CLAIRメールマガジンバックナンバー
vol.193 世界で活かす、日本の技術
___________________________________ ■□■□ □■□ CLAIRメールマガジン vol.193(2017年11月2日) ■□ □ ~ 世界で活かす、日本の技術 ~  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ T O P I C S ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【記事】カンボジアに根付く日本の水道技術 ~北九州市の挑戦~ 【記事】フランスで進むエコカー政策と求められるエコカー技術 【記事】シンガポールの歴史的建造物保全 【記事】地域ブランド確立に向けた英国自治体の取り組み 【INFO】平成29年度 第12回自治体国際交流表彰(総務大臣賞)の候補団体を 募集中です!!~創意工夫に富んだ取組を行っている国際交流を表彰 し、広く全国に紹介します~ 【INFO】コラム「多文化共生2.0の時代」最新記事を掲載しました! 【REPO】クレアレポート『デンマークの地方自治 ~地方自治体改革の経緯 と現在の自治体取り組み事例~』のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【記事】カンボジアに根付く日本の水道技術 ~北九州市の挑戦~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今年8月にクレアシンガポール事務所はカンボジア王国プノンペンを訪問し、 北九州市上下水道局がJICAと連携して水道技術支援を行う現場を視察しました。 1.カンボジアと北九州市のつながり カンボジアでは1970年代後半から始まった内戦中に上水道施設が被害を受けて 以降、人々に安全な水の提供が行われていませんでした。そこでJICAでは内戦 終結直後の1993年から首都プノンペンの都市水環境プログラムに取り組み、上 水道整備計画策定や施設整備を支援してきました。北九州市は1999年からJICA 等の依頼により専門家を派遣し、水道施設の運転・維持管理に携わっています。 また、2003年からは北九州市上下水道局が中心となり、プノンペンで水道事業 人材育成プロジェクト(フェーズ1)がスタートしました。フェーズ1ではプノ ンペンの水道公社(PPWSA)の職員に向けて水道施設運転および維持管理能力向 上のための技術移転を実施しました。PPWSAの熱心な取り組みと北九州市の指導 により1993年には70%であった無収水率(漏水等で無駄になる水)が2006年に は8%になるなど大きな成果をあげました。この取り組みは「プノンペンの奇跡 」とも言われ高く評価されています。 水質も大きく改善し、現在、プノンペンの水道水は東南アジアでもトップクラ スの質を誇り、24時間安全に飲むことが可能です。 2.カンボジア各地に広がる技術 2007年から始まった水道事業人材育成プロジェクト(フェーズ2)ではカンボ ジアの地方8都市の公営水道事業体(TPWS)に対象を広げ、上水道施設の運転 ・維持管理能力向上を目的とした支援が行われました。ここでも、2003年には 30%だった無収水率が2011年には17%(8都市平均)になった他、24時間給水 が可能になるなどの確実な成果があがっています。 2017年現在、2012年から始まった水道事業人材育成プロジェクト(フェーズ3) が実施されています。フェーズ3では、地方8都市の公営水道事業体自らの安定 した経営による水道サービス向上を目的として、経営管理計画の策定や人材育 成マネジメント能力の向上支援がされており、現在対象の8都市すべてで水道事 業の経営黒字化にも成功しているとのことです。 プノンペンだけでなく、カンボジアのこれらの都市でもで安心安全な水道水の 供給が始まっています。 3.技術協力から交流・ビジネスへ 今回、お話を伺った北九州市駐在員からは、北九州市の国際協力により、カン ボジアの生活の質が向上することはもちろんのこと、職員が発展途上国で一か ら技術を教えることで、職員の能力向上にもつながっているとお話しいただき ました。また市のネームバリューの向上にもつながっているといいます。実際 、カンボジアでは多くの人が北九州市の水道事業を認知しています。 また、これらの長年の技術協力や交流を契機として2016年に北九州市とプノン ペンでは姉妹都市協定を締結しました。 そして、北九州市の技術協力は水ビジネスという新たな展開も迎えています。 官民のジョイントベンチャーである「北九州市海外水ビジネス推進協議会」が 中心となり、カンボジアでの様々な案件の受注につながっています。 北九州市の技術協力はカンボジアの発展を支えるだけでなく、相互にメリット のある関係を目指し進化を続けています。 (シンガポール事務所所長補佐 中澤) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【記事】フランスで進むエコカー政策と求められるエコカー技術 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2017年7月、フランス政府は2040年までに排気ガス等を発生させるガソリン及 びディーゼル車(ハイブリッド車は除く)の販売を終了する方針を発表しました。 これは、第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定を 順守するための方針です。更に2017年10月には、パリ市においても、2030年ま でにガソリン及びディーゼル車の市内乗入れを禁止する方針が発表されました。 しかし現時点では、フランスでガソリン・ディーゼル車以外の車の普及が進ん でいるとは言えません。