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vol.342「仮想職業体験プログラムにより若い労働力の確保を目指す豪州自治体の取り組み」

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□■□    CLAIRメールマガジン vol.342(2024年5月10日)
■□「仮想職業体験プログラムにより若い労働力の確保を目指す豪州自治体の取り組み」
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                            T O P I C S               
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≪CLAIRからのお知らせ≫
【INFO】(ソウル事務所)参加自治体募集!
「食」を通じて韓国人にPRしてみませんか?

【INFO】(ロンドン事務所)オンラインセミナー
「北欧の地方自治体~北欧5か国の選挙啓発活動や主権者教育~」開催のお知らせ

【INFO】(交流親善課)
オンライン交流セミナー「プロトコールセミナー」を開催します!

【INFO】(群馬県庁)\動画公開/
令和5年度群馬県多文化共創カンパニー認証事業者取組事例紹介

≪海外事務所コラム≫
【シドニー事務所】仮想職業体験プログラムにより若い労働力の確保を目指す豪州自治体の取り組み

【シンガポール事務所】シンガポールの中等教育における近年の制度改革

【北京事務所】「出張!愛媛特産館」が開催されました!

【ソウル事務所】4年に1度の経験!第22代総選挙の韓国

【ニューヨーク事務所】子どもたちのオンラインでの安全を守るための闘い

【ロンドン事務所】スコットランドにおける「生理の貧困」解決のための取り組み

【パリ事務所】「フランスの地方自治」を改訂しました!


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             CLAIRからのお知らせ
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【INFO】(ソウル事務所)参加自治体募集!
「食」を通じて韓国人にPRしてみませんか?
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 クレアソウル事務所では、日本の地方の食の美味しさ・多様性などについて韓国での認知
度を高め、地方へのインバウンドを推進することを目的として、地域の紹介と料理体験をセ
ットにした「特別レッスンイベント」を実施しています。
 特産品の紹介、それを使った料理体験が可能で地域への関心を持ちやすいということから、
参加者と協力自治体どちらにも好評をいただいている事業です。
 今年度も開催しますので、協力していただける自治体からの応募をお待ちしております!

■対  象:日本の自治体
■開催時期:2024年7月~2025年1月の間のうち1日
■申込方法:info@clair.or.krまで参加希望の旨ご連絡ください。(5月14日締切)

 過去開催したイベントの様子や詳細は下記URLよりご覧ください。
https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595078&c=52174&d=a90b

<お問い合わせ先>
一般財団法人自治体国際化協会 ソウル事務所(担当:中村)
TEL:02-73-5681 FAX:02-732-8873 
E-mail:info@clair.or.kr

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【INFO】(ロンドン事務所)オンラインセミナー
「北欧の地方自治体~北欧5か国の選挙啓発活動や主権者教育~」開催のお知らせ
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 クレアロンドン事務所では、幅広い分野で活躍されている方々を講師に招き、欧州におけ
る「状況」「ニーズ」「考え方」などの情報をお届けしております。
 今回は、北欧・国際比較文化ジャーナリスト、ノルウェー国際報道協会役員、写真家とし
てご活躍されている鐙麻樹氏をお迎えし、北欧(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、
フィンランド、アイスランド)における選挙啓発活動や主権者教育の取り組みをテーマにご
講演いただきます。
 市民がいかに選挙や政治に取り組み、自治体は市民とどのようにコミュニケーションをし
ながらまちづくりを進めているのか。小学校から大学まで子どもや若者がいかに政治や社会
の課題と関わり、「自分にも影響力がある」という意識を育てているのか。2008年からノル
ウェー在住、2009年から北欧の政治や社会の取材活動を続けているジャーナリストの鐙氏が、
写真満載で現地の様子をお伝えします。
 なお、セミナー終了後も見逃し配信動画を閲覧可能ですので、当日ご都合のつかない方も、
ぜひお申込み・ご視聴ください。
 この機会をお見逃しなく!皆様のご参加をお待ちしております。

■開催時期:2024年5月16日(木)18:00~19:00(日本時間)(10:00~11:00(英国時間))
■開催方法:オンライン(Zoomを使ってのウェビナー形式)
■申込方法:以下の登録フォームより申込
登録フォーム
 https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595079&c=52174&d=a90b

<お問い合わせ先>
一般財団法人自治体国際化協会 ロンドン事務所(担当:細井)
TEL:+44-20-7839-8500 
E-mail:mailbox@jlgc.org.uk

