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Vol.185 各国の電力事情

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□■□      CLAIRメールマガジン vol.185(2017年7月28日)
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□               ~ 各国の電力事情 ~

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                            T O P I C S               
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【記事】高い電気代!? ~フィリピンの電力事情~

【記事】韓国 新大統領の電力政策

【記事】オーストラリアSA州、大型蓄電施設を米テスラに発注

【記事】シンガポールの日本人墓地公園

【INFO】第2回海外経済セミナーを大阪で開催します!

【INFO】コラム「多文化共生2.0の時代」最新記事を掲載しました

【INFO】平成29年度アジア情報研修を開催します(10月26日(木)~27日(金))

【REPO】スタッフだより
    「夏の醍醐味!老いも若きも「よっちょれ」!」

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【記事】高い電気代!? ~フィリピンの電力事情~
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2016年のフィリピンの消費電力は2015年と比べて10%増加しました。フィリピ
ンのエネルギー省は、エル・ニーニョ現象による気温の上昇で冷房設備の使用
が増加したことを理由に挙げています。また、人口の増加と著しい経済の発展
を見せるフィリピンでは、産業分野での電力の需要が増えています。
フィリピンの2015年の発電量のうち、水力を除いた再生可能エネルギ―(風力、
太陽光、バイオマスなど)の割合は15%で、日本の2.9%に比べると大きな割合
を占めていることに驚きます。そのうち、地熱発電の割合が13%と高く、地熱
発電設備の容量はアメリカに次いで世界第2位であることはあまり知られていま
せん。地熱を活用しているのは火山国であるフィリピンならではと言えるでし
ょう。

1 高い電気代の理由は
フィリピンの電気料金は非常に高額です。1か月の電気の使用量を300kWhとした
場合、電気代は約5,730円になります。フィリピンの平均的な家庭の月収がおよ
そ57,000円であることを考えると、この電気代がいかに高いかが分かります。
多数の島からなるフィリピンでは送電や配電設備に多くの費用がかかります。
また、設備の仕様上どうしても損失してしまう電力や、送電線から無断で配線
し盗電されている電力もあり、これらを利用者に負担させていることも電気料
金を高くしている要因のひとつとなっています。

2 電力不足と地方の電化
フィリピンでは電力が不足しています。増え続ける電力需要に供給が追い付か
ず、停電が起こることもあります。この問題に対して、日本の商社もフィリピ
ンの発電所に出資するなどしてフィリピンの電力供給を支えています。
また、山間や離島の村に電気を通すことは、住民の生活を改善し社会経済の成
長に寄与するとしてフィリピン政府の長年の重要な課題となっています。2011
年に目標とした32,441の村に電気を通す施策は、2016年の6月にその目標を達成
しました。現在は177の電気のない学校に電気を通す事業を進めています。電力
の供給を安定させ、国民の暮らしを明るく照らすため、政府の努力は続いてい
ます。

                 (シンガポール事務所所長補佐 川俣)


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【記事】韓国 新大統領の電力政策
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2017年5月の大統領選挙により新たに就任した文在寅(ムン・ジェイン)大統領
は、「大気汚染物質の排出量30%削減」、「老朽化した原子力発電所の閉鎖と
新規建設の中断」を公約としており、「再生可能エネルギーへの転換、脱原発」
を主張してきた大学教授を産業通商資源部の長官候補に指名するなど、電力政
策の方向転換を本格化しようとしています。

1 石炭火力発電所の運転停止及び閉鎖
大気汚染の原因とされている粒子状の物質「PM10」を減らすため、稼働期間が
32~44年の石炭火力発電所8基について、2017年6月から1ヶ月間運転停止しまし
た。また、2018年以降は、電力需要が比較的少ない3~6月の4ヶ月間運転を停止
する予定です。
さらには、この8基を含む、老朽化した計10基を、文大統領の任期が終わる
2022年までに閉鎖する計画です。
これにより、石炭火力発電所から排出される「PM10」は、2017年では2015年比
で3%、さらに2022年には18%削減されると見込んでいます。

