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vol.256「オーストラリアにおけるごみ処理・リサイクルの現状と日本のごみ処理行政の強み」

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□■□      CLAIRメールマガジン vol.256(2020年8月7日)
■□ 「オーストラリアにおけるごみ処理・リサイクルの現状と日本のごみ処理行政の強み」
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                            T O P I C S               
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【シドニー事務所】オーストラリアにおけるごみ処理・リサイクルの現状と日本のごみ処理行政の強み

【ニューヨーク事務所】ニューヨーク市の緑

【ロンドン事務所】文化やスポーツの力でコロナ禍を乗り越える

【パリ事務所】フランス自転車新時代の幕開け~コロナ禍における自転車利用促進政策~

【シンガポール事務所】ベトナムで拡大するベビー用品市場

【ソウル事務所】韓国におけるプラットフォーム労働の広がり

【INFO】インバウンド消費に沸く人口3,746人の野沢温泉村がすすめたキャッシュレス決済への対応と海外カード対応のATM導入

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【シドニー事務所】オーストラリアにおけるごみ処理・リサイクルの現状と日本のごみ処理行政の強み
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 オーストラリアにおける地方自治体の伝統的な事務は、しばしば3つのR「道路(Road)、
資産税(Rate)、ごみ処理(Rubbish)」に例えられてきており、ごみ処理事務はオーストラ
リアの地方自治体にとって重要な業務の1つです。

 OECD(経済協力開発機構)のデータによると、2017年に地方自治体が収集・処理した1人あ
たりの年間ごみ排出量は、日本の約336kgに対し、オーストラリアでは約559kg(日本の約1.7倍)
となっています。オーストラリアのごみ処理の特徴として、家庭から排出されるごみは焼却せず、
そのほとんどを埋立処理しています。特にプラスチックごみについては、2016-2017年度の排出
量約252万tのうち約218万t(約87%)を埋立処理し、約31万t(約12%)しかリサイクルしてい
ません。さらに、そのうちの約22万tを海外に輸出しています。

 しかし、2017年以降の中国を始めとするアジア諸国の資源ごみ輸入規制の強化という背景もあ
り、オーストラリア連邦政府は資源ごみの輸出を禁止する方向に転じ、2019年11月に輸出禁止に
向けたタイムテーブルを公表しました。さらに、2020年7月6日、オーストラリア連邦政府の環
境大臣らがメディアリリースを発表し、モリソン内閣は新しいリサイクル近代化基金に1億9,000
万豪ドル(約143億円)を拠出すると発表しました。この拠出によって、1万人の雇用を生み、
1,000万t以上のごみが埋立処理されずに再商品化される効果を期待しています。

 オーストラリア国内には、人口増加などによるごみの排出量の増加に危機感を抱く地方自治体が
数多くあります。オーストラリア連邦政府の方針転換もあり、日本の地方自治体が長年培ってきた
ごみの分別やリサイクル、ごみ袋の指定化・有料化、ごみ処理施設での処理に関するノウハウへの
オーストラリアの地方自治体職員の関心はさらに高まると見込まれ、両国の地方自治体のごみ処理
行政を通じた交流には大いなる可能性があると感じています。

                     シドニー事務所所長補佐 高橋

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【ニューヨーク事務所】ニューヨーク市の緑
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 ニューヨーク市内を歩いていると、大都会のイメージとは裏腹に、意外にも緑が多いことに気づ
きます。セントラルパークなどの公園には多くの樹木が生息し、中に一歩足を踏み入れると都会で
あることを忘れてしまうほどです。

 市は、公園局の主導のもと、既存の団体や個人がボランティアとして公園や街路樹等緑地の維持
管理をする「スチュワードシップ」という制度を導入しています。「スチュワードシップ」には誰
でも参加することができ、参加する団体や個人は、土の整備、水やり、除草など基本的な知識や技
術をパートナーシップ団体などから学んだ上で緑地の維持管理活動を行います。今後実施される予
定のプロジェクトに団体として参画を申し込むこともできれば、簡単な樹木ケア活動などに個人と
して気軽に参加することもできます。

 中でも特徴的なのは街路樹の維持管理です。「スチュワードシップ」の活用はさることながら、
市は一本一本の樹木にIDを附番の上「街路樹マップ」を作成、ホームページで公開しています。
街路樹を表す緑色の丸印をクリックすると樹木の種類、大きさをはじめ、ケアの実施記録、雨水や
二酸化炭素の吸収量、大気汚染物質の除去量、エネルギー保守量など生態系としての機能まで閲覧
することができます。

 「街の緑」について、積極的な情報公開によりその存在や役割を「見える化」することで、その
存在意義が認識され、市民の関心も高まります。市民や民間団体の参画をいかに促すか、これが効
率的な緑地の維持管理につながる鍵となることでしょう。

