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CLAIRメールマガジン vol.348「成長を続ける中国雲南省のコーヒー産業」

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□■□    CLAIRメールマガジン vol.348(2024年8月9日)
■□     「成長を続ける中国雲南省のコーヒー産業」
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≪CLAIRからのお知らせ≫
【INFO】オンラインセミナー(ロンドン事務所)
「国際競争力&幸福度が高いデンマーク人の価値観とSDGs事例」開催のお知らせ

【INFO】投稿自治体募集!(ソウル事務所)
地域の魅力をトランドラン(@dorandoran_clairseoul)で韓国にPRしてみませんか?

【INFO】セミナー開催のお知らせ!!(国立国会図書館)
令和6年度アジア資料書誌作成セミナー-ベトナム語・初級編

【INFO】開催のお知らせ!!
タイのバイヤーと直接商談ができる見本市「JAPAN SELECTION 2025」

≪海外事務所コラム≫
【北京事務所】成長を続ける中国雲南省のコーヒー産業

【シドニー事務所】ガソリン税の減収対策?EV利用者の新たな負担 ニュージーランドと豪州の現在

【ソウル事務所】韓国の推し活事情~広がりを見せるセンイル広告について~

【ニューヨーク事務所】米国の飲食店で広がる「OMAKASE」文化

【シンガポール事務所】テマセク・ポリテクニックの教育現場

【パリ事務所】仏内務省幹部職員と日本の地方自治制度に係る勉強会を実施!

【ロンドン事務所】教員不足は世界的な課題。英国での教員不足対策は?

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             CLAIRからのお知らせ
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【INFO】オンラインセミナー(ロンドン事務所)
「国際競争力&幸福度が高いデンマーク人の価値観とSDGs事例」開催のお知らせ
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 クレアロンドン事務所では、幅広い分野で活躍されている方々を講師に招き、欧州に
おける「状況」「ニーズ」「考え方」などの情報をお届けしております。
 今回は、デンマーク文化研究家としてご活躍されている針貝有佳氏をお迎えし、国
際競争力と幸福度が高いデンマーク人の価値観とSDGs事例をテーマにご講演いただき
ます。
 北欧デンマークは、国際競争力・幸福度・SDGランキングすべてにおいて上位トップ3
に入っています。デンマークはなぜ高い国際競争力と幸福度を実現しているのでしょう
か。本セミナーでは、デンマークで実践されているSDGs事例の紹介とともに、それらの
秘訣となるデンマーク人の価値観を紐解きます。
 この機会をお見逃しなく!皆様のご参加をお待ちしております。

■開催日時:2024年8月14日(水)18:00~19:00(日本時間)(10:00~11:00(英国時間))
■場  所:オンライン(ZOOMウェビナー形式)
■講  師:デンマーク文化研究家 針貝 有佳 氏
■申込方法:下記登録フォームよりお申込ください
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_vOPHgssmR8e2QIJJm18uIA 

※事前に申込された方は、セミナー終了後も見逃し配信動画を閲覧可能ですので、
当日ご都合のつかない方も、ぜひお申込みください!

<お問い合わせ先> 
一般財団法人自治体国際化協会 ロンドン事務所(担当:佐々木)
 E-Mail:mailbox@jlgc.org.uk

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【INFO】投稿自治体募集!(ソウル事務所)
地域の魅力をトランドラン(@dorandoran_clairseoul)で韓国にPRしてみませんか?
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 クレアソウル事務所では、地域の魅力紹介専用インスタグラム「トランドラン」を
運営しています。
 ターゲットは韓国人で現在登録者3,000 人以上です。
 日本のまだ知られていない魅力を紹介する写真や動画を自治体からいただき、韓国語
の説明文をつけて発信しています。

トランドラン(@dorandoran_clairseoul)
https://www.instagram.com/dorandoran_clairseoul/
 
現在2024年10月~2025年3月に掲載を希望する自治体を募集していますので、
自治体の皆様お気軽にお問い合わせください!
アカウントのフォローも大歓迎です♪

<お問い合わせ先>
一般財団法人自治体国際化協会 ソウル事務所(担当:阿部)
TEL:02-73-5681 FAX:02-732-8873
E-Mail:info@clair.or.kr