フランス自動車工業会が発表した2016年の乗用車新車 登録(販売)台数の内ディーゼル車の割合は52.1%、ガソリン車の割合は43.8 %を占めており、電気自動車とハイブリッド車は、合わせても全体の4.0%にと どまっています。 一方、日本では新車販売台数の内、電気自動車やハイブリッド車などのクリー ンエネルギー自動車(CEV)が占める割合は約18%(2014年調べ)になってい ます。CEVの開発を巡っては、三菱自動車が世界初の量産電気自動車を発売す るなど、日本の技術が世界を先導してきました。また、エコカー減税などを通 じてCEVの普及が進んできたという実態もあります。このような状況の日本では 、2030年までに新車販売に占める次世代自動車の割合を7割とすることを目指し ていますが、フランスとは異なり、ガソリン車やディーゼル車の販売禁止まで は打ち出していません。 ただ、フランスと同様の動きを見せる国もあり、今後各国政府主導でCEVの技術 発展、市場への普及が図られると考えられ、国や地方政府が自動車産業と連携 して取り組んでいくことが求められています。 また、日本におけるCEVの技術を世界中に輸出する機会がますます増えていくこ とが見込まれる中、日本のCEV政策も更なる進展を図る必要があると考えられま す。 (パリ事務所所長補佐 小勝負) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【記事】シンガポールの歴史的建造物保全 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 東南アジア経済の中心地として発展したシンガポールでは、近代的高層ビルが 林立する一方で、歴史的建造物を保全する取り組みも行われています。 イギリス統治時代の建造物や、「チャイナタウン」(中華系)、「リトルイン ディア」(インド系)、「カンポングラム」(マレー・アラブ系)といった移 民の歴史を色濃く残す街並みが残っており、観光客の目を楽しませています。 しかし、実はこれらの建造物や街並みは、シンガポールの都市再開発の歴史の 中で失われてしまう恐れもありました。 そこで今回は、シンガポールの歴史的建造物保全に関する歴史と取り組みにつ いて紹介します。 1 歴史的建造物保全の歴史 シンガポールの歴史的建造物保全の歴史は、1980年代半ばまでさかのぼります。 1965年に独立国家となってから1980年代の初めまでは、急速な経済成長を進め る中で住宅や商業施設を優先した都市再開発が行われ、多くの歴史的建造物や 街並みが失われました。 1980年代半ばに入り、住宅や商業施設の需要が一段落すると、歴史的建造物の 価値が評価され始め、保全に向けた取り組みが始まりました。1986年には、歴 史的建造物保全に関するマスタープランが策定され、現在までに7,000以上の歴 史的建造物が保全されてきています。先ほどあげた「チャイナタウン」、「リ トルインディア」や「カンポングラム」といった街並みも、このマスタープラ ンに基づいて保全されています。 2 保全に込められた思い シンガポールでは、歴史的建造物に二つの価値を置いています。一つ目は先人 の努力と功績を後世に伝えること、二つ目は独立したばかりの若い国に個性と 歴史的たたずまいを添えることです。 特に国の魅力をこれからも高めていくうえで、後者への期待は大きいものと思 われます。 3 保全への取り組み 歴史的建造物の保全を推進する取り組みの一つとして、「Architectural Heritage Award(建築物遺産表彰)」があげられます。 この表彰は、歴史的建造物に対する意識啓発などを目的に行っているもので、 1995年に始まりました。 2015年の「Award for Restoration(修復部門)」では、日本の建築会社が修 復工事を行った「ビクトリアシアター&コンサートホール」が受賞しています。 4 番外編:シンガポール最古の建造物 シンガポールで一番古い建造物は、「シンガポール旧国会議事堂」と言われて います。今から約190年前の1826年に建設され、現在は国立美術館として使用 されています。 実はこの建造物は、初めはスコットランド商人の個人用邸宅として造られたも のでしたが、その後、最高裁判所や国会議事堂として使用され、現在に至って います。 このような、都市開発と保全を両立させた取り組みは、今後の東南アジア諸国 における都市開発において、1つのモデルケースとなるでしょう。 (シンガポール事務所所長補佐 中山) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【記事】地域ブランド確立に向けた英国自治体の取り組み ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 英国は消費額の多い旅行先ランキングで世界5位にランクインする一方、国内滞 在期間や都市部以外への訪問が減少傾向にあり、さらに訪問者の半数がロンド ンへ集中するなど、地方自治体レベルでの課題が多数存在しています。 そのような状況の中、英国の地方自治体職員の交流組織である「LGcommunications」 が地方自治体向けの地域ブランド化セミナーを開催しました。今回はその中で 取り上げられた2つの自治体の取り組みをご紹介します。 1 ハル市―2017年英国文化都市 英国文化都市とは、4年に1度、英国内の1都市を公募・選定し、1年を通して同 都市内でイベントを行う英国の取り組みであり、今年で2回目になります。第1 四半期の開催実績として、140万人がハル市を訪問し、住民の90%がイベントに 参加ました。 (参考:ハル市特設サイト https://www.hull2017.co.uk/ ) 2 ケント州―「ケント・コンテンポラリーキャンペーン」 ケント・コンテンポラリーキャンペーンはケント州のPRを目的とした半官半民 組織「ビジット・ケント」が実施する広告キャンペーンです。