姉妹交流活動の参考事例
姉妹自治体優良事例紹介
鳥取県-江原道 日韓交流への取り組み
- 鳥取県
- 大韓民国 江原道
交流事業の特色
- 様々な主体が多様な分野で交流
県、市町村、学校、民間団体等の様々な主体が、スポーツ、文化、青年等様々な分野の交流を行っている。 - 歴史やゆかりを活かした交流
史実をきっかけに、それを活かした交流やイベントを行っている。 - 活躍する韓国のJET参加者
鳥取県内には、現在11名(うちJET9名)の韓国の国際交流員及び外国語指導助手が勤務している。彼らは、鳥取県の日韓交流の推進には欠かせない存在である。 - 高等学校における韓国語教育の充実
現在、県下31高校中、8高校で韓国語教育を実施している。韓国の外国語指導助手(ALT)も2名配置し、韓国語教育を充実したものとしている。 - 韓国に対する県民の理解を深める取組み
県民に対し、韓国の歴史や文化、韓国語などを学ぶ機会を設けている。 - 北東アジア地域連携のパートナーとして
北東アジア地域国際交流・協力地方政府サミットへの参加(鳥取県、韓国江原道、中国吉林省、ロシア沿海地方、モンゴル中央県の5地域が参加)などにより、北東アジア地域の地方政府が相互に連携・協力し、地域の発展を目指すことを目指している。
県内の子ども達と江原道の子ども達が、各々実施している環境活動や研究を発表したり意見交換などを実施
取県・江原道子ども環境交流事業
交流事業の内容
鳥取県における日韓交流の特徴として、県、市町村、民間団体等の様々な主体が、スポーツ、文化、青年等の多様な分野の交流を行っていることが挙げられる。特に、江原道との交流は、各団体、各層が重層的に行っており、本県の日韓交流の最大の特徴といえる。そこで、次に県が行っている(または、これまでに行った)特徴的な交流事業等の具体例を挙げる。
歴史やゆかりを活かした交流として、1819年の蔚珍郡からの商船の漂着、1963年の巨済島からの漁船の漂着等の史実をきっかけに、2001年12には韓国から乗組員やその関係者等を招聘し、「心温まる日韓交流を知る会」を開催した。また、2003年8月には、琴浦町に日韓友好交流公園「風の丘」をオープンし、その一角に建設した日韓交流資料館では、漂着の史実や鳥取での滞在の様子を紹介する展示などを行っている。
また、鳥取県にとって、江原道は北東アジア地域連携のパートナーでもある。2005年11月9日に江原道春川市において、第10回北東アジア地域国際交流・協力地方政府サミットが開催された。このサミットは、鳥取県をはじめ、韓国江原道、中国吉林省、ロシア沿海地方、モンゴル中央県の5地域の知事、省長が一同に会し、相互の連携と協力により、地域の発展を目指すことを目的としている。鳥取県と江原道は、この地域連携において中心的な役割を果たしており、両地域間の交流と信頼関係が、北東アジア地域の多地域間の交流に発展したものである。このたびのサミットでは、大学の研究者の交流、鳥インフルエンザ等家畜伝染病の共同研究、青少年と子供、文化芸術、スポーツ、人的交流等を多地域間において共同で実施することなどについて合意した。
このほか、特に鳥取県と江原道の間では、お互いの地域で開催される全国的な行事において国際交流関係行事の目玉となる文化芸術公演団や交流団を派遣しあうなどの相互協力を行っている。例えば、鳥取県で行われた「山陰・夢みなと博覧会」(1997)と江原道で開催された「江原道国際観光エキスポ」(1999年)における相互出展、2002年に鳥取県で開催された日本の国民文化祭には7団体122名の江原道の文化公演団が出演参加、2004年に江原道で開催された江陵国際観光民俗祭へ11名の鳥取県荒神神楽公演団を派遣、また、2002年、江原道に襄陽国際空港が開港した際には、文化交流団を中心とする137名の訪韓団をチャーター便で江原道に派遣した。
さらに、日本と韓国は行政的にも類似点が多いため、韓国における地方行政を参考にすることも多々ある。鳥取県では、県民の意見を聴くことや、総合窓口として県民の便宜を図ることを目的として、1999年に県民室を設置したが、この手本となったのが、韓国の官公庁にある民願室である。また、韓国では地域の伝統文化や芸術等、文化行政を重視しているが、これを参考に鳥取県でも文化観光局を設置し、地域の文化・芸術の情報発信などに取り組んでいる。逆に、男女共同参画に係る政策については、江原道が鳥取県をはじめとする日本の施策を参考にしている。その他、IT分野や地方分権など、共通する課題やその解決策について具体的に議論し、学んでいる。
