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vol.362「上海におけるインバウンド拡大の取り組み」

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□■□    CLAIRメールマガジン vol.362(2025年3月14日)
■□     「上海におけるインバウンド拡大の取り組み」
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               T O P I C S
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≪CLAIRからのお知らせ≫
【INFO】一般社団法人JP-MIRAI
「外国人労働者受入れに関する自治体向けセミナー」開催のお知らせ

≪海外事務所コラム≫
【北京事務所】上海におけるインバウンド拡大の取り組み

【ソウル事務所】韓国内外の方へ向け派遣元自治体の魅力をPR!~天皇誕生日祝賀レセプション~

【パリ事務所】フランスのビストロ・カフェ文化とその危機
                        
【ロンドン事務所】英国における電子渡航認証(ETA)の導入について

【シドニー事務所】「理想の首長を目指すゲーム」?地域政策を学ぶ新たなアプローチ

【ニューヨーク事務所】NYCの公園における様々な取組み

【シンガポール事務所】シンガポールにおける生涯学習振興の取り組み

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             CLAIRからのお知らせ
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【INFO】一般社団法人JP-MIRAI
「外国人労働者受入れに関する自治体向けセミナー」開催のお知らせ
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 国内の深刻な労働人口不足に対応するため、外国人労働者の受入れは、今後
ますます拡大すると見込まれており、各自治体におかれましても、優秀な人材
の確保や定着に向けた取組み、日本語教育や多文化共生活動の推進など、様々
な取組みが行われていることかと思います。
 本セミナーでは、優良な取組みや今後の課題を共有し、併せて自治体の皆様
にご活用頂ける、JP-MIRAIツールについてご説明させて頂きます。多くの自治
体関係者の皆様のご参加をお待ちしております。

■開催日時:
3月25日(火) 15:00-16:00(最大16:15)
■会  場:
オンライン
■対  象:
自治体関係者を中心に一般公開
■申込方法:
下記ページ内にある申込みリンクからお申込みください。
https://jp-mirai.org/jp/events-ja/20250307/

<お問い合わせ先>
一般社団法人JP-MIRAI(担当:椿原)
TEL:050-6883-5531
E-Mail:ask@jp-mirai.or.jp
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              海外事務所コラム
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【北京事務所】上海におけるインバウンド拡大の取り組み
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 上海は多くの外国人観光客が訪れる中国屈指の観光都市であり、2024年の外
国人渡航者の受け入れ実績は670万人を越えると予測されています。日本や韓
国からの渡航者に加え、東南アジアからの渡航者も増加しています。昨年、ビ
ザ免除措置対象国の範囲を拡大したことも影響していると言われています。
 他方で、外国人渡航者にとってこれまで課題だったのが、支払い手段です。
中国では、生活のほぼ全てが、スマートフォンによる電子決済で完結しますが、
外国人渡航者にとっては、その設定に時間と手間がかかっていました。そこで、
上海市では、旅行者の利便性向上のため、現金チャージ式の「上海パス」の運
用を開始しました。到着した空港や駅で簡単に入手でき、地下鉄、タクシー等
の交通機関や飲食店、観光施設の入場料等の支払いができるとともに、特定の
施設では割引サービスも受けられます。
 また、多言語対応の強化も進んでいます。上海市の観光情報ウェブサイトは
日本語、英語はもちろん、急増する東南アジアの旅行客向けに、タイ語やイン
ドネシア語など14の言語に対応しており、異なる言語の人々が、簡単に観光地
やレストランの情報を得ることができます。
 旅行の目的地となる観光施設の開発も進んでいます。2016年に開業した上海
ディズニーリゾートに続き、2025年夏には、日本、韓国に続きアジアでは3か
所目となる、上海レゴランドリゾートがオープンする予定です。
 上海の、外国人観光客の受け入れに向けた様々な取り組みについて、今後も
注目されます。
                      北京事務所 所長補佐 岩下
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【ソウル事務所】韓国内外の方へ向け派遣元自治体の魅力をPR!~天皇誕生日祝賀レセプション~
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 クレアソウル事務所では毎年、在大韓民国日本国大使館及び釜山日本国総領
事館主催の「天皇誕生日祝賀レセプション」へ参加し、所長補佐が派遣元自治
体を代表して地方PRブースをかまえ、招待された韓国や日本そのほか大使館と
交流のある世界各国のゲストに地域の魅力を紹介しています。今年は2月19日
ソウル特別市会場へ島根県・宮崎県・愛媛県、2月20日プサン広域市会場へ鳥
取県・鹿児島県・愛媛県の所長補佐が参加しました。
 筆者はソウル会場に参加し、韓国で買うことができる島根県の日本酒をゲス
トへふるまいました。レセプションでマグロの解体ショーがあり刺身や寿司が
ふるまわれていたこと、北海道産のホタテや愛媛県産のぶりが提供されていた
ことから、日本酒と貝や魚との相性がとてもいいことを説明したところ、食事
とのマッチングに好評をいただけました。日本酒が何からどのように作られて
いるのか、ほかの酒と比べてどのような特徴があるのかなどを韓国語で説明す
る際、単語や短い文ではなく長く続けた文で説明することが難しく、もどかし
い思いもしましたが、現地調査員の力も借りながら思いを伝えることが出来ま
した。大使館及び在釜山総領事館と交流のある多くの方や、地方PRブースに出
展された日本の自治体のみなさまと交流でき、貴重で有意義な経験になりまし
た。また、派遣元の島根県の酒を味わっていただけたことも嬉しかったです。
 筆者がソウル事務所に赴任し、間もなく1年が経とうとしています。赴任後
も日々韓国語学習に励んでいますが、レセプションでの経験を通して、実際の
会話から学ぶことの多さを改めて実感しました。そして来年度は、今よりももっ
と現地の方と"会話"をしようという新たな目標も出来ました。