キャンペーン効 果として、SNSでの閲覧者数300万件、ホームページアクセス61万件に加え、訪 問者の推定消費総額420万ポンドなどが挙げられます。 (参考:ビジット・ケントキャンペーンサイト http://www.visitkentbusiness.co.uk/home-avk/our-marketing/campaigns/kentcontemporary ) 本セミナーに関する詳しい資料は以下をご覧ください。 http://www.jlgc.org.uk/jp/research_archives/placebranding/ (ロンドン事務所所長補佐 渡邉) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【INFO】平成29年度 第12回自治体国際交流表彰(総務大臣賞)の候補団体を 募集中です!!~創意工夫に富んだ取組を行っている国際交流を表彰 し、広く全国に紹介します~ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本表彰は、素晴らしい取組であるにもかかわらず未だ全国に紹介されていない ような国際交流の事例を掘り起こすことを目的に、総務省と共催で毎年開催し、 本年で第12回を迎えます。 その活動実績を広く発信することで、自治体国際交流のさらなる活性化を図り、 地域の国際化に資することを目的に実施しています。 応募は自治体だけでなく、自治体からの推薦があれば、民間団体等からもご応 募できます。 今年度募集の締切は、平成29年11月30日(木)です。 この機会に、日頃の活動の成果をふるってご応募ください。 多くのご応募をお待ちしております!! (1) 主催 総務省、一般財団法人自治体国際化協会 (2) 表彰対象団体 都道府県、市区町村、地域国際化協会、国際交流協会等の民間非営利団体 (3) 表彰対象事業の例 <1> 経済交流 <2> 教育交流 <3> 文化・スポーツ交流 <4> 国際協力 <5> 多文化共生交流 <6> 東日本大震災復興に係る交流 <7> その他交流 ※その他詳細につきましては、以下のクレアHPをご参照ください。 https://www.clair.or.jp/j/exchange/shien/hyoushou.html <お問い合わせ先> 一般財団法人自治体国際化協会 交流親善課(担当:本田、鈴木) TEL:03-5213-1723 FAX:03-5213-1742 E-mail:shimai@clair.or.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【INFO】コラム「多文化共生2.0の時代」最新記事を掲載しました! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 多文化共生ポータル内での毎月連載コラム「多文化共生2.0の時代」にて、最新 記事「浜松市とインターカルチュラル・シティ」を掲載いたしました。 (執筆者:明治大学 山脇啓造教授) 本年10月、アジアで初めて浜松市がインターカルチュラル・シティ(※)に加 盟しましたが、それに関連して開催されたシンポジウムや講演会、そしてこれ からの多文化共生の目指すべき方向等について取り上げています。 ※欧州評議会による、多様性を都市の活力や革新・創造・成長の源泉とするこ とを目指したプログラム。 コラムはこちらから https://www.clair.or.jp/tabunka/portal/reading/tabunka2.0.html <お問い合わせ先> 一般財団法人自治体国際化協会 多文化共生課 TEL:03-5213-1725 FAX:03-5213-1742 E-mail:tabunka@clair.or.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【REPO】クレアレポート『デンマークの地方自治 ~地方自治体改革の経緯 と現在の自治体取り組み事例~』のご紹介 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今回紹介するクレアレポートは、 2017年5月30日に発行した『デンマークの地方自治 ~地方自治体改革の経緯 と現在の自治体取り組み事例~』です。 デンマークでは、2007年1月に大規模な地方自治体改革が行われました。市民 に必要なサービスをより効率よく提供するために、271の市は98の市に、14の 県は5つの広域圏へと再編されました。 本レポートでは、デンマークにおける地方自治体改革の経緯及び地方自治体の 役割、組織、機能、地方行財政制度などについてまとめています。 本レポートは以下URLよりご覧いただくことができます。 < https://www.clair.or.jp/j/forum/pub/docs/445.pdf > このほかにも、多くのクレアレポートをクレアホームページに掲載しておりま すので、ぜひご覧ください。 < https://goo.gl/2557xh > (企画調査課) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【編集・発行】一般財団法人自治体国際化協会(企画調査課) 〒102-0083 東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビル7F HP < https://www.clair.or.jp/ > TEL:03-5213-1722 FAX:03-5213-1741 Copyright(C) 2017 Council of Local Authorities for International Relations. 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