CLAIRメールマガジンバックナンバー
vol.371「食で地域を盛り上げる仕掛け:NY発「レストランウィーク」」
___________________________________ ■□■ □■□ CLAIRメールマガジン vol.371(2025年8月8日) □■□ 「食で地域を盛り上げる仕掛け:NY発「レストランウィーク」」 ■□■  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ≪CLAIRからのお知らせ≫ 【INFO】(経済交流課)2025年度草の根技術協力事業(草の根協力支援型、 草の根パートナー型、地域活性型)の募集受付をJICAにて開始! 【INFO】(大阪府泉佐野市)『2025年日米姉妹都市サミット』開催 ≪海外事務所コラム≫ 【ニューヨーク事務所】食で地域を盛り上げる仕掛け:「NY発レストランウィーク」 【ロンドン事務所】アイルランドイヤー2025 【パリ事務所】夏の訪れを告げるFete de la musique 【シンガポール事務所】シンガポールはどこまで広がるのか? 【ソウル事務所】ソウル市バス労組「遵法闘争」で静かな抗議 【シドニー事務所】ビビッド・シドニー:都市型イベントの国際モデル 【北京事務所】雄大な竹林の海を観光資源に。中国中国四川省宜賓市「蜀南竹海」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■CLAIRからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ___________________________________ 【INFO】(経済交流課)2025年度草の根技術協力事業(草の根協力支援型、 草の根パートナー型、地域活性型)の募集受付をJICAにて開始!  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ JICA(独立行政法人国際協力機構)が所管する国際協力活動(草の根技術協力事業) について、2025年度募集が開始されました。 さまざまな分野にて活用が可能ですので、ぜひ一度募集要項をご覧ください。 ◆申請期限 草の根協力支援型:令和7年11月28日(金)必着 草の根パートナー型・地域活性型:令和7年10月20日(月)必着 ◆募集事業 1 草の根協力支援型 草の根協力支援型は、開発途上国への支援実績が少ないNGO等の団体を対象にしたものです。 提案団体が事業実施を通じて開発途上国への国際協力の経験を積み、将来的に国際協力の 担い手として活躍することが期待されます。 2 草の根パートナー型 草の根パートナー型は、開発途上国における国際協力に関し豊富な実績を有しているNGO等 の団体を対象にしたものです。提案団体がこれまでの経験や強みを活かし、開発途上国の 課題解決により寄与する事業を展開することが期待されます。 3 地域活性型 地域活性型は、地方公共団体を対象としたものです。事業実施により、地方公共団体及び関 連団体の知見・経験・技術等を活用した海外展開が推進され、開発途上国の開発課題の解決 とともに日本の地域や経済の活性化にも寄与することが期待されています。 WEB< https://www.jica.go.jp/activities/schemes/partner/kusanone/form.html#application > ___________________________________ 【INFO】(大阪府泉佐野市)『2025年日米姉妹都市サミット』開催  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 大阪府泉佐野市において、『2025年日米姉妹都市サミット』が開催されます。 日米両国において、初開催となる本サミットは、主催者である全米国際姉妹都市協会(Sister Cities International)の理念である「人と人の繋がりの力を信じる」を具現化したもので、 急激に変化する今日の世界情勢において、日米間のパートナーシップを草の根レベルから強化 するなど大きな意味を持つものです。 日米間で既に姉妹都市提携を締結している自治体や関係者の皆様はもちろん、新たに姉妹都市 提携に興味のある自治体や関係者の皆様、国際交流関係機関の皆様のご参加もお待ちしております。 <概要> 主催者:全米国際姉妹都市協会(Sister Cities International) 開催期間:2025年9月16日~19日 主な会場:SiSスターゲイトホテル(大阪府泉佐野市りんくう往来北1番地) 詳細や参加申し込みについては、ホームページをご確認ください。 < https://sistercities.org/sci-japan/ > <問合せ先> 大阪府泉佐野市 成長戦略室おもてなし課 担当:井尻・今中 Tel:072-447-8126 E-mail:omotenashi@city.izumisano.lg.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■海外事務所コラム ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ___________________________________ 【ニューヨーク事務所】食で地域を盛り上げる仕掛け:NY発「レストランウィーク」  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 皆さんもご存じのとおり、ニューヨークは世界中からさまざまな国の人々が集まる都市です。 