2 原子力発電所の閉鎖及び建設の中断
文大統領は、2017年6月「原発政策を全面的に再検討し、原発中心の発電政策を
やめ、『脱核時代』に進む」、「準備中の新規原発の建設計画を全面的に白紙
に戻し、原発の設計寿命を延長しない」と発表しました。
韓国では、2017年2月時点で25基の原子力発電所が稼動していましたが、1978年
に運転を開始した韓国初の商用原発「古里1号機」は6月に運転を停止し、計画
年数を超えて稼働している「月城1号機」も、可能な限り早期に廃炉にする計画
です。
また、工事が約29%まで進んでいる「新古里5・6号機」は、2017年7月に建設の
一時中断が決定しました。工事の再開については、電力関係者や専門家を入れ
ない中立的な委員会を作り、世論調査を踏まえた上で最終決定する予定となっ
ています。
さらには、建設準備段階にある「新ハンウル3・4号機」等の4基も、設計や環境
影響評価等が中断されている状況です。

3 今後の計画、評価と課題
文大統領は、石炭、原子力発電所を閉鎖する代わりに、2030年までに液化天然
ガス(LNG)と再生可能エネルギーの比率をそれぞれ37%、20%(2016年末時点
ではそれぞれ18.8%、4.7%)に増やす計画を提唱しています。
「脱原発」、「クリーンエネルギーへの転換」を評価する声が国内外から挙が
っている一方で、発電コストが高いこれらのエネルギーの比率を高めることに
よる電気料金の上昇、代替エネルギーが電力需要を満たすことができるのか、
莫大な原発の廃炉費用等をどうするのか、などの問題点も指摘されています。
(当記事は7月17日時点にて作成)

                    (ソウル事務所所長補佐 山下)


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【記事】オーストラリアSA州、大型蓄電施設を米テスラに発注
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私が自宅の電気を契約している電力会社から、この7月より電気料金を値上げす
るという通知が届きました。しかも、約20%増と過去5年間で最大の値上げ幅で
す。

2007年以降、温室効果ガスの排出削減に取り組んできたオーストラリアでは、
電気料金の高騰というジレンマに陥っています。その背景には、発電コストが
高い太陽光・風力発電の導入によって、安価な石炭火力発電の減少が進んだこ
とがあります。また、天候不順により太陽光・風力発電所の出力低下を招き、
電力需給バランスが崩れ、電力小売価格が吊り上がっているという実態もあり
ます。

最新のオーストラリア・エネルギー規制機関の統計では、1世帯あたりの電気
料金が10年前の2倍になったことが示されています。また、この7月、大手エネ
ルギー会社から発表された電気料金の値上げにより、南オーストラリア(SA)
州では、典型的な一般家庭の支払う電気料金がデンマークを上回り、世界一に
なるとの試算も出ているほどです。

こうした中、SA州政府は、世界最大となる10万キロワット級の大型蓄電施設を
米電気自動車大手テスラに発注したと発表しました。

SA州内の電力は約4割を太陽光と風力に依存しており、この蓄電施設が安定的な
電力供給をもたらすと期待されています。この発電・供給手法が低コストで実
現可能となれば、再生可能エネルギーによる発電がベースロード電源として確
立される道が大きく前進することになります。

また、今回の発表では、同社のイーロン・マスク最高経営責任者が「100日以内
に施設を稼働できなかったら、施設を政府に無料で提供する」と言及したこと
でも大きな話題を呼んでいます。

電力事情を取り巻く課題解決に向けたひとつの方策が示されましたが、マスク
氏の「公約」どおり、早期に実現することを期待しています。

                   (シドニー事務所所長補佐 川村)


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【記事】シンガポールの日本人墓地公園
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シンガポールの閑静な住宅地の一角に、美しい芝生が広がる日本人墓地公園が
あります。先日、在シンガポール日本国大使館がシンガポール日本人会(以下、
日本人会)、JETROシンガポール及びクレアシンガポール事務所に初めて
呼びかけ、職員有志による清掃ボランティアが行われました。筆者を含む合計
39名が参加し、シンガポールの日本人社会や日・シンガポール関係の歴史を学
ぶ貴重な機会になりましたので、ここで簡単にご紹介します。