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【INFO】(交流親善課)
オンライン交流セミナー「プロトコールセミナー」を開催します!
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 国際関係業務に携わる自治体職員の国際儀礼(プロトコール)に関する知識の向上を目的
として、オンラインによる「プロトコールセミナー」を令和6年5月30日(木)に開催し
ます。外務省大臣官房儀典賓客室首席事務官小澤誠氏を講師に招き、表敬訪問におけるプロ
トコールの基本知識や、海外からの来客の正しい対応についてご説明いただきます。
 セミナーの詳細や参加登録の方法などは、以下ホームページに掲載しています。現在多く
の方からお申込みをいただいております。定員に限りがございますので、お申込みはお早め
にお願いします。

■対  象:全国の自治体及び国際交流団体等の関係者 500名程度
■開催日時:令和6年5月30日(木曜日)14:00 - 15:00
■開催方法:オンライン(Zoomを使ってのウェビナー形式)
■申込方法:以下の当協会ホームページから申込(5月24日締切 )
※お申込みいただいた皆さまには、no-reply@zoom.usから登録完了メールが送信されます。
 当日のセミナーは、登録完了メール中のリンクからご参加・ご視聴下さい。

URL: https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595080&c=52174&d=a90b 

<お問い合わせ先>
一般財団法人自治体国際化協会 交流支援部 交流親善課(担当:ユウキ)
TEL: 03-5213-1723 FAX: 03-5213-1742 
E-mail: koushin@clair.or.j

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【INFO】(群馬県庁)\動画公開/
令和5年度群馬県多文化共創カンパニー認証事業者取組事例紹介
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 群馬県では外国人材を雇用し、彼らを「仲間」として迎え入れ、ともに活力を創り出して
いる事業者を「群馬県多文化共創カンパニー」として認証しています。
 この度、令和5年度に新たに認証された3事業者の取組を紹介した動画が公開されました。
動画では、外国人材が日本で快適に生活し、彼らの将来のキャリア形成に繋がるような事業
者の魅力的な支援や取組について紹介しています。
 是非以下のURLからご覧ください!

1 動画掲載ページ
 https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595081&c=52174&d=a90b 
※動画の再生リストはこちら(過去の認証事業者の取組をまとめてご覧いただけます。)
 https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595082&c=52174&d=a90b
 
2 群馬県多文化共創カンパニー認証制度とは
 令和3年4月に施行した「群馬県多文化共生・共創推進条例」に掲げる多文化共生・共創社
会の実現に向けて、県内企業の外国人材受入環境作りを促進するとともに、外国人材に群馬
県を「働く場」として選んでもらうため、令和3年6月に創設された制度。
 外国人材を雇用し、彼らを「仲間」として迎え入れ、ともに活力を創り出している事業者
を認証し、令和5年度までに11事業者が認証。
 令和6年度は5月下旬から認証希望事業者の募集を開始予定。

<お問い合わせ先>
群馬県地域創生部ぐんま暮らし・外国人活躍推進課
TEL:027-226-3396 
E-mail:gunkurashi@pref.gunma.lg.jp

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              海外事務所コラム
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【シドニー事務所】仮想職業体験プログラムにより若い労働力の確保を目指す豪州自治体の取り組み
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 豪州クイーンズランド州に位置し、国内第3の人口を有するモートンベイ市は、地元業
界からの「熟練した労働者確保維持が難しい」という声を受け、地元の高校生が就労前に
労働を体験できるよう、国内自治体としては初となる仮想職業体験プログラム
「My Future In Moreton Bay」の提供を、2022年から無料で行っています。
 このプログラムには、モートンベイ市が指定した、観光、農業、先進製造業などの重要
産業分野ごとに合計10のコースが用意されており(※1)、各コースに設置された2~3
のタスクを完了すれば当該コース修了となります。例えば、観光業の顧客サービスのコー
スでは、電話応対と苦情対応について学べます。タスク1では、想定される電話応対の状
況を動画や文章で理解したあとに、その状況で取るべき行動について記述式で回答します。
タスク2ではその回答の振り返りと、適切な顧客対応について多肢選択問題を解きながら
学びます。最後には、コースを受講したことで得た学びや気づきを履歴書や採用面接でど
のようにアピールするのかを学んでいきます(※2)。
 このように、具体的なタスクの指示と場面設定に基づき、自律的に受講を進めていく形
式のため、受講者は自分のペースで将来のキャリアに関わる実践的なスキルを身につける
ことができます。また、各コースの所要時間は1~2時間で、100%オンラインで完結する
ため、教育機関はキャリア支援の授業にこの仮想職業体験プログラムを手軽に取り入れる
ことができます。さらに、受講者がコース修了証を就職活動で活用することで、採用する
企業側にとっても応募者のスキルを見て取れるという利点があります(※1)。
 この取り組みは、優れたイノベーションを実現した先進事例として、2023年に全豪自治
体賞を受賞しました(※3)。今後、他地域でも同様な取り組みが広がることが期待され
ています。
                     シドニー事務所 所長補佐 清水
<参考文献・引用文献>
(※1)Australian First Virtual Career Experience Program Launched (City of Moreton Bay)
https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595083&c=52174&d=a90b
なお、プログラムの主な対象は高校生ですが、住民はだれでも無料で利用できます。
(※2)Careers In Tourism: Customer Support (Forage)
https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595084&c=52174&d=a90b
(※3)Council achievements celebrated on national stage (Minister for Infrastructure, Transport, Regional Development and Local Government)
https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595085&c=52174&d=a90b