                   ニューヨーク事務所所長補佐 大橋

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【ロンドン事務所】文化やスポーツの力でコロナ禍を乗り越える
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 イギリス東部にある人口約8万人の町、ワトフォードでは、新型コロナウイルスへの感染が拡大
し外出が制限される厳しい状況下であっても、文化や運動に関する活動を通して町の人が結束力を
もち、前向きに過ごせるよう"Watford Together" (※1)というプロジェクトを立ち上げました。

 "Watford Together"のサイト内には、地域の人々がクリエイティブかつアクティブにいられる
ように工夫を凝らした様々なコンテンツが用意されています。

 芸術や文芸作品のコンテストや、歴史的なロックダウンの様子を写した写真コンテストへの参加
や、身近な大切なもの、自分を表現するものなどの写真を撮ってシェアするなどのクリエイティブ
な活動を行うことを勧めています。また、音楽やダンス、演劇などを#WATFORDTOGETHERのハッシュ
タグで配信することを提案したり、地元の劇場がオンライン公演を配信したりしています。

 "One Book, One Town"プログラムでは、町を舞台にした小説を1冊選定し、その内容について
語るブッククラブや著者によるワークショップを企画。また、50歳以上の人に向けたフィットネス
プログラムや地元プロサッカーチームによるシェイプアッププログラム、女性のためのヨガ教室な
どをオンラインで開催しているほか、週に一度、市長によるクイズ大会も行っています。
 
 身近なものをクリエイティブな視点で見直すこと、共通の体験を持つこと、オンラインであって
も定期的かつリアルタイムにつながることは、心身の健康をサポートし、コミュニティの結束力を
高めるために、コロナ禍が去った後でも活用できるポイントだと感じました。

(※1)「Watford Together」サイト:https://www.watfordtogether.co.uk/

                      ロンドン事務所所長補佐 金子

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【パリ事務所】フランス自転車新時代の幕開け~コロナ禍における自転車利用促進政策~
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 フランスでは、約2か月に及ぶ外出制限措置が5月11日から段階的に解除されました。外出制限
解除に伴う公共交通機関の混雑による感染拡大および自動車利用増加による大気汚染の悪化を防止
するため、フランス政府は、2,000万ユーロ(約24億円)規模の新たな自転車利用促進計画を発表しました。

 この計画は、フランスの自転車利用者連盟と共同で実施され、(1)自転車の修理・整備にかか
る費用を1台あたり最大50ユーロ補助、(2)自転車を安全に運転するための無料講習の実施(付
加価値税分を除き全額政府負担)、(3)自治体等による仮設駐輪場の設置費用を最大60%補助、
などが盛り込まれました。特に、(1)の補助制度は好評で、6月末時点で既に約30万台の自転車が
修理・整備されました。政府はこれを受け、予算規模を3倍の6,000万ユーロ(約72億円)に拡大し、
2020年末までに100万台の自転車の修理・整備を行うことを目指しています。

 政府の取り組みに呼応し、地方自治体でも自転車の利用を促進しています。パリ市では、特に混み
合う地下鉄の3路線に沿った車道の一部、合わせて50kmを暫定的な自転車レーンにしました。パリ中
心部を東西に横断する有名なリヴォリ通りでは、5月11日以降、バス・配送車両等を除き車両通行禁
止となり、自転車レーンが拡幅されました。その結果、自転車通行者が1日当たり4,500人から9,400人
に増加しました。

 一方、マルセイユ市などでは、自転車レーンの設置が自動車の渋滞を招いたとされ、数日後には元
に戻されるなど、どこでも順調に進んでいるわけではありません。環境連帯移行大臣は、暫定整備さ
れた自転車専用レーンの恒久化を呼び掛けるとともに、毎年5月をサイクリングを祝う月とし、真の
自転車国家を目指すことを宣言しました。

 感染防止だけでなく環境保護、健康維持にもつながる自転車の利用が新しい生活スタイルとして定
着するか、注目されます。
詳しくはこちら(https://www.clairparis.org/ja/clair-paris-blog-jp/blog-2020-jp/1417-2020-07-21-08-41-39)

                        パリ事務所所長補佐 池田

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【シンガポール事務所】ベトナムで拡大するベビー用品市場
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 ベトナムの平均年齢は31歳と、若い力溢れる国です。近年は約7%の経済成長を続けており、2019
年の一人当たりGDPは前年比4.8%増加しています。ベトナムへの日系企業の進出も進んでおり、例を
挙げると、2019年12月にユニクロホーチミン1号店がオープンすると、その人気は留まることを知ら
ず、2020年3月にはハノイ店、さらに6月までにホーチミンに追加で2店舗がオープンしました。そ
んな購買力旺盛のベトナムへ、近年日本からの輸出額が増えているのが、ベビー用品、特に粉ミルクです。