1 日本人墓地のあらまし
1891年、日本人が経営するゴム農園の一角であった現在地に日本人墓地が創設
されました。実業家や船乗り、軍人・軍属など、主に明治時代から終戦直後ま
でにシンガポールで亡くなった日本人が祀られています。二葉亭四迷など著名
人の大きな石碑の傍で、苦しい生活の中、はるばるシンガポールまで働きに来
て、帰国が叶わぬまま生涯を閉じた日本人女性たちの小さな、高さ30cmほどの
墓標も数多く点在しています。

2 日本人会による維持管理
戦後、日本人墓地は英国による植民地政府に接収され、荒廃していきます。
1952年、サンフランシスコ平和条約が発効し日本総領事館が再開すると、館員
の努力によって細々と手入れが始まり、やがて在留邦人と共同で墓地管理が行
われることになりました。そのため日本人共同墓地管理委員会が設けられ、
1957年にはその運営母体として現在の日本人会の前身である日本人クラブが結
成されます。日本人会は1915年に初めて発足しましたが、終戦とともに中断し
ていました。日本人墓地は、当地の日本人社会にとって絆を繋ぐ要のような存
在だったのです。

3 接収の危機と公園化
1969年に、日本人墓地の返還申請が最高裁判所からようやく認められました。
しかし、国土が限られたシンガポールでは1973年に新たな埋葬が政府によって
禁止され、さらに都市開発政策により各地で墓地の接収が進められます。
1987年にはとうとう日本人墓地にも接収が通告されました。これに対しても、
日本人社会は官民総力を挙げて政府に陳情し、誰でも親しめる公園として保存
することを条件に何とか接収を免れたのです。

4 現在、そして将来世代への継承
日本からの企業進出が加速し、日本人会が運営する日本人学校の児童数が急増
する中、新校舎用地を政府から借り受けるため、1979年に日本人墓地公園北側
の未利用土地を政府へ返還することとなりました。日本人学校も日本人墓地と
の深い関わり合いの中で現在があるのです。児童生徒は先人を偲び、現在でも
毎年墓地公園の清掃活動を行っています。
日本人会では、毎年その発足記念日である3月14日近くに慰霊祭を開催していま
す。併せて、日本人会史蹟史料部による墓地公園内の案内会も実施しています。

清掃ボランティアの活動中、南国の陽光が降り注ぐ園内を、なんと結婚したば
かりのシンガポール人新郎新婦が訪れ記念写真の撮影を始めたのには驚きまし
た。清掃活動後には、これまでに築かれた両国の友好関係と今日の平和に対す
る感謝が込み上がり、今後もこの活動を継続していくということで、大使館、
日本人会及びJETROとの意見が一致しました。次回以降はクレアシンガ
ポール事務所がその事務局を担っていきます。
緑の木々と鮮やかな芝生が美しいシンガポールの日本人墓地公園を、皆さんも
訪れてみませんか。

(住所)825B Chuan Hoe Avenue, Singapore 549854
(参考リンク) http://www.jas.org.sg/link/related/link_cemetery_ja.html

                  (シンガポール事務所調査役 山谷)


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【INFO】第2回海外経済セミナーを大阪で開催します!
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訪日観光客誘致促進を目的とするインバウンドをテーマに、平成29年度第2回
海外経済セミナーを開催します。国の最新の政策の動向や民間及び自治体の先
進的な取組等についてわかりやすくご紹介いたします。多くの自治体関係者の
方々のご参加をお待ちしております。


(1)日 時 平成29年9月1日(金) 13時30分~17時00分

(2)場 所 大阪駅前第3ビル 17階 TOG貸会議室 1号・2号室
       (大阪市北区梅田1-1-3-1700)