 天皇誕生日祝賀レセプションのソウル会場とプサン会場の報告、また昨年以
前に行われたレセプションの様子は下記ホームページに掲載しておりますので、
ぜひご覧ください。

クレアソウル事務所HP「在韓日本大使館主催行事」
https://www.clair.or.kr/appeal/promotion/promotion_list.asp?bc=810
                     ソウル事務所 所長補佐 阿部
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【パリ事務所】フランスのビストロ・カフェ文化とその危機
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 パリの街を歩くと必ず目にする、カフェテラスでくつろぐ人々。コーヒーや
ワインを片手に仲間と談笑したり、一人で本を読んだりと、思い思いの形で時
を過ごしています。フランス人にとって、ビストロやカフェは飲食店という枠
を超えた他者との交流を支える大切な場所であり、生活の一部と言えます。
 2024年9月末、フランス文化省は、「フランスのビストロとカフェにおける
社会的・文化的慣行」(※1)を国の無形文化遺産に登録することを発表しま
した。この背景には、ビストロ・カフェ文化の衰退への懸念があります。公開
された文書の中で筆者にとって特に印象的だったのは、フランス国内における
ビストロの数が急激に減少している点です。ビストロとは、レストランに対し
てよりカジュアルで気軽に利用できる小料理屋、または居酒屋を指します。そ
の数が1960年代の約20万件から、現在は4万件以下に減少しているのです。フ
ランスの基礎自治体であるコミューンの数は約3万6千であることを考えると、
文化そのものの存続が危ぶまれる状況にあることがわかります。カフェも含め
て数が減少している原因として、ファストフードおよび国際的なチェーン店の
普及や、客の回転率の低さや単価の安さに起因するビジネスモデルの脆弱性、
職業としての魅力低下などが指摘されています。今回の無形文化遺産登録活動
を主導した団体(※2)は、今後ユネスコ無形文化遺産への登録を目指してい
くことを発表しています。
 そのほかにもさまざまな普及活動が実施されています。この一環として昨年
13年ぶりに復活を遂げたのが、飲食店で給仕を行う人がトレーにコーヒー、ク
ロワッサン、そしてコップ一杯の水を載せてパリの街を猛スピードで歩く
「カフェ・レース」(※3)です。さらに今後は「全国ビストロ・カフェの日」(※4)
を設置する計画もあるようです。
 ビストロ・カフェ文化を保全するこれからの動きに注目です。
※1 登録名:Les pratiques sociales et culturelles dans les Bistrots et Cafe's en France
※2 L'Association pour la reconnaissance de l'art de vivre dans les bistrots et cafe's de France en tant que patrimoine culturel immate'riel
(直訳:フランスのビストロとカフェの生活芸術を無形文化遺産として認定する会)
※3 La Course des Cafe's、2011年までのLa Course des Garc,ons de Cafe'
(直訳:ギャルソン・レース)から名称を変更
※4 Journe'e nationale des bistrots et cafe's
                       パリ事務所 所長補佐 辻
<参考文献・引用文献>
・フランス文化省ウェブサイト
https://www.culture.gouv.fr/Thematiques/patrimoine-culturel-immateriel/Le-Patrimoine-culturel-immateriel/l-inventaire-national-du-patrimoine-culturel-immateriel
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【ロンドン事務所】英国における電子渡航認証(ETA)の導入について
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 これまで観光や乗り換えでの入国など短期の滞在で英国に入国する際には事
前の申請が不要でしたが、2025年1月8日からヨーロッパ以外の国については電
子渡航認証(ETA)の申請が義務付けられることとなりました。(※1)
 本稿ではこのETAとはどのようなものか紹介します。