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【INFO】セミナー開催のお知らせ!!(国立国会図書館)
令和6年度アジア資料書誌作成セミナー-ベトナム語・初級編
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 アジア言語資料の書誌作成スキルの向上及び継承を目的として、令和6年度アジア資
料書誌作成セミナーを開催します。
 講師として関西館アジア情報課職員が、ベトナム語資料の書誌データを作る際に必要
となる基本的な知識(文字の理解や入力方法、辞書のサイトの紹介も含む。)につい
ての講義を行います。また、質疑応答等を通じて情報交換を図ります。
 今年度は、ベトナム語・初級編です。これまでベトナム語資料の書誌作成の経験が
ない方にもご参加いただけます。

■開催日時:令和6年10月23日(水)午後2時から午後4時まで
■会  場:オンライン(Microsoft社のTeams)
※Teamsアプリのダウンロードが必要です。
■対  象:各種図書館に所属し、書誌作成を担当する方等。
※ベトナム語の語学力は問いません。
■定  員:80名(先着順)。参加費無料。 

■申込方法:下記URLからお申し込みください(10月2日〆切)
URL: https://form.ndl.go.jp/form/pub/ndl7/seminar2024_apply 
※定員に達した段階で受付を終了します。
※申込みにて記載いただいたメールアドレス宛てに、研修資料とWeb会議のURLを送付いたします。

※内容の詳細、申込方法は、下記サイトをご覧ください。
https://ndlsearch.ndl.go.jp/rnavi/asia/guidance_asianseminar2024

<お問い合わせ先>
国立国会図書館 関西館 アジア情報課
TEL:0774-98-1371 
E-mail: ml-k-asia@ndl.go.jp

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【INFO】開催のお知らせ!!
タイのバイヤーと直接商談ができる見本市「JAPAN SELECTION 2025」
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 「JAPAN SELECTION 2025」とは、農林水産品を中心とした日本の特産品の魅力をタイ
のバンコクにて発信、オールジャパンでのB2B海外販路拡大を目的とした見本市です。
 ・海外で販路拡大を行いたいが知識やノウハウも企業のツテもない...。
 ・現地で販売するための各種申請がわからない、面倒くさい...。
 ・展示会出展のみだと商談機会の創出や具体的な話まで進みにくい...。
上記のようなお悩みを抱える企業に最適の海外進出に特化した見本市です。
 また、各自治体様にて地域産品のB2Bでの販路拡大や、商業・観光PRについてご興味
のある方におすすめの見本市となっております。
 ご興味をお持ちいただいた方はお気軽にお問い合せください。

展示会の詳細資料(2024年度、2025年度): https://bit.ly/4f1oEep 
ホームページはこちら: https://js-dmk.jp/ 

■開催日時:2025年1月16日(木)/17日(金)/18日(土)
【B2B向け:16日(木)/17日(金) B2C向け:18日(土)】
■会  場:クイーン・シリキット・ナショナル・コンベンション・センターHall7
■出展対象:下記商品のお取り扱いがある企業様
・農林水産品(加工食品/水産物/畜産物/青果物/冷凍食品/スイーツなど)
・酒類(日本酒/ワイン)
・珍味/調味料(味噌/醤油など)
      ・キャラクターコンテンツ etc
■来場対象:2025年1月16日(木)/17日(金):タイの現地バイヤー
2025年1月18日(土):タイの一般消費者
■申込方法:以下URLよりお申込みください。(10/31締切)
URL: https://js-exhibit2025-pre.cp-apply.com/
※8月までに申し込みいただきますと約10%の早割(1ブース40万円)がございます。

<お問い合わせ先>
JAPAN SELECTION 2025 運営事務局(担当:加藤)
TEL: 080-3571-8136 
E-Mail: a-kato@exc-dmk.co.jp