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【シンガポール事務所】シンガポールの中等教育における近年の制度改革
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 シンガポールの初等中等教育は、経済協力開発機構(OECD)が2022年に実施した15歳
の生徒を対象とする生徒の学習到達度調査(PISA)において全3分野でトップを獲得す
るなど、国際的に高い評価を得ています。しかしながら、近年大きな改革が行われてい
ます。
 従来、シンガポールでは一部の例外を除き、小学校卒業時に行われる初等学校卒業試
験(PSLE)の結果により、エクスプレス、ノーマル(アカデミック)、ノーマル(テク
ニカル)の3コースに分かれて中等教育を受け、そのコースが大学進学等その後の進路
に直結する仕組みとなっていました。この制度は生徒のドロップアウトを防ぐためのも
のとされていますが、一方で特定のコースに対する偏見や科目毎に異なる生徒の能力を
正当に評価できないといった面を指摘されていました。
 そのため、シンガポール教育省は、従来の仕組みの課題を克服しつつ生徒たちが各々
の興味、適性、学習ニーズに合わせて各科目を柔軟に学習することでその才能を開花さ
せることを目標として2020年から一部の学校で上記の3コースを廃止しました。そして、
中等教育制度を統一し、英語や数学といった科目は習熟度別に科目を履修する一方で、
美術や体育といった科目は習熟度によらないクラス単位で履修する
Full SBB(Subject-Based Banding)を導入しました。さらに、2024年には従来3コース
制を採用していた全ての学校でFull SBBが採用されました。PSLEは入学当初の習熟度別
履修科目のクラス分けの参考として使用されるものの、各学校に様々な特性を持つ生徒
が入学するようになりました。
 長年続いてきたPSLEによる中等学校のコース分けがなくなり、PSLEに対する生徒や保
護者の意識に変化がみられるようになるのか、生徒の進路にどのような影響があるのか、
今後しばらくその帰趨が注目されそうです。
                 シンガポール事務所 所長補佐 瀬戸口
<参考文献・引用文献>
※1:MOE「What you need to know about Full SBB」
https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595086&c=52174&d=a90b
※2:MOE「Full Subject-Based Banding (Full SBB)」
https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595087&c=52174&d=a90b
※3:MOE「Full Subject-Based Banding FAQ」
https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595088&c=52174&d=a90b
※4:CLAIR「シンガポールの政策-2021年改訂版-」
https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595089&c=52174&d=a90b    
               
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【北京事務所】「出張!愛媛特産館」が開催されました!
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 中国では 、ここ数年ECやライブコマースなどのマーケティング手法が主流となってい
ます。この流れを受け、筆者の派遣元である愛媛県においては、ECサイトを起点とした
BtoBの販路拡大を目指して、複数のECサイト上に県産品の販売環境を整備して売上げ
向上を図っています。
 今回、その一環として、令和6年1月27日に北京市の在中国日本大使館で、愛媛県産
品販促イベント「出張!愛媛特産館」が開催され、北京市民やインフルエンサーなど総
勢約150人が来場しました。筆者も愛媛県からの活動支援依頼を受け、会場設営や来場者
対応などの支援を行いました。
 会場には、ミカンジュースや愛媛の郷土料理の試飲・試食などが行える食品ブースと、
日本一の生産量を誇る愛媛県今治市の「今治タオル」や、真珠を用いた装飾品などの展
示ブースを設置しました。各ブースにはECサイトのQRコードを設け、気に入った商品が
あればタイムリーに購入できるようにしました。
 また、ステージでは、中村時広愛媛県知事と中国の歌手とのコラボ歌唱動画などを放
映したほか、県産品についてプレゼンテーションを実施しました。スクリーン上にもEC
サイトのQRコードを表示し、紹介された商品をその場で購入できる仕組みを取りました。
スクリーンに向かって携帯を一斉に向ける参加者の姿はとても印象的でした。
中国のインフルエンサーも多数招待し、ライブコマースECシェア1位を誇る抖音(ドウイン)
などのプラットフォームで、イベントの様子や展示品の体験レポートをライブ配信しま
した。来場者だけでなく、中国国内のプラットフォームユーザーに対しても愛媛の魅力
を発信することができました。
 参加者からも「現地で見つけたお気に入り商品をECサイトですぐに購入できるのはあ
りがたい」との声をいただくなど、オンラインとオフラインのシナジーを実感できたイ
ベントとなりました。
                       北京事務所 所長補佐 薦田 