食の面でも多国籍で多様性に富み、中華やイタリアン、メキシカン、韓国、インド、アフリカ 料理など、ありとあらゆる国の料理を楽しむことができます。そんな豊かな食文化をお得に楽 しめる「レストランウィーク」と呼ばれるプログラムが、例年、冬と夏の2回実施されています。 このプログラムは、1992年に、グルメガイドの創設者であるティム・ザガット氏とレストラン 経営者であるジョー・バウム氏により考案されたものです。当時は、3コースランチ(前菜・ メイン・デザート)を19.92ドルで提供するという破格の価格設定で、これがかなりの反響を 呼び、以後30年以上続いています。 現在は、500軒以上のレストランが、ランチとディナーで、特別価格のメニューを提供しており、 普段は敷居が高い有名店でも、お手頃な金額で食事を堪能することができます。夏は、観光客が 多く、在住者も外出する機会が増えるため、このプログラムでより一層フードツーリズムが活性 化しますし、冬は、ホリデーシーズンが終わり、観光客が最も少ない時期に開催されるため、 飲食店の集客に資する面もあります。 このニューヨーク発のプログラムはシカゴ、ロサンゼルス、ワシントンD.C.などの米国内の大都 市をはじめ、中国やチェコ、ベトナムなどにも広がっています。日本の地方自治体にとっても、 地域の食文化を広めるアイデアとして参考になれば幸いです。 (ニューヨーク事務所 所長補佐 中上) 【参考文献】 < https://www.nytimes.com/2017/07/09/nyregion/the-siren-call-of-restaurant-week-and-how-it-all-started.html > < https://www.nyctourism.com/ > < https://www.prnewswire.com/news-releases/restaurant-week-spring-2025-in-china-savor-michelin-and-black-pearl-menus-in-china-with-unionpay-international-302399305.html > < https://restaurant-week.cz/restaurantweek > < https://restaurantweek.vn/lang/en > ___________________________________ 【ロンドン事務所】アイルランドイヤー2025  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 2025年度後期のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」は、明治時代のアイルランド人(英国籍) 作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、その妻である松江の士族の娘・小泉セツの 歩みをモデルとした物語です。 小泉八雲は、物語好きのセツが語って聞かせた古くから伝わる怪異譚などを記録・翻訳して、 文学作品として海外に広めたことで知られており、1904年に出版された八雲の代表作である 「怪談」は、耳なし芳一や雪女、ろくろ首などの日本人なら一度は聞いたことのある話が、 独自の文体でまとめられています。 2024年は「怪談」出版および八雲没後120年、2025年は八雲生誕175年と節目となる年で、 関連イベントが多数開催されています。日本やアイルランドを拠点とするアーティストたちが 「怪談」にインスピレーションを得て制作した作品の企画展「怪談-ラフカディオ・ハーンと の邂逅」は、日本やアイルランドにとどまらず、他国でも巡回開催される予定となっています。 八雲関連に限らず、2025年はアイルランドが国としての存在感を高めようと取り組む「グロー バル・アイルランド」戦略のターゲットイヤーとなっているため、さまざまな施策がインター ナショナルに展開されています。 日本に関連したものでは、大使館や政府機関、イベントスペースなどを一体化した「アイルラ ンドハウス・東京」が7月に四谷に公式開館し、アジアにおけるアイルランドの文化・政治・ 経済の促進拠点としての役割を担っていくこととなっています。 大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)にも参加しており、自前で建設するタイプのパビリ オン完成第1号となったアイルランド館は、伝統工芸や音楽、豊かな自然などを身近に感じる ことのできる空間となっています。 2025年後半も「アイルランド」から目が離せません。 (ロンドン事務所 所長補佐 野村) 【参考文献】 < https://www.nhk.jp/g/blog/32hjnnvho-7z/ > < https://www.hearn-museum-matsue.jp/kwaidan120/#about > < https://www.hearn-museum-matsue.jp/exhibition-setsu.html > < https://kwaidanexhibition.com/about-kwaidan/ > < https://kwaidanexhibition.com/venues-events/ > < https://www.gov.ie/en/department-of-the-taoiseach/campaigns/global-ireland-irelands-global-footprint-to-2025/ > < https://www.ireland.ie/en/japan/Ireland-Japan-2025/ > < https://www.ireland.ie/en/expo/ > < https://www.mofa.go.jp/mofaj/erp/we/ie/pageit_000001_02120.html > < https://nordot.app/1241700016389292730?c=302675738515047521 > ___________________________________ 【パリ事務所】夏の訪れを告げるFete de la musique  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 6月21日、フランス全土でFete de la musique(音楽祭)が開催されました。毎年、夏至の 日に開催されることから、夏の始まりを想起するイベントとなっています。 このFete de la musiqueは1982年に文化省によって始められました。当時、文化省の調査で、 フランス国内に約500万人の楽器演奏者がいることが明らかになり、音楽がフランス人の生活 に深く根付いていると改めて認識されたことが開催のきっかけになったようです。この祭典は、 ジャンルを問わず、プロ・アマいずれも参加して演奏することが可能で、聴衆は街角、バー、 レストラン、コンサートホールなどさまざまな場所で、夜から翌朝にかけて音楽を楽しむこと ができます。 今やフランス最大級の文化イベントの一つとなっており、毎年数百万人の観客を動員しています。 その影響はフランス国内に留まらず、現在ではヨーロッパをはじめ、コロンビア、ペルー、中国、 ケニア、カナダなど世界約120か国に広がっています。 一方で、今年の音楽祭では、「ニードル・スパイキング」と呼ばれる注射器を使った加害行為や、 群衆の暴動、散乱するゴミなど、音楽を楽しむどころではない現実もありました。夏の訪れを告 げる音楽の祭典は、喜びをもたらすとともに、公共空間における規範の在り方を、私たち一人ひ とりに問いかけているのかもしれません。 (パリ事務所 所長補佐 田淵) 【参考文献】 < https://www.culture.gouv.fr/evenements-nationaux/fete-de-la-musique > < https://www.lemonde.fr/en/france/article/2025/06/22/wave-of-syringe-attacks-mar-france-s-music-street-festival_6742605_7.html > < https://www.leparisien.fr/paris-75/fete-de-la-musique-a-paris-six-personnes-poignardees-onze-femmes-se-disent-victimes-de-piqures-22-06-2025-4C6SH2UIWFFGTCONEFPDMZA6BY.php > ___________________________________ 【シンガポール事務所】シンガポールはどこまで広がるのか?  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 島国であるシンガポールでは、限られた国土を最大限に活用するため、政府が長年にわたり 「埋立地」の造成を進めてきました。経済発展に伴い、住宅、公園、産業地区などの用地確 保が必要となる中、埋め立ては国の発展に欠かせない戦略のひとつです。 同国の国土面積は、1960年には581.5㎢でしたが、2030年までに766㎢とする計画です。実現 すれば、70年間で約1.3倍、面積にして約185㎢の拡張となります。東京23区の約3分の1に 匹敵する広さで、まるで都心の一角を丸ごと海から生み出すようなイメージです。 一方で、シンガポールの多くは海抜の低い土地であり、地球温暖化による海面上昇は中長期 的な脅威です。こうした課題に対応するため、都市再開発庁(URA)は2023年、東部沿岸に 全長約20kmの人工島「ロング・アイランド」の開発計画を発表しました。このプロジェクト は100年先を見据えた国家的取り組みであり、最終的には約8㎢の島が誕生する予定です。 これは、経済発展と気候変動対策を両立する象徴的なプロジェクトともいえるのではないで しょうか。30年後、50年後のシンガポール本島から見る海の風景は、今とは大きく変わって いるかもしれません。 また、シンガポールは「横」に加えて「下」にも広がろうとしています。公共交通機関MRT (大量高速輸送)は、限られた空間で効率よく移動する手段として、都市計画の中核を担っ ています。現在、島内には6路線(合計約240km)が走っていますが、今後はさらに2路線 が新設される予定です。そのうちのひとつでは、自然保護区の地下70mを貫く路線建設が決 定しており、完成すれば世界でも有数の地下深い地下駅のひとつになります。参考までに、 日本で最も深い地下鉄駅は都営大江戸線の六本木駅(地下42.3m)です。 陸も海も地下も活用しながら「広がり続ける国・シンガポール」は、これからも世界の注目 を集め続けるでしょう。 (シンガポール事務所 所長補佐 安本) 【参考文献】 < https://www.clair.org.sg/wp-content/uploads/2025/03/b132437ccec1cb417a4ba09c0f6981f1.pdf > < https://www.sg101.gov.sg/infrastructure/case-studies/sand/ > < https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/tokyoto/profile/gaiyo/kushichoson > < https://www.ura.gov.sg/corporate/planning/Master-Plan/Draft-Master-Plan-2025/Long-Island > < https://www.lta.gov.sg/content/ltagov/en/upcoming_projects.html#rail_expansion > < https://www.lta.gov.sg/content/ltagov/en/upcoming_projects/rail_expansion/cross_island_line.html > < https://www.japan-tunnel.org/sites/default/files/inline-files/TUNNEL2015.pdf > ___________________________________ 【ソウル事務所】ソウル市バス労組「遵法闘争」で静かな抗議  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 2025年4月30日と5月7日、ソウル市のバス労働組合は賃金交渉の決裂を受け、バスの運行を止め ずに抗議の意思を示す「遵法闘争(ワーク・トゥ・ルール)」を実施しました。 4月30日早朝、筆者の携帯電話には「緊急通告:本日よりソウル市バス労組、遵法闘争に突入」 との通知が届きました。ニュースを確認すると、運転手たちは制限速度の厳守、信号や横断歩道前 での完全停止、全乗客が着席するまで発車しないなど、法定の安全規則を厳格に守ることで抗議の 意思を示すと報じられていました。一見すると当然の行為にも思えますが、韓国・ソウルではこれ が「通常運行」とは異なる抗議行動としての意味を持つということです。背景には、韓国のバス運 行体制に特有の事情があります。韓国の都市部の多くでは、「準公営制」が導入されています。 これは、バス会社の運行や人件費を自治体が支援する一方、運行実績に応じた評価に基づくインセ ンティブ配分が行われる制度です。ソウル市では、各バスにGPSを搭載し、運行管理センターがリ アルタイムで位置や到着予測時刻を把握しています。こうしたシステムにより、「定時運行率」や 「本数遵守率」などが評価され、会社ごとに補助金額が左右されます。こうした運行体制のもと、 ソウル市のバスはスピードと高頻度運行を重視しており、現場では急発進・急停車、乗客がいない 停留所の通過など、効率性を優先した運転が報告されています。そのため、法定のルールを「厳格 に守る」運転は、結果としてダイヤの遅延や乗降時間の増加を引き起こし、「通常とは異なる」 運行となるのです。しかしながら、遵法闘争が実施された両日とも運行ダイヤの一部に遅れは生じ たものの、全体として交通機関の大きな混乱には至らず、市民生活への深刻な影響は避けられました。 ソウル市バス労組は、バスの運行を止めるストライキではなく、市民生活に過度な混乱を与えず、 現場の労働環境の厳しさを可視化する手段として、遵法闘争という静かな戦術を選んだということです。 現在(2025年6月末時点)、ソウル市以外の地域のバス労組ではすでに労使交渉が妥結している一方、 ソウル市では依然として交渉が継続中であり、今後の動向が注目されています。 (ソウル事務所 所長補佐 薛) 【参考文献】 < https://www.sbus.or.kr/ > < https://news.seoul.go.kr/traffic/archives/1706?tr_code=img > < https://topis.seoul.go.kr/map/openBusMap.do > < https://opengov.seoul.go.kr/sanction/31152719 > ___________________________________ 【シドニー事務所】ビビッド・シドニー:都市型イベントの国際モデル  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 2025年6月14日、約3週間にわたりシドニーで開催された光の祭典「ビビッド・シドニー」 が終了しました。 本イベントは2009年に初開催され、現在では、シドニーが所在するニューサウスウェールズ (NSW)州の州政府が主導する、国際的な観光コンテンツとして定着しています。NSW州に よれば、昨年2024年は250万人以上の観光客を動員するなど、大規模な集客を記録しており、 今年2025年はさらにその動員数を上回り、5月のホテル稼働率も記録を更新しているとの ことです(2025年の観覧者数は6月末現在未公表)。 イベント開催に伴うNSW州政府の具体的な予算・支出額は公表されていないものの、2024年の 訪問者支出(経済波及効果)は1億8000万豪ドル(約180億円)に達したとされています。 本イベントは、アートや音楽などを合わせた都市型イベントであり、特に夜間経済(ナイト タイムエコノミー)の活性化に寄与するものと評価できます。 日本国内でも、都市型のイルミネーションイベントを通じた観光誘致や地域活性化への関心が 高まりつつありますが、本イベントの特筆すべき点として、観光閑散期となりがちな冬季に 都市コンテンツを提供し、持続的な成果を挙げている点があると考えられます。 