(3)定 員 自治体、DMO・観光協会含む関連団体等職員

(4)対 象 80名程度を予定

(5)テーマ 「自治体のためのインバウンド対応」

(6)内容  基調講演 「インバウンドに関する国の取組と現状」
       講師   国土交通省観光庁国際観光課長 伊地知 英己 様

       講演1 「地方の魅力を世界に届けるためのデジタルマーケティング」
       講師  グーグル合同会社広告営業本部観光立国推進部長 陳内 裕樹 様

       講演2 「『あるもの活かし』で地域力発信!
                  ~インバウンドは"編集力"で魅せよう~」
       講師  東北インアウトバウンド連合理事長 西谷 雷佐 様

       講演3 「豊岡市におけるJET(CIR)のインバウンド活躍事例」
       講師  豊岡市役所環境経済部大交流課長 谷口 雄彦 様
                  国際交流員(CIR) ノロ ランドリア 様

  ※内容は第1回海外経済セミナー(7月14日開催)と同じです。
   詳しくは下記URLをご参照下さい。
    https://www.clair.or.jp/j/economy/3/page-1.html

〈お問い合わせ先〉
一般財団法人自治体国際化協会 経済交流課
TEL:03-5213-1726 FAX:03-5213-1742
E-mail:keishin@clair.or.jp


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【INFO】コラム「多文化共生2.0の時代」最新記事を掲載しました
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多文化共生ポータル内での毎月連載コラム「多文化共生2.0の時代」にて、最
新記事「日本語教育推進基本法」を掲載いたしました。
(執筆者:明治大学 山脇啓造教授)
今回は「日本語教育推進基本法の制定」をテーマにした、明治大学での特別講
演を取り上げています。基本法制定に向けての現状とともに、今後日本語教育
や日本語教師を取り巻く環境はどうなっていくのか、非常に興味深い内容とな
っています。

コラムはこちらから  https://www.clair.or.jp/tabunka/portal/reading/tabunka2.0.html

〈お問い合わせ先〉
一般財団法人自治体国際化協会 多文化共生課
TEL:03-5213-1725 FAX:03-5213-1742
E-mail:tabunka@clair.or.jp


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【INFO】平成29年度アジア情報研修を開催します(10月26日(木)~27日(金))
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国立国会図書館と日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所との共催によ
り、アジア情報の収集・提供に関するスキル向上を図ることを目的として、平
成29年度アジア情報研修を行います。

台湾の諸制度と統計の調べ方を解説します。ぜひご参加ください。

開催日時:2017年10月26日(木)~10月27日(金)
会    場:日本貿易振興機構アジア経済研究所 
     (千葉県千葉市美浜区若葉3-2-2)
テ ー マ:台湾情報の調べ方~諸制度と統計を中心に~
参 加 費:無料
申込期限:2017年10月1日(日)

詳細
< http://rnavi.ndl.go.jp/asia/entry/asia-workshop29.php >

〈お申込み・お問い合わせ先〉
国立国会図書館 関西館 アジア情報課
TEL:0774-98-1371 FAX:0774-94-9115
E-mail:ml-k-asia@ndl.go.jp


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【REPO】スタッフだより
    「夏の醍醐味!老いも若きも「よっちょれ」!」
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関東でも梅雨明けが発表され、アスファルトから立ち昇る熱気に容赦なく身体
があぶられるような夏の盛りとなりました。夏といえば祭り、祭りといえば踊
り。仙台市出身者としては「すずめ踊り」が地元の踊りなのですが、今、私は
高知発祥の「よさこい踊り」にはまっています。今や各地で大規模な大会が開
催されるなど市民権を得ているこの踊りは、関東の各地でも今後次々と開催さ
れます。よさこい踊りはチームによって踊り、衣装、音楽全てが異なるため、
踊るのはもちろん、見ても楽しい踊りです。お近くで祭りがある際には、一度
ご覧になってみてはいかがでしょうか。ただし、くれぐれも熱中症にはお気を
付けください!

                         (企画調査課 永澤)


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【編集・発行】一般財団法人自治体国際化協会(企画調査課)
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビル7F
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