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              海外事務所コラム
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【北京事務所】成長を続ける中国雲南省のコーヒー産業
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 皆さまは、「雲南コーヒー」という名前を聞いたことがありますか? 
 雲南コーヒーとは、中国の南に位置する雲南省で生産されているブランドコーヒー
で、「苦みが少なくフルーティーで口当たりが柔らかく飲みやすい」のが特徴です。
 雲南省は、中国最大のコーヒー豆の生産地であり、保山市やプーアル茶で有名なプ
ーアル市をはじめ省内各地で盛んに生産されています。雲南省農業農村庁によると、
雲南省では中国のコーヒー豆の98%以上を生産しており、2022年時点で、コーヒー豆
の生産量は約11万トンであり、生産額は33億元(約660億円)に上りました。現在、
国外の多くの地域へ輸出も行っており、世界的に注目を集めています。
 雲南コーヒーの歴史は比較的新しいものです。雲南省がコーヒー栽培に適した土地
や気候を有していることから、1988年頃よりスイス食品大手ネスレなどの企業が栽培
を始め、これをきっかけに、コーヒー産業が発展していくこととなりました。その後、
スターバックスコーヒーが2012年に雲南省プーアル市でアジア初のコーヒー豆栽培者
サポートセンターを設立したことや、国からの技術支援などにより、雲南省のコーヒー
豆の品質や生産性は更に向上しました。
 人民網日本語版によるとコーヒー産業の隆盛は、若者のUターンも促しているとの
こと。現在、優れた管理技術や栽培技術、販売のノウハウを持った若者が雲南省で
コーヒー産業に従事しています。
 2024年には、さらなる産業人材育成のため、雲南農業大学に「コーヒー理工学部」
が設けられました。コーヒー豆の栽培、加工、新製品開発からウェブ制作などのエン
ジニアリングデザインまで、コーヒーに関する複合的な能力を備える人材の育成に重
点を置く中国国内初の学部です。
 今後益々、中国におけるコーヒー産業は発展していくことが予想されます。日本の
カフェなどでも、雲南コーヒーを目にする機会が増えていくことでしょう。
                       北京事務所 所長補佐 山田
<参考文献・引用文献>
・雲南省農業農村庁
https://nync.yn.gov.cn/ 
・『深山から世界へ 雲南コーヒーの発展の道のり』人民日報日本語版,2023年5月22日
http://j.people.com.cn/n3/2023/0522/c94476-20022165.html
・STARBUCKS STORIES JAPAN
https://stories.starbucks.co.jp/ja/stories/2021/farmer-support-center/ 
・雲南農業大学
https://www.ynau.edu.cn/
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【シドニー事務所】ガソリン税の減収対策?EV利用者の新たな負担 ニュージーランドと豪州の現在
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 ニュージーランド(NZ)では、道路維持管理の財源として、2024年4月からEV(電気自動車)
やPHEV(プラグインハイブリッド車)に対しても、Road User Charge(RUC)という
制度を新たに適用しました。この制度では、道路利用者が事前に走行する距離分のラ
イセンスを購入し、車両の窓に貼付けなければなりません。(※1)徴収された料金
は国土交通基金として国や地方自治体の道路の維持管理や公共交通機関など交通イン
フラに対し利用されます。
 この制度は1977年に導入され、近年では3,500kgを超える重量の車両やディーゼル
などの課税対象外の燃料を使用する車両に適用されていましたが、これまでEVやPHEV
については普及促進のため免除されてきました。
 豪州ビクトリア州では同様に、EV利用者に対して道路維持管理費を負担させること
を目的として、2021年7月にZLEV(Zero and Low Emissions Vehicles) road-user charge
という制度を導入しました。(※2)走行距離の確認は所有者がメーターの写真を撮
影し送付する方法で行われ、2022年7月から1年間の収入は390万豪ドル(約4億765万円)
でした。
 しかし、この制度に対して2021年9月に同州内のEV利用者が、「道路利用税は連邦
にのみ課すことが許されている物品税にあたり、連邦憲法第90条に違反している」と
して訴訟を提起し、2023年10月の連邦最高裁判所により違憲判決を受け、同州政府は
全額返金すると発表しました。
 この判例により、ニューサウスウェールズ州と西オーストラリア州で2027年に導入
が予定されている同様の制度について見直す必要が生じています。
