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vol.262 「コロナ禍の観光業界に対するシンガポールの取り組み」

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□■□      CLAIRメールマガジン vol.262(2020年11月16日)
■□    「コロナ禍の観光業界に対するシンガポールの取り組み」
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                            T O P I C S               
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【シンガポール事務所】コロナ禍の観光業界に対するシンガポールの取り組み

【ニューヨーク事務所】withコロナ時代の選挙運営~これからの投票所のデザイン~

【ロンドン事務所】英国における自転車利用推進のための施策

【ソウル事務所】ソウル市による世界初の通信ネットワーク構築事業

【シドニー事務所】世界最大規模!デジタルを駆使したゴッホのデジタルアート展Van Gogh Aliveがシドニーで開催

【INFO】多文化共生フォーラムあいち2020

【INFO】知事をトップに"ONE TEAM"でインバウンド誘致に邁進する青森県の事例紹介

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【シンガポール事務所】コロナ禍の観光業界に対するシンガポールの取り組み
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 シンガポールは、2010年のマリーナベイ・サンズおよびリゾートワールド・セントーサ
の2大IR施設の開業をはじめ、さまざまな観光資源の開発により、訪問客数および観光収
入を右肩上がりに伸ばしてきました。しかしながら、各国同様に観光業界はコロナ禍によって
深刻な状況下にあります。同国への2020年9月の訪問者数は約9,500人であり、前年同月の
約146万人と比較して、99.4%の減となっています。

 シンガポール政府は、融資や固定資産税の割戻などの支援や観光開発基金の強化により、
観光業界を支援してきましたが、7月より4,500万シンガポールドル(約34億8,840万円。
以下、ドル)を投じ、「SingapoRediscovers」というキャンペーンを展開しています。この
キャンペーンは、シンガポールに住む人々がシンガポールを再発見することをコンセプトと
しており、観光業界と協同してローカルツアーなど、200以上の商品を提供しています。

 さらに、同キャンペーンの一環として3億2,000万ドル(約248億640万円)を投じたバウチャー
が国民に配布されることが決定されました。18歳以上の国民一人当たりに100ドル相当のバウチャー
が12月からオンラインで配布されます。利用期間は2021年6月までで、10ドル単位で使用することが
でき、国内のホテル宿泊やアトラクション入場料、ローカルツアーなどに利用することができます。
また、18歳以上の国民は、18歳未満の者のために、アトラクションやツアーに対して10ドル割り
引かれたチケットを最大6枚まで購入できます。

 このように国内旅行を喚起することで、観光業界の回復を支援しているシンガポールですが、
シンガポール政府観光局のキース・タン局長は、過去最高の1,910万人を記録した2019年と同程
度まで海外からの訪問者数が回復するには3年から5年かかるとの厳しい見方を示しています。
同氏は、アフターコロナの時代では、小規模で他にはない体験を観光業界が提供することで、
シンガポールを他国と差別化させることが重要であると述べています。

 観光業を基幹産業にまで成長させたシンガポールが、どのようにコロナ禍を乗り越えていくのか、
今後も注目していきます。

                   シンガポール事務所所長補佐 藤井

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【ニューヨーク事務所】withコロナ時代の選挙運営~これからの投票所のデザイン~
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 "コロナ禍の選挙をどう安全に運営していくか"は世界中の国が直面する課題ではないでしょ
うか。米国では周知のとおり今月大統領選挙が行われ、全米各地でコロナ禍での選挙運営のリデ
ザイン(見直し)が求められました。郵便投票制度の導入が進んだ一方で、多くの州・地域にお
いて投票所はいまだに重要な位置を占めています。

 そこで、行政の選挙管理者を支援するため、2020年5月にスタンフォード大学のd.schoolとマ
サチューセッツ工科大学(MIT)が中心となり、"The Stanford-MIT Healthy Elections Project"
というプロジェクトが発足しました。このプロジェクトでは、有識者だけでなく市民団体や行
政関係者と協働し、 "Human-centered design(人間中心設計)" という観点で、健康リスク
だけでなくストレスの少ない選挙運営をどう進めていくか検証・促進してきました。

 その取り組みの1つとして同プロジェクトは、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が示す
ソーシャルディスタンスの確保等の基準を考慮したガイドブックをはじめとして、様々なツール
をHP上で提供しています。例えば、会場の収容人数とそこで働く職員数、同時に入ることができ
る投票者数等を入力すると、自動的に会場内での待ち時間、会場外で待たなければいけない人の
数や必要なスペースの広さ、彼らの待ち時間が予想できるツールや会場での人の流れを3Dモデ
ルシミュレーションにより可視化できるツールなどが挙げられます。投票者視点だけでなく、
投票所で働く職員のために「マスク着用を断る人がいたらこう対応する」といった複数のシナ
リオを想定したカードもリソースとして提供しています。