 日本からベトナムへの粉ミルク輸出額は、2011年の2億3,000万円から、2015年には25億円、さらに
2018年には55億円と、7年間で約24倍に急増しました。ホーチミンやハノイを中心に、「Soc & Brothers
」など、日本製ベビー食品や紙おむつ、衣料品などを取り揃える店舗があり、オンラインショップも
展開されています。ローカルのスーパーマーケットにおいても、国内大手の「Vinamilk」製品のみな
らず、日本を含む外資系メーカーの粉ミルクも販売されるようになってきています。

 ベトナムでは、2歳以下の子供がいる家庭は全世帯の約3割を占めます。女性の社会進出も進み、
2019年のベトナム総労働人口に占める女性の割合は48.5%と、東南アジアで最も高い数値となってい
ます。乳幼児の増加に加え、経済発展と女性の社会進出に伴う家庭の所得増加を受けて、マタニティー・
ベビー用品市場は近年30~40%の成長を遂げています。自由に使えるお金が増えたら、まずは子供に安
全で高品質なものを与えたいと思う親心は世界共通なのかもしれません。

 ベトナムのお母さん、子供たちにとって「安心・安全・高品質」で、信頼できる日本製ベビー用品
の市場規模が、今後ますます拡大していくことが期待されます。

                    シンガポール事務所所長補佐 薄田

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【ソウル事務所】韓国におけるプラットフォーム労働の広がり
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 2020年は新型コロナウイルスの影響により各国で働き方の多様化が進みました。日本でも外出自
粛に伴うテレワークの増加、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への転換、ギグワーカー(※1)
の増加など、毎日のように報道されていることと思います。本稿では近年韓国で広がる働き方の一つ
「プラットフォーム労働」について紹介します。

 プラットフォーム労働とはオンラインのプラットフォームを介して、相手方に特定の労務やサービ
スを提供する働き方を指します。業種も代行運転、食品の配達などからWebデザインやコンサルティン
グなど様々です。韓国雇用情報院が2019年に実施した調査によれば、プラットフォーム労働者が約50万人
に達し、全体就業者のうち2%弱に相当する規模になっているとのこと。

 さらにコロナの拡散後の今年2~4月に利用者数が前年同期比で100%増加したプラットフォームも
あり、今年になって増加傾向が加速したことが窺えます。また、取引される業務もより一層多様化し、
1件3億ウォン(約2,700万円)のITアプリ開発というものまで。このような高額な取引も行われる背
景には、優秀な専門人材を自社で採用するより低コストかつ短期間で調達できるという依頼側のメリット
が大きいことがあるようです。韓国内のとある水産物EC企業では、コロナにより急増した需要に対応す
るため、業務の自動化プログラムの開発をプラットフォーム上で委託し、大型IT企業に委託するより
はるかに低コストで実現させ、急成長につなげたといいます。

 最近では中小企業だけでなく、大企業や官公庁でもプラットフォーム上で人材を探しているという報
道もあります。もちろん、労働法上の問題(※2)など解決すべき課題があることも事実ですが、一行
政機関においてもプラットフォーム労働者を活用することが、山積する課題の解決の一助となるかもしれません。

(※1)インターネット経由で単発の仕事を請け負う労働者。1920年代のアメリカでジャズミュージシャ
ンが一度限りの演奏に参加することを意味する音楽用語gig(ギグ)に由来。
(※2)プラットフォーム労働者は独立事業者であり、現時点では労働関係法の適用対象にはならない。

                       ソウル事務所所長補佐 今村

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【INFO】インバウンド消費に沸く人口3,746人の野沢温泉村がすすめたキャッシュレス決済への対応と海外カード対応のATM導入
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 長野県の北部にある下高井郡野沢温泉村は、13か所の外湯(共同浴場)めぐりが人気の観光地です。
歴史ある温泉や情緒ある町並みに加え、日本有数の大きさを持つ野沢温泉スキー場があり、2018年には、
人口約3,700人の村に13万8,460人の外国人観光客が訪れました。
 外国人観光客が増えることにより、浮かび上がってきた課題の一つは「決済」でした。クレジットカー
ド決済を希望する外国人観光客が多いにもかかわらず、対応できる施設・事業者は少なく、また海外の
銀行で発行されたカードに対応するATMも限られていたため、現金が引き出せず、多くの"売り逃し"が
発生していました。今回、この課題に取り組んだ、野沢温泉村の事例をご紹介します。
(※本記事は2019年度に取材されたものです。)

 自治体様におかれましては、今後を見据えてインバウンド対策に取り組まれていかれる中、弊協会か
らの事例紹介がその一助となれば幸いです。

詳しくはこちらから
< http://economy.clair.or.jp/topics/6268/>

<お問い合わせ先>
 経済交流課
Tel:03-5213-1726 / Mail:keishin@clair.or.jp

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