 世界的なEVの普及に伴うガソリン税の減収に対して、連邦政府や州政府がどのよう
に対応していくのか、その動向を今後とも注視していきたいと思います。
                     シドニー事務所 所長補佐 太田
※1 1,000kmあたりの走行に課される金額:EVは76NZドル(約7,300円)、PHEVは38NZドル(約3,700円)
※2 1,000kmあたりの走行に課される金額:EVは28豪ドル(約2,900円)、PHEVは23豪ドル(約2,400円)
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【ソウル事務所】韓国の推し活事情~広がりを見せるセンイル広告について~
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 韓国では地下鉄の駅構内を歩いていると、企業の広告に混じって、K-POPアイドル
の写真にファンからのメッセージが散りばめられた一際華やかな壁面広告(と、そ
の広告の前で写真を撮っているファン達)を目にする機会が数多くあります。本コ
ラムでは、現地でセンイル広告と呼ばれているこの広告文化についてご紹介します。
 センイル広告とは韓国発祥の広告文化で、K-POPアイドルやアニメキャラクターな
どのファンが、自分の「推し」を応援するために自費で出稿する広告のことを指し
ます。いわゆる「推し活」の一種です。センイルは韓国語で「誕生日」を意味する
ため、推しの誕生日はもちろん、転じて、デビューや結成周年、ライブなど、多種
多様な出来事を祝うときに出稿されます。出稿の場所も様々であり、地下鉄の駅構
内やバス停など、市内各所で確認できるセンイル広告は、市民にとっても非常に馴
染みやすい広告方法の一つであり、今や韓国の文化の一つと言えます。
 このセンイル広告は、日本でも2019年頃から徐々に広がりを見せており、最近で
は、韓国でのセンイル広告の出稿を代行する日本の会社や、センイル広告に特化し
たサービスを行う日本の鉄道会社が出てくるなど、ビジネスとしても注目され始め
ています(※1)。日本の自治体の韓国におけるPR戦略がセンイル広告と組み合わ
さる日もそう遠くないかもしれません。
                      ソウル事務所 所長補佐 佐岡
<参考文献・引用文献>
※1  https://cheering-ad.jeki.co.jp/blogs/magazine/ouenkoukoku2024
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【ニューヨーク事務所】米国の飲食店で広がる「OMAKASE」文化
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 健康志向の高まりにより、世界中で日本食の人気が高まっています。その一例が、
ここ米国で注目されている「OMAKASE(おまかせ)」です。日本国内の高級寿司店
で提供される「おまかせ」と同様のスタイルが存在しますが、ここ数年の間に「料
理人の腕を信頼して料理を楽しむ」という共通のコンセプトのもと、パフォーマン
スや見た目に重点を置いたものや、他の食文化と融合させたものなど、様々なバリ
エーションが生まれ、体験型のメニューとして提供されています。価格帯は1人あ
たり約$200~$1000(約30,000~160,000円)と非常に高額ですが、着実に市場に定
着しつつあり、「おまかせ」という言葉も一般的に通じるようになっています。
 一方、訪日観光客数に目を向けると、この間の円安の影響などから、米国からの
訪日客が増加傾向にあり、各地域にもその影響が広がっているようです。その急激
な変化に対し、地方の飲食店事業者は、顧客の大半が地域住民や国内観光客である
中で、既存メニューの全英文化や英語による接客、訪日客向けの価格引き上げは負
担となり、即時的な対応が難しいことから、期待する経済効果や訪日客の満足度の
向上が難しい状況であるように思われます。
 そのような中で、OMAKASEは「一言で注文できる手軽さ」や「対面での技術の披露」、
さらには「地域ならではの食材」に対する満足度に加え、「既存メニューとは異な
る高付加価値」を兼ね備えたサービスとして期待が出来ます。
 クレアニューヨーク事務所は、こうした現地における新たなトレンドから米国消
費者の関心をタイムリーにつかむことで、訪日観光客による経済効果を最大化する
ヒントを得るため、引き続き調査を続けていきます。
                   ニューヨーク事務所 所長補佐 村田
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【シンガポール事務所】テマセク・ポリテクニックの教育現場
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 シンガポールでは、「人材」は資源と言われるほど人材育成に力を入れています。
今回は、シンガポールにおける人材育成の一例として、今年度訪問した高等専門学
校「テマセク・ポリテクニック」についてご紹介します。
 シンガポールの中等教育終了後の進路の一つとして、工業技術や商業について実