 ガイドブックの中では他の事例として、テントを用いた野外での投票やウィスコンシン州やテ
キサス州等で実施されたドライブスルー形式の投票が紹介されており、全米各地で様々な工夫が
なされていることがうかがえます。

 日本においても、投票所のデザインを検討される際の参考とされてみてはいかがでしょうか。
詳しくはこちら(英文のみ)。
 https://healthyelections.org/

                   ニューヨーク事務所所長補佐 藤原

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【ロンドン事務所】英国における自転車利用推進のための施策
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 英国では、10月まで行われていた段階的なロックダウンの解除により、落ち込んでいた交通
需要が回復するにつれて、地下鉄などの公共交通機関の混雑や、自家用車の使用の急増などの
問題が予想されることから、政府は自転車や徒歩での移動を推奨するための20億ポンド(約2,720億円)
規模の計画を発表しました。

 この計画は今年の2月に発表された、自転車やバスのためのインフラ整備のための50億ポン
ドの計画の一部ですが、今回のパンデミックで自転車や徒歩での移動が急増したことを受け、
自転車や歩行者のために道路空間を再配置するよう地方自治体に課す法定ガイダンスが直ちに
実施されることとなりました。また、自転車向け通行レーンの緊急整備などに活用される2億
5,000万ポンド(約340億円)の緊急アクティブ・トラベル・ファンドを含む地方自治体への財
政措置のほか、すでに自転車を所有しているが使用していなかった人向けに、走行可能な状態
に自転車を修理するためのバウチャー制度の策定や、来年に予定されていたe-スクーターレン
タルの試験実施の前倒しなどの計画が発表されました。

 上記の緊急アクティブ・トラベル・ファンドに関しては、78の自治体への財政措置が決定さ
れました。その中の一つ、ロンドンの南東にあるケント州では、州内の主要な道路16箇所につ
いて、道路標識の改善や歩行者・自動車レーンの新設、時間による自動車の進入制限を行うな
どの改善が行われています。また、このファンドが発表される前から、市内のNHS(国営医療サー
ビス)病院に通勤する職員等のための自転車通行レーンの整備などを進めていたレスター市は、
今回のパンデミックに対応して新たに策定された市の交通復興計画の中で、地域内の自転車通
行レーンの伸長、パークアンドライドの拡充などの取り組みを推進していくとしています。

 Climate Assembly UK(気候変動に関する英国の市民団体)の最新の報告によれば、今回の
パンデミックからの「グリーンな復興」が市民によって望まれていると言われています。気候
変動だけでなく、健康増進や交通渋滞の緩和などの多面的なメリットを持つこれらの自治体の
取り組みが、今後どのように実を結ぶのか、注目していきたいと思います。

                     ロンドン事務所所長補佐 濱本

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【ソウル事務所】ソウル市による世界初の通信ネットワーク構築事業
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 ソウル市は、2022年までに、誰でもどこでも、公共Wi-Fiを無料で使えるデータフリー都市の
実現を目指しています。このため、ソウルの全ての地域に全長4,237kmの独自通信ネットワーク
「スマートソウルネットワーク(S-Net)」を構築する予定です。ソウルのような大都市全域での
構築は世界初となります。

 公共Wi-Fiの構築では、市民の暮らしの中にWi-Fiを行き届かせ、ソウルにいる全ての人が利用
できるようにすることを目指しています。

 加えて、新たに構築される通信規格は従来の公共Wi-Fiよりさらに速く、安全な最新技術である
「Wi-Fi6」を公共生活圏全域に設置することとしており、これも世界初の取り組みと発表されています。

 ネットワーク整備に併せてIoTセンサーを設置することで空いている駐車場が分かる「シェア
パーキング」、非常事態を感知すると自動で警察に通報する「スマート街灯」、認知症の高齢者
や児童の位置情報を活用した「IoT失踪防止」といった「スマートシティソウル」政策がソウル
全域で実現することになり、市民の暮らしに密接した政策樹立に役立つ都市データの収集・活用
も一層加速することが期待されています。

 ソウルを訪れる外国人観光客も、公共Wi-Fiを使ってスマートフォンで旅行情報をすぐに検索
することができるため、旅行満足度の向上にも大きく貢献することが期待されています。日本か
ら海外旅行に行く際、モバイルWi-Fiルーターを借りて行く方もおられますが、コロナ収束後に
日本からソウルを旅行する際は、モバイルWi-Fiルーターは不要になっているかもしれません。

