表した、再開発地区を含む市内
計23か所の国際建築コンペ「REINVENTER PARIS(和訳:パリを再発明する)」
(*)の審査結果が発表されました。イダルゴ市長は、このコンペについて、
作家エドガー・アラン・ポーの言葉を借り、「形式を捨て去ることで、新たな
可能性を追求する」と述べています。コンペの要件には、一定以上の緑地の割
合や社会住宅(公共住宅に相当。フランスは、1500人以上の基礎自治体に対し、
住宅の20%を社会住宅とすることを義務付けています。)の整備等が課され、
採用された作品には、日本人建築家では藤本壮介氏や田根剛氏によるものがあ
ります。

パリを含むイル=ド=フランス州では、地下鉄新線(グラン・パリ・エクスプ
レス)の整備を見据えた計14か所の国際建築コンペ「HUBS du Grand Paris」
が2016年3月に公表され、2018年に審査結果が発表される予定です。なお、こ
れらとは別のコンペで、セーヌ川に浮かぶスガン島再開発地区のラ・セーヌ・
ミュージカルは坂茂氏の作品が、パリ郊外北部で地下鉄新線の結節点となるサ
ン=ドニ・プレイエル駅は隈研吾氏の作品が、既に採用されています。

                      (パリ事務所調査役 岡山)

*:"REINVENTER"の最初の"E"には、アクサンがつきます。

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【記事】シドニー大都市圏都市再開発計画について
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オーストラリア国内全体の人口増加と同様に、シドニー大都市圏でも今後急激
な人口増加が予想されており、2016年に発表されたニューサウスウェルズ(NSW)
州政府の将来人口推定によると、シドニー大都市圏の人口は2036年までの20年
間で現在の約429万人から約624万人にまで増加することが予測されています。
またシドニー大都市圏の人口の急速な増加により、大幅な地価高騰や都市圏の
拡大などの問題も見られます。

人口増加に伴い、現在、州の都市計画環境省 (Department of Planning and 
Environment)は海外の有名な都市計画を参考に、シドニー大都市圏の再開発計
画を進めており、現在バルセロナモデルと上海モデルが将来のシドニーのある
べき姿として検討されています。バルセロナモデルがメゾネットのような集合
住宅の増設により市内の住宅の数を増やそうとしているのに比べて、上海モデ
ルは、小型の集合住宅の増設ではなく、高層ビルの建設で人口増加に対応する
ものです。ロブ・ストーク州都市計画大臣(Minister of Planning)は都心
部の人口密度増加に対処する方法として、高層ビルの建設を最低限に収めるバ
ルセロナモデルを推薦しています。

また、シドニー大都市圏では都市の多核化が計画されています。州政府はシド
ニー中心業務地区に加えて30~50km離れたパラマタ、リバプール、ペンリスな
どで商業地を充実させて都市機能を分散させることで、都心部の人口密度の過
剰な増加を抑えることができると想定しています。大都市圏の多核化によって
市民の通勤範囲を縮小することが可能となり、生活の質を向上させることがで
きると期待されています。

この計画に並行して、交通手段の充実に向けて高速道路や電車、バスなどの公
共交通機関の整備または拡張が行われています。さまざまな都市開発計画の実
施によって、シドニーはより一層グローバル都市として成長することが見込まれ
ています。

                          (シドニー事務所)

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【記事】中低所得者も住みやすい街へ~ニューヨークの再開発~
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ニューヨーク市では現在、いくつもの再開発が行われていますが、市はその際
に中低所得者向け住宅も一緒に整備されるよう取り組んでいます。市が直接公
営住宅を造るのではなく、民間事業者がビルなどを建築・改築する際、その中
の一部を中低所得者向け賃貸住宅とするよう誘導するものです。居住用物件の
一定率を中低所得者向けの住宅にすると、建ぺい率の上限が緩和されてより大
きな建物が造れるほか、固定資産税の減免や、低金利での融資なども受けられ、
開発業者にとってもメリットがある仕組みとなっています。

これらの中低所得者向け住宅には、市のウェブサイトを通じて申し込みができ、
入居者の所得に応じ、通常より安い家賃が適用されます。ただし、家賃相場が
高いので、設定額は、最低月数百ドルのものから最高約3000ドルのものまであ
り驚く程幅広くなっています。それでも申し込み者は多く、その競争率は数百
倍です。とはいえ、高い家賃の物件であろうと同じ建物内にはさらに高い「通
常価格」で住んでいる人々もおり、問題も発生しています。ある物件では、中
低所得者向けの入口を通常とは別に設けようとしたところ、『差別だ』と批判
が集まり、結果的に入口は一つとなりました。

また、中低所得者向け住宅に入れなかった人にも不満があります。入居者の選
定は抽選ですが、これが厳選ではないのではないか、とか、高所得世帯が入居
しているのでは等、市に対する疑念・批判もあがっています。

さらに、新たな中低所得者向け住宅の整備に周辺住民から「地域の資産価値が
下がる」と反対の声が上がって訴訟になったケースもあります。

ニューヨーク市内には、かつて整備された低所得者向けの公営住宅団地が何箇
所もあります。これらは、ニューヨークの治安が特に悪かった1980年代には犯
罪の温床とみなされていました。市としては、所得や人種によって住む地域が
分かれることは、地域格差を生じ一部の地域の治安の悪化などを招くおそれが
あると考えており、できるだけ様々な所得レベルの人が同じ地域に住むように
したいというのも、上記のような『一般のアパートの中に中低所得者向けの住
宅を整備する』という手法が取られている理由のようです。しかし、市民の理
解を得るにはまだまだ時間がかかりそうです。

                 (ニューヨーク事務所所長補佐 椋本)

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【INFO】クレア経済アドバイザーの視点 ~輸出を知ろう~
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近年、地方自治体の海外における経済活動が多くみられますが、輸出はどのよ
うにして行うかご存じですか?今後、数回にわたりアドバイザーが分かりやす
く説明します。    
  < https://www.clair.or.jp/j/economy/yushutsu_1.pdf >

経済アドバイザーは、地方自治体が実施する海外経済活動を支援するためのク
レアの専門家職員です。これまで、自治体の皆さまから、販路開拓や観光客誘
致などに関するご相談をいただき、海外での経済活動事業にお役立ていただい
ています。

お電話・メール等でお気軽にご相談ください!!
お問い合わせ先はこちら(担当:経済交流課)
< https://www.clair.or.jp/j/economy/3/index.html >

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【REPO】スタッフだより 幹部セミナーに思う
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先日、当協会の事業の一つである『海外自治体幹部交流セミナー』が実施され、
オーストラリアから来日した方々の視察先に同行する機会がありました。来日
メンバーの中には、日本のある自治体の姉妹都市から参加された方もいらっしゃ
いました。その方と日本側自治体の首長の双方が熱い思いで姉妹都市交流に取
り組んでいること、親密な友情を築いていることを知り、感銘を受けました。
より一層、仕事に励もうと決意を新たにしました。

幹部セミナーの概要はこちら
< https://www.clair.or.jp/j/exchange/shohei/seminer1.html >

                         (企画調査課 成田)

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【編集・発行】一般財団法人自治体国際化協会(企画調査課)
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HP < https://www.clair.or.jp/ > TEL:03-5213-1722 FAX:03-5213-1741

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