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vol.360「シンガポールの詐欺被害防止への取り組み」

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□■□    CLAIRメールマガジン vol.360(2025年2月14日)
■□  「シンガポールの詐欺被害防止への取り組み」
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               T O P I C S
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≪CLAIRからのお知らせ≫
【REPO】クレアレポート
『フィンランド・オウルにおける起業活動活発化の背景と地方自治体の取組』のご紹介

≪海外事務所コラム≫
【シンガポール事務所】シンガポールの詐欺被害防止への取り組み

【北京事務所】中国のお正月「春節」の過ごし方

【ソウル事務所】2025年の旧正月(1月29日)みなさまは何をして過ごしましたか?

【パリ事務所】ETIASの運用開始は2025年のいつから?
                        
【ロンドン事務所】イングランドにおける地方自治制度見直しの動向について 

【シドニー事務所】遅延とストが日常化?シドニー鉄道ストの影響

【ニューヨーク事務所】ニューヨーク・アダムス市長、精神疾患を抱えるホームレス支援として
過去最大額となる6億5,000万ドル(約1,012億円)の投入を計画

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             CLAIRからのお知らせ
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【REPO】クレアレポート
『フィンランド・オウルにおける起業活動活発化の背景と地方自治体の取組』のご紹介
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 今回紹介するクレアレポートは、2024年3月26日に発行した『フィンランド・
オウルにおける起業活動活発化の背景と地方自治体の取組』です。

 このクレアレポートでは、日本の地方自治体にとって大きな関心の対象となっ
ている起業支援に関して、フィンランドのオウル市における取組を紹介していま
す。オウル市は、ICT 産業の発展に関する研究を始め、既に多くの先行研究にお
いて成功事例として取り上げられ、研究の蓄積がなされています。特に今回のク
レアレポートでは「地方自治体は、いかに起業活動の活発化に関わることができ
るのか」という視点から、先行研究を読み解き、実際に政策に関わった関係者等
へのインタビューを通じて、オウル市の取組を概観し現状の把握を試みています。

 全文は、以下URLよりご覧ください。
< https://www.clair.or.jp/j/forum/pub/docs/553.pdf >

このほか、多くのクレアレポートをHPに掲載しておりますのでぜひご覧ください。
< https://www.clair.or.jp/j/forum/pub/dynamic/clair_report.html >