践レベルの知識を身に付ける専門教育コースがあります。このコースの教育機関で
あるポリテクニックに進学する生徒は全体の52%(※1)です。現在、ポリテクニッ
クは5つ設置されており、実業界の需要に見合う内容、学生の生活面まで配慮する
カリキュラム、実践重視の学習、経験豊富な教員による教育(※1)を特色として
います。
 そのうちの1つであるテマセク・ポリテクニックでは、応用科学、ビジネス、デ
ザイン、エンジニアリング、人間・社会科学、情報・ITを学ぶことができます。実
際に校舎の一部を見学したところ、3Dプリンターや電子機器が充実している教室や、
学生がデザインした洋服が並ぶ教室、誰でも弾けるピアノが置いてある廊下など、
実践に根差した教育環境を垣間見ることができました。
 そういった中で特に興味深かったのが、デザイン学部の学生の発想力を向上させる
ために、AI技術を活用した取り組みがなされていたことです。動物とイスという組
み合わせや自分で描いた絵といったアイデアを素材としてAIに提供すると、AIが新
しいデザインを複数生み出すという仕組みです(※2)。説明していただいた先生
によると、AIをツールとして使うことで、学生はデザインの選択肢を増やすことが
でき、また創出されたデザインから発想を得てより良いデザインを生み出すことに
もつながるということです。また、教える側も、学生がただAIに頼るだけの作品を
作ることがないよう、個人の能力をどのように評価するかを考える機会が増え、教
育の質の向上も図られるという説明もありました。
 施設を訪問した中で、先生方がどのような教育を行っているかを熱心に説明され
ていたこと、また、海外からの学生の受け入れや交換留学など、外部との関わりに
も積極的な姿勢がとても印象的でした。日本の学校との意見交換や施設訪問の依頼
があれば、前向きに検討していただけるということですので、交流に興味がある方
は、テマセク・ポリテクニックも候補として検討してみてはいかがでしょうか。
                   シンガポール事務所 所長補佐 黒岩
<参考文献・引用文献>
※1 テマセク・ポリテクニック説明より
※2 デザイン部の学生にアイデアを提供するための取組
Youtube情報(cnaニュース)
https://www.youtube.com/watch?v=DV1AwOiVowM 
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【パリ事務所】仏内務省幹部職員と日本の地方自治制度に係る勉強会を実施!
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 2024年6月21日、フランス内務省地方自治体総局のセシル・ラカン総局長以下11
名をクレアパリ事務所に招き、「日本の地方自治制度」をテーマとした勉強会を開
催しました。この勉強会は同局から在仏日本大使館を通じ要請があり実現に至った
もので、クレアパリで開催するのは初めてです。同局は、地方自治体の権限や地方
財政、地方分権など、フランスの地方自治体に関する広範な分野を所管しており、
勉強会には同局から各分野を担当する幹部職員が、クレアパリからは前事務所長、
新事務所長のほか職員数名が参加しました。
 勉強会では、前事務所長から「地方自治」の憲法上の位置付け、地方自治体の構
造(二層制)、統治機構の日仏比較、国・地方の権限分配、合併の現状、地方税財
政制度(地方交付税交付金含む)等の説明が行われた後、日仏の地方行政制度の比
較など活発な意見交換が行われました。
 約2時間に及ぶ勉強会では、特に日本の合併推進策に質問が集中しました。フラ
ンスには、3万5千を超えるコミューン(日本の市町村に相当)が存在しますが、
政治的対立などを背景に合併が進まなかった歴史があります。財政的優遇措置を講
じるなどして、総じて円滑に進んだ日本の合併推進策に、同局の幹部職員は非常に
驚いた様子でした。
 そのほか、国と地方自治体は対等な関係か、地方自治体間の権限移譲は全て法律
で規定されるのか、国から地方への財政移転は如何にして行うのか等、地方自治制
度に現に関わる職員ならではの質問が多くあり、両者の見識が深まる非常に有意義
な勉強会となりました。
 クレアパリでは、今後も機会を捉え、各関係行政機関と連携し日仏双方の地方自
治制度について理解を深めてまいります。
                      パリ事務所 所長補佐 阿久津
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【ロンドン事務所】教員不足は世界的な課題。英国での教員不足対策は? 
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 日本では、文部科学省が2021年度に実施した「「教師不足」に関する実態調査(※1)」
を皮切りに、教員不足が深刻な問題として広く認識されるようになりました。しか
しながら、2023年5月に開催されたG7教育大臣会合でも教員不足が話題に上がるな
ど、実は世界各国でも課題となっています(※2)。英国も例外ではなく、政府か