 Visit Britainのホームページによると、このETAの導入はすべての国を対象
にして一括に適用がなされるのではなく、2年間かけて段階的に行われていま
す。(※2)
 まず2023年11月15日以降の渡航からETAをカタールに対して求め、その後2024
年2月1日からバーレーン、ヨルダンを含む6か国にその対象を拡大しました。
そして、今年に入り、1月8日からそれまで対象外となっていたヨーロッパ諸
国以外のすべての国籍者に対してETAを求めるようになりました。EU圏につい
ても4月2日以降の渡航から義務付けられる運びです。(※3)
 ETAはあくまでも渡航認証であり、認証されたとしても入国の際に入国審査官
による審査を受ける必要があります。申請にはパスポートやEメール、顔写真が
必要で、申請料は10ポンドとなっています。通常は申請してから3英国営業日
以内に認証の可否が判断される見通しで、一度申請をすると以後2年間有効と
なり、期限内であれば英国入国回数の制限はありません。(※4)
 英国政府は国境の安全を強化し、渡航を改善するために電子渡航認証の導入
を開始したとしています。(※5)
 同様の制度は、世界各国でも導入されており、例えばアメリカのESTA、カナ
ダのeTA、オーストラリアのETAが該当します。また、具体的な時期は未定です
が、今年中に欧州連合加盟国への入国にETIASの導入も予定されています。(※6)
 日本では現在、71の国と地域に対して入国の際のビザ免除措置を実施してお
り(※7)、電子渡航認証は導入されていません。しかしながら、日本政府観
光局(JNTO)が算出したデータによると、2024年12月時点の訪日外客数は2023
年の同月比の27.6%増となっており、円安傾向にあることも含め日本の歴史や
伝統文化、日本食を求める観光客は今後も増加することが予測されます。(※8)
 世界各国における電子渡航認証制度導入が広がっていることから、日本にも
同様の制度が取り入れられる日もそう遠い未来ではないのかもしれません。
 今後英国に旅行や出張される際には、事前に英国政府のホームページ等をご
確認いただき、申請を忘れないようお気をつけいただけますと幸いです。
                    ロンドン事務所 所長補佐 緑川
<参考文献・引用文献>
※1 Electronic Travel Authorisation Version 6.0(検索日:令和7年2月6日)
https://assets.publishing.service.gov.uk/media/66e2fb8a3f1299ce5d5c3db4/Electronic+Travel+Authorisation+Guidance__11_.pdf 
※2 The UK's new Electronic Travel Authorisation (ETA) scheme is now open(検索日:令和7年2月6日)
https://www.visitbritain.org/news-and-media/uks-new-electronic-travel-authorisation-eta-scheme-now-open#:~:text=From%2015%20November%202023%2C%20nationals%20of%20Qatar%20can,the%20Electronic%20Visa%20Waiver%20scheme%20for%20Qatari%20nationals.
※3 Electronic Travel Authorisation (ETA) factsheet-January 2025(検索日:令和7年2月6日)
https://homeofficemedia.blog.gov.uk/electronic-travel-authorisation-eta-factsheet-january-2025/
※4 Apply for an electronic travel authorisation (ETA)(検索日:令和7年2月6日)
https://www.gov.uk/guidance/apply-for-an-electronic-travel-authorisation-eta
※5 Electronic Travel Authorisation (ETA) scheme factsheet-February 2024(検索日:令和7年2月6日)
https://homeofficemedia.blog.gov.uk/2024/02/01/electronic-travel-authorisation-eta-scheme-factsheet-february-2024/
※6 EU Entry/Exit System(検索日:令和7年2月6日)
https://www.gov.uk/guidance/eu-entryexit-system
※7 ビザ免除国・地域(短期滞在)(検索日:令和7年2月6日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/tanki/novisa.html
※8 訪日外客数および出国日本人数(検索日:令和7年2月6日)
https://statistics.jnto.go.jp/graph/
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【シドニー事務所】「理想の首長を目指すゲーム」?地域政策を学ぶ新たなアプローチ
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 もしあなたが市長になれるなら、どんな政策を実現したいですか?ニュージー