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【ソウル事務所】4年に1度の経験!第22代総選挙の韓国
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 クレアソウル事務所は、日本でも有名な観光地である景福宮(キョンボックン)という
朝鮮時代の王宮がある、光化門(クァンファムン)というエリアに位置しています。事務
所の目の前、景福宮へ続く大きな広場では毎日イベントやデモが行われており、歌や演説、
時にはパトカーのサイレンがBGMのように聞こえてきます。
 筆者は4月にソウル事務所に赴任してきて早々に、その広場のにぎやかさに驚いたので
すが、それには理由がありました。4月10日(水)に行われた、第22代総選挙のための選
挙運動が行われていたからです。韓国の公職選挙法で選挙活動は投票日の前日までの13日
間と定められており、立候補者の演説や支持者の投票を呼びかける運動が盛んにおこなわ
れていたのです。
さらに驚いたことに、韓国では大統領選を含む国政選挙の日は水曜日と決められており、
その日は公休日となるのです。週の真ん中を休日にして投票を促すという狙いがあるよう
で、実際に今回の選挙では投票率が67.0%となり、史上2番目の高さになったと報道があ
りました。
 赴任してきて早々にあった今回の出来事は、韓国民の選挙に向かう姿勢や政府の取り組
み、個人的には公休日の嬉しさを一度に感じられた貴重な経験となりました。
                     ソウル事務所 所長補佐 阿部
<参考文献・引用文献>
聯合ニュース
https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595090&c=52174&d=a90b

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【ニューヨーク事務所】子どもたちのオンラインでの安全を守るための闘い
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 日本では新生活が始まり、子どもが新たにスマートフォンを持つことも多い季節となり
ました。子どものスマートフォンの利用、とりわけ、ソーシャルメディアとの関わり方に
ついて、心配に思われるご家庭も多いと思います。アメリカでは、子どものソーシャルメ
ディア利用に関する規制が消費者問題の重要なトピックとなっており、特にネットいじめ
や不適切なコンテンツへのアクセスなどの危険が懸念されています。これらの問題に対処
するため、各州が独自の法案を制定し、未成年者のソーシャルメディアアカウント作成に
親の同意を求める動きが強まっています。例えば、ユタ州では、親が子どものアカウント
への完全アクセス権を持ち、夜間の利用を制限する規制を設けています。カリフォルニア
州ではテクノロジー企業に対し、子どもたちのデータを過度に収集することを防ぐととも
に、不適切なコンテンツへのアクセスを制限するなど、いわばデジタル版のエアバッグや
シートベルトに相当する安全基準に準拠したサービスを提供することを求めています。
 一方で、規制に対する慎重な立場もあります。例えば、規制が成人のオンラインでの表
現の自由を不必要に制限するという話もあります。具体的には、年齢確認のプロセスで個
人情報を提出することが求められる場合に一部の成人はプライバシーの懸念からソーシャ
ルメディアの利用を避ける可能性があるというものです。また、個人情報の収集と保持が
セキュリティリスクを高めるとの懸念があります。具体的には、年齢確認システムを導入
することによりそのソーシャルメディアにおいて個人情報の収集と保持が必要となり、ユ
ーザーのデータ漏洩やプライバシー侵害のリスクが増加するとの懸念です。
 司法の場においては、こうした規制が表現の自由を認めた合衆国憲法修正第1条に反する
可能性があるとの訴えを踏まえ、2023年夏に相次いで連邦地方裁判所が州法の仮差し止め
命令を行うなど、その合法性について議論が続いています。これらの問題は、デジタル時
代における子供の安全と自由のバランスをどのようにとるかという難しい課題を提起して
おり、今後の議論の動向が注目されます。
                 ニューヨーク事務所 上席調査役 圓増
<参考文献・引用文献>
「Lisa Ryckman, "States Search for Ways to Keep Kids Safe on Social Media", National Conference of State Legislatures」
 https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595091&c=52174&d=a90b 
「Natasha Singer, "Sweeping Children's Online Safety Bill Is Passed in California", New York Times」
 https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595092&c=52174&d=a90b 
「Justin Hendrix, Ben Lennett, Gabby Miller, "Fight Over State Child Online Safety Laws May Last Years", Tech Policy Press」
 https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595093&c=52174&d=a90b 