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              海外事務所コラム
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【シンガポール事務所】シンガポールの詐欺被害防止への取り組み
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 シンガポールは2014年11月に「スマートネーション」構想を発表し、これまで
にスマートフォンを通じた個人の銀行間での送金サービスの「PayNow(ペイナウ)」
やクラウド、ICTなどのデジタル技術の中小企業への導入といった複数の取り組
みを進めてきました。また、2023年には、デジタルエコノミー(デジタルテクノ
ロジーに基づいて成り立つ経済)がGDPの17.7%を占め、中小企業の95%以上がデ
ジタル技術を採用するなどデジタル技術を活用した国づくりを推進しています。
 2024年10月にはローレンス・ウォン首相がこの10年間で得た成果を基盤に、新
たなフェーズとして「スマートネーション2.0」を発表しました。この構想では、
技術革新を国民生活の質向上、経済成長、そして社会の結束に結びつけることを
目指し、「信頼」「成長」「コミュニティ」の3つの柱を中心にデジタル技術を
活用しさらなる国の発展を目指しています。
その一方で、こうしたデジタル技術を悪用したサイバー犯罪を含む詐欺事件は2023年
に4万6,500件発生し、被害総額は6億5180万シンガポールドル(約750億円)に上
りました。
 「スマートネーション2.0」のひとつの柱である「信頼」では、国民に対し安
全で信頼できるデジタル環境づくりのために、5Gネットワークの全国展開やデー
タセンターの強化といったデジタル基盤の堅牢化を進めると共に、詐欺やサイバ
ー犯罪への対策にも力を入れると示されています。
 詐欺被害の中にはSMSを利用した被害もあり、2024年7月以降、すべての政府機
関は同一の「gov.sg」の送信者IDからSMSを送信するようになり、政府からの本
物のSMSと詐欺目的のSMSとの見分けをつきやすくしました。また、シンガポール
政府はSMSを送信する事業者に対し送信者IDを登録することを義務付けることに
より、登録を義務付けた最初の3か月でSMSを使った詐欺事件は70%減少しました。
 その他にも政府技術庁(Government Technology Agency) の一部門である
Open Government Productsが、犯罪防止評議会(National Crime Prevention Council)
とシンガポール警察(Singapore Police Force)の協力のもと、既存アプリ
(ScamShield(スキャムシールド))の改良を行いました。それにより、不正な
電話やメッセージをブロックするだけでなく、ウェブサイトのリンクが詐欺に関
連したものか確認する機能や利用者が詐)欺被害を迅速に報告できる機能が提供
されました。こういったオンライン上での安全性を高める取り組みが進められて
います。
                   シンガポール事務所 所長補佐 坂本                           
<参考文献・引用文献>
・Smart Nation Singapore
 Smart Nation 2.0
https://file.go.gov.sg/smartnation2-report.pdf
・SINGAPORE POLICE FORCE
 Annual Scams and Cybercrime Brief 2023
https://www.police.gov.sg/-/media/Spf/Media-Room/Statistics/Annual-Scams-and-Cybercrime-Brief-2023/Annual-Scams-and-Cybercrime-Brief-2023.ashx
・JETRO「ビジネス短信」(2024年10月7日発)
 スマート国家構想開始から10年、第2段階へ
https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/11/69d8349e018bc1f4.html
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【北京事務所】中国のお正月「春節」の過ごし方
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 昨年12月、「春節-中国人の伝統的な新年を祝う社会的実践」がユネスコ無形
文化遺産に登録されました。
春節とは、旧暦の1月1日のことです。今年は1月28日が大晦日、1月29日が春
節となりました。大晦日から1週間程度、会社や学校は休日となり、多くの人が
実家へ帰省し、家族団らんのひと時を過ごします。
 春節の前日、大晦日には「年夜飯」と呼ばれる年越し料理を食べます。縁起を
担ぐことが多い中国では「毎年ゆとり(余)がありますように」を意味する四字
熟語「年年有余」の「余」と同じ発音である「魚」を使った一品料理が、多くの
家庭で食べられる定番の年夜飯です。その他にも、北京などの東北地方では年夜
飯の後、年が変わる0時ちょうどに「年が変わり新年が訪れる」を意味する四字
熟語「更歳交子」の「交子」と同じ発音の餃子(中国では水餃子が一般的)を食
べる風習があります。このように、地域や家庭によってメニューはさまざまです
が、どこの家でも家族の幸せや新年を祝う料理が食卓に並びます。
 また春節には、真っ赤な封筒にお金を入れたお年玉「紅包」を子供に渡します
が、キャッシュレス大国である中国らしく、オンラインでお金を送金する電子版
紅包も増えています。中国版LINEと呼ばれる微信には、グループ内へ紅包を送る
と、誰がいくら貰えるかランダムで決まる運試し機能もあり、大人や友人同士で
の新たな紅包文化となっています。
 中国でも、日本と同じく新年を祝うためお寺に行きますが、北京では「雍和宮」
が人気で、訪れる人の多さにお寺前の道路は車が通行できなくなるほどです。こ
のお寺では色鮮やかなさまざまな種類のブレスレットが購入できます。ブレスレ
ットの中にはお寺の線香の灰が入っており、玉一つ一つに持ち主の幸せを願う意
味が込められ人気を博しています。
                       北京事務所 所長補佐 久保
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【ソウル事務所】2025年の旧正月(1月29日)みなさまは何をして過ごしましたか?
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 1月29日(水)、韓国は旧暦1月1日を祝う旧正月ソルラルを迎えました。ソ
ルラルは旧暦8月15日を祝う秋夕チュソクと並ぶ代表的な祝日です。(※1)
韓国では例年、ソルラル当日とその前後1日ずつを祝日とし3連休となるのです
が、2025年は韓国政府が「旧正月連休を迎え国民の休息を支援し、消費活性化を
通じた内需回復を後押しする」という理由から1月27日(月)を臨時公休日に指
定し、土日を含め6連休となりました。1月31日(金)に休暇を取得すれば9連
休の超大型連休となると韓国内のニュースでも報道されています。
 ソルラル期間中はお店や施設が休業になり、韓国人の多くが帰省や旅行で移動
するため交通機関が大混雑するというニュースやSNS発信を見かけたことがある
方もいるのではないでしょうか。
 実際2025年のソルラル期間はどうだったかというと、ソルラル当日の1月29日、
百貨店やマートはほとんど休業していましたが、文化施設は多くが開館しており、
韓国の伝統的な芸能公演や遊び体験など、ソルラルならではのイベントを行って
いる場所もありました。また交通機関は、仁川空港を利用して海外へ移動した1
日の旅客数が過去最多の21万9,800人を記録しました。さらに今年はソルラル期
間中の1月27日ごろから韓国全土に例年にない規模の大雪が降ったこともあり、
鉄道が遅延したり高速道路では帰省車両の事故が相次いだりという報道もありま
した。
 日本では旧正月のお祝いはあまりなじみがないかと思いますが、韓国のソルラ
ルを感じることができる機会もあったようです。駐日韓国文化院ではソルラルを
体験できるイベントが開催されました。またソルラルに韓国でよく食べられる料
理を紹介する韓国料理屋のSNS発信も見かけました。
 2025年の旧正月(1月29日)みなさまは何をして過ごしましたか?
 韓国から、「新年の福をたくさん受け取ってください(セヘ ボン マニ パドゥセヨ!)」。