鳥取県の概要 | 江原道の概要 | |
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人口 | 606,277人 | 約153万人 |
面積 | 3,507.25km² | 16,873.73km² |
概況 | 鳥取県は、日本列島本島の西端に位置する中国地方の北東部に位置し、東西約120km、南北約20~50kmと、東西にやや細長い県である。北は日本海に面し、鳥取砂丘をはじめとする白砂青松の海岸線が続き、南には、中国地方の最高峰・大山をはじめ、中国山地の山々が連なっている。山地の多い地形ながら、三つの河川の流域に平野が形成され、それぞれ鳥取市、倉吉市、米子市が流域の中心都市として発達している。気候は比較的で温暖で、春から秋は好天が多く、冬には降雪もあるなど、四季の移り変わりは鮮やかである。また、台風などの自然災害が少なく、気候条件に恵まれている。 | 江原道は、韓半島中央部の東側に位置し、太白山脈を中心に嶺東と嶺西で大きく分けられている。緯度上では北緯37度02分から38度37分、経度上では東経127度05分から129度22分にわたる。東西の長さは約150㎞、南北は約243㎞に達し、東には約212㎞にわたり海岸線がある。また、面積は16,873.73k㎡で、大部分が山地で形成されている。平野は、東海岸地方の江陵及び北坪付近と嶺北地方の鉄原を含め、春川、原州など大小の盆地が山間地域に分布するだけで、各河川流域の北方は峡谷状態を呈している。季節風気候帯に属しており、冬は大陸性気候で寒く乾燥し、夏は海洋性気候の影響を受け高温多湿で雨が多い。また、春・秋には晴れて乾燥した天気が続く。江原道は、韓国でも有数の観光地であり、雪嶽山国立公園など多くの観光資源に恵まれている。また、畜産、林業が盛んであり、鉄、石炭、石灰石などの地下資源も豊富である。 |
姉妹都市交流に係る周辺情報
提携年月日 | 1994年11月7日 |
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姉妹都市提携の経緯 | 鳥取県と江原道とは、地勢や産業構造も類似しており、特に環日本海時代の拠点づくりという共通の目標をもっていることから1992年から交流を積み重ねており、今後さらに、友好を深めるために友好提携を行った。 |
今後の展望、課題等 | 2005年3月以降、一連の竹島問題により江原道との交流が中断し、職員相互派遣事業も中断されている。現在、鳥取県と江原道の行政レベルでの交流再開は目途が立っていない。しかし、市町村間、教育関係、民間レベル等では交流事業が活発に再開してきており、これまで長年にわたり蓄積してきた交流の成果であると考えている。地域間交流は、あくまでも住民によって支えられるものであるべきであり、鳥取県においては民間主体の交流が着実に広がっているものの、今後は官民がそれぞれの役割のもとで、韓国との交流をますます発展させるよう努力したい。 |
大韓民国江原道束草市との交流
- 鳥取県
米子市 - 大韓民国 江原道
束草市
交流事業の特色
- 1995年10月、束草市と姉妹都市締結以来、民間も含め幅広い交流を実施。
- 1997年4月からは両市の行政システムや両国の伝統文化等を研修の目的として職員相互派遣事業を実施(現在まで13人の米子市職員を派遣、束草市からは9人の職員を米子市に受入)。職員あるいは市民との信頼関係を発展させることにより市民交流への橋渡しを実現している。
- 1998年2月に両市間の中学校で姉妹校縁組を提携し、これまでに相互に40名の生徒がホームスティ等を通じて交流を図る。
- 周年事業における民俗公演団等の相互派遣をはじめ、両市で開催された博覧会の相互視察、環境衛生施設等の行政施設視察の受け入れなど活発な交流を続けている。
- このような様々な行政間交流に後押しされ、さらに、2001年4月に米子空港において、山陰初の国際定期便としてソウル便が就航したことにより、民間交流が一層盛んとなり、今では交流の理想的な姿である民間主導の交流に移行しつつある。
米子市―束草市 学生柔道大会
交流事業の内容
交流事例
- 鳥取県西部地区日韓親善協会と束草市・米子市姉妹委員会との交流