ら資金提供を受けているイングランド内の学校(state-funded schools)での欠員
は、2020年11月の1,100人から2023年11月には2,800人と、2倍以上に増加しました
(※3)。
 それでは、英国ではどのようにこの課題に取り組んでいるのでしょうか?英国の
関係資料に目を通すと、「採用と定着(Recruitment and Retention)」というフ
レーズに何度も出会います。2019年に策定された「教員採用と定着戦略(Teacher 
Recruitment and Retention Strategy)(※4)」の主要な取り組みの柱の一つに、 
「ライフスタイルや人生の願望の変化に関わらず魅力的な職業として確立すること」
が挙げられており、家族と過ごすことと仕事の両立を求めるといった労働者の需要
の変化により、パートタイムなどの柔軟な働き方を提供することが、より多くの人
を教職に惹きつけることに繋がるとしています。柔軟な働き方を促進するためのガ
イダンス(※5)では、パートタイム、ジョブシェア(1人の勤務時間を分割し、
2人以上で同じ業務を実施)、段階的退職(段階的に勤務時間や責任を減少)など
について触れられており、ワークライフバランスの改善や経験豊富なスタッフの確
保などに繋がったという学校からの報告結果にも言及しています。
 英国と日本とでは、教員配置のスキームは大きく異なりますので、こうした取り
組みをそのまま日本で全面的に導入することは難しいとは思いますが、労働者の需
要の変化を踏まえながら、多様な働き方に対応できる仕組みを構築することは、よ
り多くの人に教員として働き続けてもらい、又、教員として働きたい人材を新たに
掘り起こすことに繋がるかもしれません。
 最後に、今般、英国では新政権体制で6,500人の教員を雇用する方針(※6)が
打ち出されました。教員不足の課題がある中で、今後どのように教員確保を達成し
ていくのか、政府の動向も踏まえながら、英国の対応について更に深掘りしていき
たいと思います。
                     ロンドン事務所 所長補佐 今川
<参考文献・引用文献>
※1 「教師不足」に関する実態調査 (検索日:令和6年7月9日)
https://www.mext.go.jp/content/20220128-mxt_kyoikujinzai01-000020293-1.pdf
※2 G7富山・金沢教育大臣会合2日目 (検索日:令和6年7月9日)
https://www.mext.go.jp/b_menu/activity/detail/2023/20230513.html
※3 School workforce in England (検索日:令和6年7月9日)
School workforce in England, Reporting year 2023 - Explore education statistics - GOV.UK (explore-education-statistics.service.gov.uk)
※4 Teacher Recruitment and Retention Strategy (検索日:令和6年7月9日)
https://assets.publishing.service.gov.uk/media/5c8fc653ed915d07a80a33fa/DFE_Teacher_Retention_Strategy_Report.pdf
https://assets.publishing.service.gov.uk/media/5c77fdf240f0b603db40a8c9/6.5092_DFE_Teacher_Retention_Strategy_1Pager_v10ii.pdf
※5 Guidance「Flexible working in schools」 (検索日:令和6年7月9日)
https://www.gov.uk/government/publications/flexible-working-in-schools/flexible-working-in-schools━2#benefits-of-flexible-working
※6 Education Secretary begins push to recruit 6,500 new teachers (検索日:令和6年7月9日)
https://www.gov.uk/government/news/education-secretary-begins-push-to-recruit-6500-new-teachers
・Case study Implementing job shares successfully (検索日:令和6年7月9日)
https://www.gov.uk/government/case-studies/implementing-job-shares-successfully
・Flexible working (検索日:令和6年7月9日)
https://neu.org.uk/advice/your-rights-work/contracts/flexible-working
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