ランドのセルウィン町では、この問いに答えるユニークな試みが行われていま
す。人口がわずか5年で約29%増加し、2023年には約78,000人に達する成長を
遂げたこの町(※1)で、セルウィン青年議会はゲーム会社と共同で「Super Mayor」
というPCゲームを開発しました。このゲームでは、プレイヤーが議会議員とし
て地域課題に取り組み、最終的には望ましい首長として当選を目指します。
 「Super Mayor」の開発には、セルウィン青年議会が若者の地方自治に対す
る関心の低さを懸念し、これを改善するためのアイデアを議会に提案したこと
が背景にあります。この試みは町役場の全面的な支援を受け、「地方自治の仕
組みを楽しく学べるツール」として実現しました。町幹部職員のデニース・キッ
ド氏は、「このゲームは若者の理解を深め、地方自治の重要性を実感させる貴
重なツールである。」と評価しています。(※2)このゲームでは、予算配分
や住民サービス、環境保護などさまざまな地域課題に向き合い、その選択がど
のように地域社会に影響を与えるかを体験できます。これにより、地方自治の
仕組みを実際に学び、政策決定の難しさや住民の声を反映する重要性を実感す
ることができます。実際、Steamプラットフォームでは、このゲームを4,000人
以上がライブラリに追加しており(※3)、セルウィン町の人口と比べてみて
もいかに多くの人々に関心を持たれているかを物語っています。
 日本でも、高校生が「SimCity BuildIt」を使って理想のまちを設計し、自
治体に提案を行うワークショップが実施されています(※4)。
 「Super Mayor」のようなシミュレーションゲームは、今後、自治体と住民
のつながりを深め、地域社会の活性化を促進するためのツールになるかもしれ
ません。あなたも、住民に求められる首長を目指してプレイしてみてはいかが
でしょうか?
                    シドニー事務所 所長補佐 棟方
<参考文献・引用文献>
(※1)Census data confirms Selwyn is the fastest-growing district
https://www.selwyn.govt.nz/news-And-events/news/census-data-confirms-selwyn-is-the-fastest-growing-district-2024
(※2)(※3)Selwyn District Council-Are you ready to be the next Super Mayor?
https://www.selwyn.govt.nz/news-And-events/news/archived/are-you-ready-to-be-the-next-super-mayor-2024
(※4)宮崎県小林市シムシティ課
http://www.tenandoproject.com/tenando_SimCityBuildIt/
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【ニューヨーク事務所】NYCの公園における様々な取組み
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 世界三大都市の一つとして知られるニューヨーク市は、高層ビルが立ち並ぶ
コンクリートジャングルのイメージが強いかもしれません。しかし、そんなニュ
ーヨーク市には約1700以上の公園が存在し、市民にとって自然を感じられる憩
いの場となっています。有名な公園として、セントラルパークやブライアント
パーク等が挙げられますが、これらの公園では年間を通じて様々なイベントが
実施されており、平日、休日を問わず一年中多くの人で賑わっています。
 ニューヨーク市の公園に関する情報は、ニューヨーク市公園局
(New York City Department of Parks & Recreation)の公式HP(※1)で確
認することができ、ニューヨーク市内の公園の一覧や公園内の施設、イベント
の情報などが細かく掲載されています。公園で実施されているイベントのほと
んどは無料で参加可能で、特に夏の間は、屋外コンサートやミュージカル、芝
生の上での映画鑑賞やヨガ教室などが毎日のように開催されます。
 また、ニューヨーク市の公園では、公民連携の運営・管理が行われており、
公園内で行われるイベントは基本的に民間組織やボランティアが実施主体とな
ります。例えばセントラルパークにおいて、市の公園局はCentral Park Conservancy
(以下、CPCと言う。)(※2)と呼ばれる非営利団体に公園の管理・運営を委
託しています。CPCは主に個人の寄付によって資金を調達し、公園の永続的な
保護・改善を目的に公園内の樹木や芝生の手入れ、ビジターサービスなど、公
園の維持管理等に対応しています。年間1億ドル近くが寄付によって集まり、
運営費の約75%を民間資金で賄っています。また、ブライアントパークの管理・
運営についてもニューヨーク市公園局と契約を結んだBryant Park Corporation(※3)
と呼ばれる民間の非営利組織が携わっています。2024年の報告書(※4)によ
ると、公園の管理・運営、イベントの実施等に年間3000万ドル近くの費用がか
かっており、そのうち80%ほどが民間からの寄付やスポンサーシップ、公園内
にあるレストランのレンタル料などで賄われています。こういった民間組織や
ボランティアの存在は市の予算削減だけではなく、地域全体としての経済発展、