鳥取県西部地区日韓親善協会と束草市にある民間団体「束草市・米子市姉妹委員会」とは、2001年4月に姉妹提携の覚書を交わし、民間レベルでの積極的な友好交流を展開している。2002年8月には、同協会20周年記念事業の一環として束草市で少年柔道交流及び茶道、琴、銭太鼓等の文化団体による文化交流を行う。
また、同年9月には、束草市からゲートボールの関係者を受け入れ、親善ゲートボール大会を実施。さらに、昨年からは中高校生徒交互派遣事業を開始し、7月に束草市から中高校生を受け入れ、ホームスティ等による青少年交流を実施するなど老若男女、分野を問わず、地域に密着した"草の根交流"を推進している。 - 五千石自治会(五千石地区日韓交流実行委員会)と束草市役所野球同好会の交流
束草市派遣職員と市内五千石自治会の住民との交流がきっかけとなり、友好交流が始まる。地域の自治会と市職員が交流するという特異な事例である。2003年3月に同自治会が受け入れ、昨年11月には束草市を訪問し、親善野球大会等を行い、交流を深める。
交流人員
- 鳥取県西部地区日韓親善協会と束草市・米子市姉妹委員会との交流:計363人
- 五千石自治会と束草市役所野球同好会の交流:計38人
米子市の概要 | 束草市の概要 | |
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人口 | 150,430人 | 95,000人 |
面積 | 132.21km² | 104.88km² |
概況 | 鳥取県の西側、山陰のほぼ中央に位置する米子市。東には「伯耆富士」とも呼ばれる国立公園大山、北に日本海、そして西には汽水湖として日本で5番目の大きさの中海という豊かな自然に囲まれている。市の大半は平坦な地形で、東にある標高751.4メートルの孝霊山とそれに連なる大山の山裾、また南部に標高100メートル程度の山が点在する程度である。その一帯には、大山や中国山地に源を発する日野川のほか、法勝寺川、佐陀川、宇田川などが流れ、日本海へと注いでいる。また、大山山麓から湧き出た水は、名水として広く認められている。紀元前からの歴史を持ち、弥生時代の大規模集落跡や古墳時代の遺跡も数多く発見されている。江戸時代には城下町として繁栄し、その城下町に住む商人によって「商都米子」の礎が築かれた。その文化や気質を受け継ぎながら、現在では、高速道路や鉄道、さらには空路・海路の要衝として「山陰の玄関口」の顔も持っている。 | 江原道の東北部に位置し、東は日本海に面し、南は襄陽郡、西は麟蹄郡、北は高城郡に接している。南北軍事境界線から約62㎞南にある。市域西部は雪嶽山(ソラクサン)国立公園が占めていて、韓国国内では有数の観光地である。 |
姉妹都市交流に係る周辺情報
提携年月日 | 1995年10月18日 |
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姉妹都市提携の経緯 | 1993年10月下旬に、友好交流を進める鳥取県と江原道の紹介により、米子市長が束草市を訪問し、交流が始まった。翌年10月、当時の韓 尚テツ市長が本市を表敬された折りに「交流協力促進のための基本協議書」に調印し、以後、交流が本格化していった。1995年10月18日、董文星束草市長を団長とする束草市代表訪日団が本市を訪れ、姉妹都市提携に関する結縁書に調印し、姉妹都市交流が始まった。 |
今後の展望、課題等 | 束草市との交流については、民間団体の活発な交流に支えられ、本来の交流の姿である"市民による市民のための交流"として定着しつつある。今後は、さらに市民による草の根交流を積極的に支援するため、民間交流団体への助成を検討する必要がある。 |
テメキュラ市との国際交流事業
- 鳥取県 大山町
中山国際交流協会 - アメリカ合衆国 カリフォルニア州
テメキュラ市
交流事業の特色
- 交流訪問団の派遣・受入
- 中学校の姉妹校締結
- 活中学生訪問団の派遣・受入
- 小・中学生の絵画・習字などの交換
- 教科書など書籍の交換
- 姉妹都市締結10周年を記念したモニュメントの交換
- 「こどもまつり」への協力・参加
- 訪問団帰国報告を兼ねた会員パーティーの実施
- 地域住民を対象にした英会話教室の実施
交流事業の内容