                      ソウル事務所所長補佐 福岡

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【シドニー事務所】世界最大規模!デジタルを駆使したゴッホのデジタルアート展Van Gogh Aliveがシドニーで開催
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 シドニーでは、現在、世界最大規模といわれるゴッホのデジタルアート展Van Gogh Alive(※1)
が開催されています。ゴッホの作品をデジタル化するというこの斬新なアート展は、ヴィクトリア
州の州都メルボルンにある会社によって手掛けられ、これまでに世界50の主要都市で600万人以上
の人々を魅了してきた大人気のアートショーです。意外にもオーストラリアで開催されたことはなく、
その記念すべき第1回目の開催地となるのはメルボルンの予定でしたが、メルボルン都市圏に新型
コロナウィルス感染症流行の大きな波が押し寄せたため、急遽シドニーでの幕開けとなったと報じ
られています。

 デジタルアート展では、まず、ゴッホの代表的な絵画を10点ほど鑑賞します。そして、四方の壁
には巨大スクリーンが張り巡らされ、床にはプロジェクションマッピングが投影された空間に進みま
す。その空間に映し出されたゴッホの言葉と数々の色彩豊かな作品は、デジタル技術によっていっそ
う色鮮やかなものとなり、美しく幻想的な空間を演出していました。

 さらに、映像だけではなく、ゴッホの作品に合わせて流れるクラッシック音楽も素晴らしいもので
した。ゆったりとしたピアノの旋律に心をゆだねていると、急に激しいバイオリンの絃の響き。また、
浮世絵に影響を受けたゴッホの作品が映された際には、日本の伝統曲「さくらさくら」の琴の音が静か
に響き渡りました。こうした音楽は、ゴッホの絶望、空虚感、希望などのさまざまな感情を表現してい
て、その場にいる人々の視覚と聴覚を刺激し、共感を誘っていました。

 映像、音楽に加え、アロマの香りも取り入れられていました。より多くの感覚を使うことで、より印
象に残る体験になるようなのですが、残念ながら、新型コロナウィルス対策で鼻までマスクを被せるよ
う警備員に注意を受ける中、私たちの嗅覚にアロマの香りが届くことはありませんでした。

 今後、新型コロナウィルスが終息し、芸術の街メルボルンや日本など世界各地の方々が、このデジタ
ルアートをアロマの香りと共に感じ、感動を共有できる日が一日も早く訪れることを願ってやみません。

(※1)ゴッホは、英語ではVan Gogh「バン・ゴー」と呼ばれています。

                     シドニー事務所総務担当 市原

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【INFO】多文化共生フォーラムあいち2020
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 愛知県では、毎年11月の「あいち多文化共生月間」に合わせ、多文化共生フォーラムあいちを開催し
ています。今年度は、『想いがつながる・広がる多文化共生社会』をテーマに、「多文化共生社会」を様
々な観点から捉え、地域全体で多文化共生の地域づくりに取り組む方法について考えます。多くの皆様
の御参加を心よりお待ちしています。
◆日 時:11月21日(土) 13:00~16:00
◆場 所:名古屋国際センター 別棟ホール(名古屋市中村区那古野一丁目47番1号)
◆定 員:100名(申込先着順)
◆参加費:無料
◆プログラム
13:00~13:05 挨拶(愛知県副知事 青山桂子)
13:05~13:20 愛知県多文化共生推進功労者表彰
13:20~14:20 基調講演 
テーマ:『「言葉の壁」「制度の壁」「心の壁」の先にある多文化共生』
講 師:武蔵大学 社会学部教授 アンジェロ・イシ 氏
14:35~15:50 パネルディスカッション 
テーマ:『外国人と地域のつながりがもたらすもの』
パネリスト:
日本赤十字社愛知県支部社会活動推進課 係長  近藤 佑介 氏
東海日本語ネットワーク 副代表 / 愛知県立大学 非常勤講師 米勢 治子 氏
協栄産業株式会社 代表取締役会長 大島 良和 氏 

◆そのほか申込方法等については次のWEBページを御覧ください。
URL:https://www.pref.aichi.jp/soshiki/tabunka/tabunka-forum2020.html

◆お問合せ先
 愛知県県民文化局県民生活部社会活動推進課多文化共生推進室
 TEL:052-954-6138 / Eメール:tabunka@pref.aichi.lg.jp

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【INFO】知事をトップに"ONE TEAM"でインバウンド誘致に邁進する青森県の事例紹介
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 2018年に都道府県別外国人延べ宿泊者数が過去最多を記録した青森県。新幹線の開業と国際航空路線
の拡充が追い風となり、同県では様々な取り組みを通じてインバウンド誘致を進めました。青森県独自
のセールス活動にスポットを当て、具体的な取り組みを紹介します。
(※本記事は2019年度に取材されたものです。)

 自治体様におかれましては、アフターコロナを見据えてインバウンド対策に取り組まれる中、弊協会
からの様々な事例紹介が今後の一助となれば幸いです。

詳しくはこちらから
< http://economy.clair.or.jp/topics/6730/ >

<お問い合わせ先>
 経済交流課
Tel:03-5213-1726 / Mail:keishin@clair.or.jp

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【編集・発行】一般財団法人自治体国際化協会(企画調査課)
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビル7F
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