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【ロンドン事務所】スコットランドにおける「生理の貧困」解決のための取り組み
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「生理の貧困」とは、経済的な理由などから、生理用品を入手することが困難な状況に
あることをいいます。
 スコットランドでは、2022年8月にすべての人を対象に生理用品を無償提供すること
を規定した法律が施行されました。そのため、必要な人は誰もが無料で生理用品を手に
入れられるようになり、スコットランドは生理用品を無償で提供する世界初の国となり
ました。そして、スコットランド政府の取り組みに連動するように、レストランなどを
経営する個人事業主も自主的に生理用品を提供し始めました。実際にスコットランドを
旅行していると、大学などの教育施設だけでなく、レストランやパブ、フェリーにいた
るあらゆる場所で生理用品が無償で提供されているのを目にすることができ、社会全体
として生理用品の無償提供が当たり前になっているのです。
 生理用品の無償配布はニュージーランド、アメリカやオーストラリアの一部の地域な
ど、世界各国で行われており、「生理の貧困」を解決するための取り組みが世界中で広
がっています。
 この動きは、経済的な負担を減らすだけでなく、生理への社会的偏見をなくすことに
もつながり、性別関係なくすべての人が活躍できる社会への大きな前進となることが期
待されています。
 「生理の貧困」を終わらせるための世界的な取り組みに注目が集まります。
                    ロンドン事務所 所長補佐 藤本

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【パリ事務所】「フランスの地方自治」を改訂しました!
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 クレアパリ事務所では、2023年度に「フランスの地方自治」を改訂しました。
フランスの地方自治制度全般に関する解説書として刊行している「フランスの地方自治」
は、2017度の改訂以来7年の歳月が経ちました。その間にフランスでは、政治、社会、経
済状況の変遷とともに、地方自治制度においても様々な改革が行われました。
 特に、マクロン政権下においては、地方分権に係る法律が二つ成立・施行されています。
2019年12月27日に成立した「地域生活への関与及び行政の近接性に関する法律」では、メ
ール(市長)の権限及び地域ガバナンスにおける役割の強化や、コミューンと課税型EPCI(※1)
間の権限分配の柔軟化等が図られました。また、2022年2月21日に成立した「地方行政の
差異化、分権化、分散化及び簡素化の諸措置に関する法律」では、権限配分の柔軟性が一
層高まり、各地域の特性に応じた行政運営が可能となったことや、各地域におけるエコロ
ジー移行の役割が強化されたことが特筆すべき点として挙げられます。
 このようなフランスの地方自治制度の変革を踏まえた内容に更新するとともに、地方自
治体による事業運営の形態については、直接管理(直営)、委託管理、地方公施設法人
(地方自治体又は広域行政組織の監督下にある公法上の法人格を持つ団体)、地方公営企
業等の運営主体別に分類し、その概要を新たに記載するなど、日本の自治体関係者の関心
が高いトピックを盛り込んでいます。そのほか、本文の構成を見直し、項目と内容の整理
を行いました。
 改訂にあたってはフランス地方自治関係者にご協力いただき、ヒアリング調査を行った
ほか、可能な限り、資料等のデータを最新のものへと更新しています。
  以下のリンクからご覧いただけますので、ぜひご活用いただければと思います。
(※1)地理的に近接した複数のコミューンで構成される課税権を有する広域行政組織。
「フランスの地方自治」(2023年度改訂版):
https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595094&c=52174&d=a90b
                      パリ事務所 所長補佐 永井

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【編集・発行】一般財団法人自治体国際化協会(企画調査課)
〒102-0083 東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビル7F
HP < https://a16.hm-f.jp/cc.php?t=M595095&c=52174&d=a90b > TEL:03-5213-1722 FAX:03-5213-1741

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