※1 クレアメールマガジンvol.352「【ソウル事務所】秋夕(チュソク)について」
https://www.clair.or.jp/j/mailmagazine/backnumber/2024/10/clair_vol352.html

                      ソウル事務所 所長補佐 阿部
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【パリ事務所】ETIASの運用開始は2025年のいつから?
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 2025年1月から旅行など短期滞在目的でイギリスに入国する日本国籍者は事前
に電子渡航認証(ETA)を申請し、認証を得ることが必要になりました。以前か
ら、アメリカでは電子渡航認証システム(ESTA)が運用されていましたが、イギ
リスでも同様のシステムが施行された形です。また、2025年中には、フランスな
ど欧州諸国30か国でも同様に欧州渡航認証(ETIAS)の申請が必要になる予定で
す。
 しかし、ETIASの開始時期は1月10日現在でも、いまだに確定していません。出
入国システム(EES)の運用開始の6か月後からETIASが運用開始されると規定さ
れていますが、そもそもEESの施行開始時期が明確に定まっておらず、2025年か
らという年だけが決まっている状態です。元々は2021年の運用開始を予定してい
ましたが、幾度か延期され、2025年となりました。2024年中には再度の延期は行
われませんでした。こうした状況を悪用しETIASをかたる詐欺サイトまで登場し、
各国政府が注意喚起を行う事態にもなっています。
 現時点ではEESの開始が公表されていないためETIASの運用開始は少なくとも6月
以降と見込まれますが、今年ヨーロッパへ出張などがある場合は、各地の日本大
使館などが発表する最新の情報に十分注意する必要があります。
                       パリ事務所 所長補佐 柳澤
<参考文献・引用文献>
イギリスのETAについて(在英日本大使館)
https://www.uk.emb-japan.go.jp/itpr_ja/ETA.html
欧州渡航認証(ETIAS)について(在仏日本大使館)
https://www.fr.emb-japan.go.jp/itpr_ja/04010.html
ETIAS公式ページ(英語)
https://travel-europe.europa.eu/etias_en
「EUがビザ不要の渡航認証を2025年に延期、導入でどう変わる?」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/23/103000557/
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【ロンドン事務所】イングランドにおける地方自治制度見直しの動向について 
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 日本の地方自治制度では、いわゆる二層制(都道府県・市町村)を採用してい
ますが、英国では複数の制度が存在しており、イングランドでは二層制と一層制
が混在、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドでは一層制に統一されて
います。(※1)
 今般、2024年12月16日付けで「英国権限移譲白書(English Devolution White Paper)」
が公表され、イングランド内の二層制の地域を一層制へ再編成する方針案が示さ
れました。(※2)
 イングランドの二層制では、いわゆる県機能を持った「カウンティカウンシル
(County council、全21箇所)」と、市町村機能を持った「ディストリクトカウ
ンシル(District council、全164箇所)」で構成されていますが、これらをユ
ニタリーカウンシル(Unitary council)に統合(単一化)しようというもので
す。(※1、3)
当該統合により、地方自治体の合理化、政治家数の削減、住民へのサービス提供
に集中できる体制を構築することなどが期待されているようです。同白書におい
て、他のレポート結果を参照し、5年間で29億ポンド(約5,602億円)の潜在的
な節約が見込まれること、実施後は年間7億ポンド(約1,352億円)の節約が可
能になると推定されることなどが触れられています。
 イングランドの地方自治体への訪問などを検討している場合には、動向を注視
していただければと思います。
                     ロンドン事務所 所長補佐 今川
<参考文献・引用文献>
※1 英国の地方自治(令和5年度(2023年度)改訂版)
https://www.jlgc.org.uk/jp/wp-content/uploads/2024/04/028a4d20560ea2270dfb3e7ea5c63531.pdf
※2 English Devolution White Paper
https://www.gov.uk/government/publications/english-devolution-white-paper-power-and-partnership-foundations-for-growth/english-devolution-white-paper
※3 Is my council going to be abolished?
https://commonslibrary.parliament.uk/is-my-council-going-to-be-abolished/
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【シドニー事務所】遅延とストが日常化?シドニー鉄道ストの影響
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 日本では、電車が1分でも遅れるとお詫びのアナウンスが流れるのが当たり前
ですが、近頃シドニー都市圏では、ストライキの影響で電車が正常に運行しない
ことが一般的になりつつあると感じます。筆者自身の経験だけでも、予定してい
た終点とは異なる手前の駅で降ろされたり、走行中に電車が線路上で停止し車内
で立ち往生したり、3分後に到着予定と案内板に表示されていた電車が30分後に
到着したりという有様です。
 昨年半ばから、シドニー都市圏で働く鉄道従業員の労働組合と雇用主であるニ
ューサウスウェールズ州政府との間で賃金闘争が行われており、その影響でスト
ライキが断続的に行われています。労働者側からの要求は多岐にわたりますが、
最も重要な要求である年間8%、4年間で32%の賃上げは、州政府から繰り返し
拒否されています。(※1)
 昨年末には、電車の本数を大幅に減らすストの予定が浮上したことで、毎年世
界中から観光客が集まるシドニーカウントダウン花火も中止の危機に直面しまし
た。最終的に、ストは土壇場で公正労働委員会(※2)の権限により中止となり、
無事花火が実施されました。また、ストの影響で25万人もの人々が街中に閉じ込
められると見込まれていましたが、この事態も回避されました。
 ストライキは年が明けても続いており、例えば、1月15日(水)の朝には、通
勤時間帯に予定されていた393本の列車のうち、100本以上が運休し、最大5時間
近い遅延があった路線もありました。
 従業員がより良い賃金や労働条件を求めることは労働者の権利であると思いま
す。ですが、電車の運休や遅延のせいで、本来間に合っていた約束の時間に間に
合わなくなりそうになり、泣く泣くUberを利用して想定外の出費をした経験がそ
ろそろ数えきれなくなってきました。せめて次の大事な約束には安心して電車で
向かえるよう、そして筆者のお財布事情のためにも賃金闘争の早期終結をお願い
したいところです。
                シドニー事務所 調査員 Emily Yamanishi

