自治体の海外活動支援
海外事務所ごとの個別事項:シンガポール事務所
【シンガポールについて】
1 世界から注目を集めるシンガポール
経済発展の著しいASEAN地域やインドを訪問する地方公務員の数は、年々確実に増えてきています。特にシンガポールは、その先進的な施策や治安の良さなどから海外視察先などに選ばれることが多いようです。なかでも、観光関連機関(政府観光局やカジノを含む統合型リゾート)、港湾施設や空港、教育省や学校現場などへの訪問希望が多いですが、最近では、世界各国からこれらの機関への視察・訪問者が殺到しており、アポイントメントの取付けが非常に難しくなっています。受入側も対応者は限られており、多くの引き合いの中から対応案件を選別する状況であるため、たとえ自治体の首長などの訪問であっても、“一般的な表敬訪問やただ話を聞きたいというのではメリットがない”というのが、相手方の率直な意見です。特に、訪問の予定を立てる前には、過去に訪問した職員がいないかどうかを調べるなどして、前例があるときには、その調査内容が重複しないようにするなどの注意が必要です。
また、訪問するに当たっては、あらかじめ訪問の具体的な趣旨や議論したい内容を明確に提示し、打合せの場では、常に相手方と意見交換をするという意識を持ち、日本の情報を相手方に提供するという姿勢が望まれます。
2 訪問時期と注意事項
シンガポールには、欧米のようなサマーバケーションの習慣はありませんが、旧正月の時期には多くの人が長期休暇をとります。また、祝日の中には毎年日付が変わるもの(旧正月、ハリ・ラヤ・プアサ、ディーパヴァリなど)があるため、注意して訪問の予定を立てなければなりません。また、学校施設の訪問などに関しては、シンガポールでは年4回のスクールホリデーがあるので注意が必要です。
3 自分でアポイントメントを取り付ける場合
シンガポールの政府機関に自らアポイントメントを取り付ける場合には、次のような方法があります。
•インターネット公開情報の利用
シンガポールは、「アジアの情報通信ハブ」を目指している国だけに、国に関する情報はインターネットを通じて、世界各国から容易に入手できるよう工夫がなされています。特に、シンガポール政府のウェブサイト(http://www.gov.sg/)で公開されている公的機関に関する情報は、非常に参考になり、各省庁をはじめとする公的機関の組織や事務内容に関する情報も入手可能です。また、電子メールによる質問や照会も受け付けており、アポイントメントを取り付けることもできます。
•その他のアプローチ
インターネットの利用以外の方法では、日本で発行されているシンガポールに関する文献や資料を参考にして、調査目的にかなう機関を見付けることになります。その後は、アポイントメントの取付けや質問状の送付などの直接交渉になるため、できるだけ担当部局、担当者に関する情報を入手することになります。シンガポール政府ウェブサイトの「Directory」に政府機関の各部局の担当職員名及び連絡先(直通電話番号、e-mail)が記載されていますのでご活用ください。
また、担当部署の判断がつきかねるときには、ほとんどの公的機関に配置されている広報担当官(Public Relation Officers)に、関係部局や担当者に関する照会をすることができます。
•アポイントメントの取付け
アポイントメントの取付けは、電子メールや電話でのやりとりが一般的です。電話で連絡を取る場合、シンガポールの人の話す英語はかなり速く独特の言い回しもありますが、できるだけ簡潔な言葉で要点を伝えるようにしましょう。電話でアポイントメントを取り付けた場合には、確認のため、電子メールを送付しておくことをお勧めします。
また、シンガポールの公的機関は、旅行代理店が仲介することを嫌う傾向にあるため、できるだけ直接アポイントメントを取り付けることが望ましいといえます。旅行代理店に依頼する場合には、訪問の目的などを具体的に相手方に伝えてもらうようにしなければなりません。
【シンガポール以外のASEAN諸国およびインドについて】
シンガポール以外のASEAN諸国およびインドでの活動は、国によって行政システムが大きく異なるため事前に十分な調査が必要です。日本では地方自治体が行っている事務が、国によっては、中央政府や国の出先機関である地方行政府、また、州政府や村落共同体が行っている場合もあります。各国の行政制度等の概要については、クレアレポートなどを参考にしてください。
また、これらの国々では、交通事情が悪い場合もあるので、十分に余裕を持った日程づくりを心がけてください。アポイントメントの取付けは、電子メールや電話でのやりとりに加えて、自署名(サイン)をしたオフィシャルレターの送付による方法が一般的で、通常、電子メールでのPDFファイルの送付で足りることが多いですが、国によっては、日本と同様に原本の送付が必要なこともあります。
【訪問にあたって】
訪問に際しては、相手方が必ずしも英語が通じるわけではありませんので、打合せ時の使用言語を確認するようにしてください。また、貴重な面会時間を有意義に活用するため、通訳者の手配をお勧めします。特に英語以外の現地言語での通訳が必要な場合は、経験のある通訳者が限られていることから確保が難しい場合もありますので、早めの手配を心がけてください。相手方の部署名や担当者名、役職名などは、その言語で書かれたものを事前に入手しておくと便利です。