地元雇用の促進にもつながっています。
 このように、ニューヨーク市の公園は行政の力だけではなく、NPOの民間組
織や市民によるボランティアの力によって支えられています。ニューヨーク市
におけるユニークな公民連携や様々な公園の活用方法は日本の公園施策にも多
くの示唆を与えてくれます。
                  ニューヨーク事務所 所長補佐 岡本
(※1) https://www.nycgovparks.org/
(※2) https://www.centralparknyc.org/about
(※3) https://bryantpark.org/?/about-us
(※4) https://bryantpark.org/assets/uploads/documents/general/FY24_BryantParkCorporationandBryantParkManagementCorporation_FS.pdf
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【シンガポール事務所】シンガポールにおける生涯学習振興の取り組み
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 シンガポール政府が1月22日に発表した「未来経済におけるスキル需要に関
する報告書」によれば、従来「クリエイティブでない」とされてきた職業にお
いても、今後は創造的なスキルを身に付ける必要があると指摘しています。例
えば、ソフトウェア開発者には、利用者が直感的かつ視覚的に操作しやすいア
プリケーションをデザインするスキルが求められます。また、飲食店の経営者
には、他店との差別化を図るためのブランドデザイン能力が必要とされていま
す。このように、さまざまな職業で創造的なスキルを持つことの重要性が高まっ
ていることが報告書で示されました。
 労働市場が日々変化する中、労働者が柔軟性と競争力を獲得できる社会を構
築するため、シンガポール政府は生涯学習の振興に努めています。その中心と
なるのが、2015年に開始された「SkillsFuture」プログラムです。このプログ
ラムは、国民にスキル向上の機会を提供し、個々人がキャリアを主体的に形成
できるよう支援するものです。
 本プログラムでは、25歳以上の国民に対し、政府や企業が実施する研修プロ
グラムの受講料として利用できる助成金を500シンガポールドル(約57,000円)
付与しています。
 また、ワンストップ型のオンラインプラットフォームを整備しており、受講
できるコースを閲覧できるほか、助成金の申請や自身のスキル・学歴を登録し
て求人に応募することができます。例えば、AIに関する講座だけでも1,000を
超えるコースを提供しており、基礎的な内容から実践的・発展的な内容まで、
幅広い学習ニーズに応えています。
 2023年には、シンガポール国民の約10%に当たる52万人が本プログラムを利
用しており、その中でも、40歳以上を対象とした中堅社員向けのキャリア支援
助成金の受給者が約40%を占めており、働き盛りの世代のスキルアップへの関
心が特に高いことがうかがえます。
 政府だけでなく、教育機関や地域社会も生涯学習の振興において重要な役割
を果たしています。大学やポリテクニック(日本の高等専門学校に相当)は、
産業界のニーズに対応するコースを提供し、修得したスキルが実際の職場で活
かせるよう工夫しています。また、地域の公共図書館では、生涯学習に関連す
る講演会やワークショップが定期的に開催され、市民が気軽に参加できる環境
が整えられています。
シンガポールは天然資源が乏しい一方で、人的資源への投資によって現在の発
展を遂げました。この歴史を踏まえ、政府は「学び続ける社会」の構築を進め、
個人のキャリア形成や生活の向上を支援しています。これらの取組は、今後も
変化する経済環境に適応し、シンガポールのさらなる発展の基盤として機能し
ていくことが期待されます。
                  シンガポール事務所 所長補佐 西本
<参考文献・引用文献>
・未来経済におけるスキル需要に関する報告書
https://jobsandskills.skillsfuture.gov.sg/sdfe-2025 
・シンガポール人材開発省「SkillsFuture運動」
https://www.mom.gov.sg/employment-practices/skills-training-and-development/skillsfuture 
・SLILLSfuture
https://www.skillsfuture.gov.sg/ 
・MySKILLSfuture
https://www.myskillsfuture.gov.sg/content/portal/en/index.html
・SLILLSfuture Annual report 2023/2024
https://www.skillsfuture.gov.sg/docs/default-source/about-skillsfuture/annual-reports/skillsfuture-singapore-fy2023-annual-report.pdf
・Training Partners Gateway
https://www.tpgateway.gov.sg/training-grants/training-grants-from-government-agencies/skillsfuture-credit
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