また、実際のイベント設計においては、以下のような工夫が見られます。 ・地理的・時間的なピーク分散型の運営がなされており、来場者が一箇所に集中しない設計が 意識されている。 ・花火など大規模な催事については事前告知を避けるシークレット開催とし、混雑の回避と 都市滞在時間の延長、さらには「期待感」の創出につながっている。 加えて、今年2025年には、AR(拡張現実)技術を活用した参加型の展示が導入され、来場者が スマートフォンなどを使って作品とコラボできる体験が提供されました。これにより、参加意識 の満足度の向上とSNSなどを通じた情報拡散が促進されたと考えられます。 このような、広域かつ複合的に展開される都市型イベントを成功させるには、州政府による企画 運営能力だけでなく、地域住民・事業者・ボランティアなど多様なステークホルダーの協力が 不可欠です。 2026年も開催が決定されたビビッド・シドニーは、行政と地域の協働による新しい観光コンテンツ 創造・定着の先進事例として、日本の今後のイベント政策や観光施策においても、参考となるので はないでしょうか。 (シドニー事務所 次長 西川) 【参考文献】 < https://www.nsw.gov.au/departments-and-agencies/dciths/ministerial-media-releases/its-lights-on-vivid-sydney-celebrates-15-years-on-global-stage?utm_source=chatgpt.com > < https://www.nsw.gov.au/departments-and-agencies/dciths/ministerial-media-releases/vivid-sydney-soars-past-one-million-attendees-ahead-of-june-long-weekend?language=ja > < https://www.nsw.gov.au/departments-and-agencies/dciths/ministerial-media-releases/vivid-sydney-calls-for-creatives-as-2026-dates-confirmed > ___________________________________ 【北京事務所】雄大な竹林の海を観光資源に。中国中国四川省宜賓市「蜀南竹海」  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 蜀南竹海は中国四川省宜賓市長寧県に広がる天然竹林の景勝地です。面積120平方キロメートル (東京ドーム約2,566個分)の観光地区を有しています。地方政府によって「竹」を中心とした さまざまな観光に係る取組が行われており、2023年の観光客数は105.9万人、チケット収入は 約5,976万元(日本円約12億円)とされています。 竹と観光を融合させる仕掛けづくりとして、例えば、宜賓市は竹林の保護に配慮しながら、その 雰囲気を生かすような遊歩道などの整備を実施しています。市内には竹文化テーマパークとして 100種類以上の竹が生育する竹文化生態公園があり、2024年、この公園内に宜賓竹文化博物館が 開館しました。宜賓市の都市計画に係る展示のほか、竹の歴史文化や竹工芸品など、竹にまつわ るさまざまな展示が行われており、宜賓の竹に根付いた文化の知名度向上に一役買っています。 また、市の公式サイトでは、蜀南竹海の景勝地内にある龍隠寺の発祥で、500年以上の歴史を持つ タケノコのコース料理「全竹宴」も、観光客が竹と接する体験の一つとして人気を博しています。 古くから日本でもなじみのある植物である竹林。中国の竹観光の今後の動向が注目されます。 (北京事務所 所長補佐 久保) 【参考文献】 < https://www.yibin.gov.cn/lhsfq/zjlh/lhgk/202406/t20240621_1997559.html > < https://www.yibin.gov.cn/lhsfq/lhzw/lhyw/202503/t20250312_2101553.html > < https://www.yibin.gov.cn/xxgk/rdgz/202309/t20230904_1900280.html > < https://www.yibin.gov.cn/xxgk/jryb/tpbd/202405/t20240530_1990369.html> < https://wglyj.yibin.gov.cn/gzdt/qxzl/202505/t20250509_2117292.html > 【編集・発行】一般財団法人自治体国際化協会(企画調査課) 〒102-0083 東京都千代田区麹町1-7 相互半蔵門ビル7F HP: https://www.clair.or.jp/ TEL:03-5213-1722 FAX:03-5213-1741 Copyright(C) 2025 Council of Local Authorities for International Relations.All Rights Reserved. 許可なく転載することを禁じます。 配信解除は、下記の登録解除フォームにより手続きをお願いします。 https://www.clair.or.jp/j/mailmagazine/index.html#unsubscribe
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