(※1)残業代や手当を含めた現在の平均年収は、運転手で128,196豪ドル(約1,240万円)、
警備員で114,564豪ドル(約1,100万円)と報道されています。
(※2)国の法律により設置されている、職場関係の紛争などを裁定する機関。
ストライキの実施は、委員会により基本的に保護されます。一方で、個人の生命や安全などを危険にさらしたり、
国の経済に重大な損害を与えたりすると委員会が判断した場合、委員会はストライキの停止又は終了を命じることができます。
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【ニューヨーク事務所】ニューヨーク・アダムス市長、精神疾患を抱えるホームレス支援として
過去最大額となる6億5,000万ドル(約1,012億円)の投入を計画
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 米国住宅都市開発省の報告によると、アメリカでのホームレス数は約77万1千
人とされており、そのおよそ20%にあたる約15万8千人以上がニューヨーク州に
いるとされています。人口比では同州が全国で最も多く、1万人に81人がホーム
レス状態です。ちなみに厚労省の調査によると、日本全体でのホームレス数は約2,800人
であり、アメリカの人口が日本のおよそ約2.6倍であることを踏まえても、圧倒
的に多いことが分かります。
 彼らは路上以外にも、24時間営業している地下鉄の車両で寒さをしのぐことが
多く、筆者も通勤時など、座席で寝ている姿を頻繁に見かけます。最近では地下
鉄の車両内で、ホームレスの女性が同じくホームレスの男性に火を付けられて死
亡した事件が大きな話題となり、こうした暴力的な問題への対応として、ニュー
ヨークのアダムス市長は過去最大額となる6億5,000万ドル(約1,012億円)を投
入する5か年計画を2025年1月9日に発表しました。
 本計画では、精神疾患を抱えるホームレス状態の人々を収容し、精神科の治療
や薬物乱用治療を行い、恒久的な住宅へ移行させるための新しい施設の建設のほ
か、ホームレス状態の人々のための「セーフヘブン」宿泊所を900床追加し、合
計4,900床とする予定です。また、貧困や住宅不安定といった生涯にわたる悪循
環を未然に防ぐため、シェルターで生まれる子どもをなくすという新しい目標を
設定し、もうすぐ親となるホームレスシェルター申請者を、子どもが生まれる前
に恒久的な住宅を見つけられるサービスと繋ぐパイロットプログラムを開始する
ことも表明しました。
 こうした取り組みがニューヨークのホームレス問題を打破するものとなるのか、
今後の動向に注目していきたいと思います。
                   ニューヨーク事務所 所長補佐 中上
<参考文献・引用文献>
・ https://www.huduser.gov/portal/sites/default/files/pdf/2024-AHAR-Part-1.pdfhttps://nypost.com/2025/01/08/us-news/ny-saw-53-spike-in-homelessness-in-2024-largely-due-to-migrants-in-nyc-shelters-feds/https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39817.htmlhttps://nypost.com/2025/01/09/us-news/mayor-adams-unveils-650m-plan-to-help-mentally-ill-homeless-new-yorkers-in-state-of-the-city-speech/https://www.nyc.gov/office-of-the-mayor/news/012-25/mayor-adams-lays-out-ambitious-agenda-make-new-york-city-best-place-raise-family-fourth#/0https://www.cnn.co.jp/usa/35227792.html
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