大山町では、米国テメキュラ市、韓国襄陽郡との国際交流事業や国際交流協会による草の根交流事業など、国際社会への理解と友好親善を図る活動を進めてきた。これは、町総合計画の中でも、現在の活動を継続し、更なる充実を図るよう定められている。特に、中山国際交流協会では独自の活動が活発に行われている。
○ 交流訪問団の派遣・受入
テメキュラ市からは毎年11月に来訪。町民の家にホームステイをしながら武道、茶道、華道、習字、折り紙、そば打ち、グラウンドゴルフなど、さまざまな日本文化を体験するほか、滞在期間中に開かれる大山町文化祭の「わいわいフェスティバル」に参加し、住民との交流を図る。大山町からは、11月末から12月はじめにかけて訪問。ホームステイをしながらテメキュラ市の公共施設のほかワイナリー、老人福祉センター、オールドタウン、町の企業などを訪問。さらに市主催の「クリスマスパレード」に参加し、日本をアピールしながら市民と交流する。交流は、人と人とのつながりが大切であり、大きな力を発揮すると思う。テメキュラ市訪問団は、大人も中学生も、訪問前からe-mailで連絡を取り合い、訪問後何年経っても連絡を取り合っている人が大勢いる。昨年末、訪問時にお世話になったホストファミリーの一人が病気になり、その人とかかわりのある人たちが快方を祈って千羽鶴を折って送ったところ、その病気が一時的によくなり、地元新聞に「東洋の伝統と神秘」として紹介された。その人は、今も闘病生活を送っているが、幸いにも快方に向かっている。
○ 中学校訪問団の派遣・受入
中山中学校と姉妹校のマルガリータ・ミドル・スクールからは、3月下旬に生徒たちが来訪。中山中学校の生徒宅にホームステイをしながら、部活動や日本文化を体験する。この間、ホストファミリーの生徒たちはもちろん、「バディ」と呼ばれる生徒たちも積極的に活動に加わり、なるべく多くの生徒たちとの交流を図っている。中山中学校からは8月に訪問。それぞれ一人ずつホームステイをしながら、マルガリータ・ミドル・スクールのほか市庁舎も訪問し、いろいろな場所でスピーチをする。また、ハロウィン・パーティーでパフォーマンスをするなど、楽しく交流活動を行う。
○ 訪問団帰国報告を兼ねた会員パーティーの実施
毎年12月には、大人の訪問団と中学生、それぞれの帰国報告を兼ねたクリスマスパーティーを開き、大人も子どもも一緒になって、アメリカ文化に浸る。
○ 姉妹都市締結10周年を記念したモニュメントの交換
2004年には、姉妹都市締結10周年事業をそれぞれの町で開催。お互いに記念のプレートを交換し、モニュメントにしてお互いの地に納めた。町内では、モニュメントの除幕式を行ったほか、テメキュラ市でも盛大なセレモニーが行われ、多くの市民が参加した。
○ 地域住民を対象とした英会話教室の実施
地域活動のひとつとして、ALTを講師に招き住民対象の英会話教室を開いている。これは、一人でも多くの住民とテメキュラ市からの来訪者が触れ合ってほしいとの思いからである。事実地域住民は、テメキュラ市からの来訪者へごく自然に話しかけたり、身振り手振りでコミュニケーションを図る人が、小さな町なのに多いように感じる。
○ 「こどもまつり」への協力・参加
テメキュラ市では、毎年6月に日本文化を紹介する「こどもまつり」を開催。今年で5回目を迎えた。「こどもまつり」では、日本から送った子どもたちの絵画や習字などが飾ってあるほか、習字、折り紙、ヨーヨー釣りなどを体験することができる。ステージでは、日本舞踊、太鼓、琴の演奏、相撲のデモンストレーションなどが披露されるほか、会場は日本文化で埋め尽くされる。このまつりには、毎年町から数名がボランティアとして自費で参加している。
姉妹都市交流に係る周辺情報
提携年月日 | 1994年5月13日 |
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姉妹都市提携の経緯 | 旧中山町が、平成2年、町特産のブロッコリー産地として共通点を持つ米国カリフォルニア州のブローリー市と交流を開始。その後ブローリー市近郊のテメキュラ市とも交流の輪を広げ、ホームステイをしながら町民レベルでも交流を続けた。町は、ブローリー市より財政基盤があり、交流に意欲的なテメキュラ市に好感を持ち、協議を重ね、姉妹都市締結に至った。 |
今後の展望、課題等 |
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