多文化共生関係資料
東日本大震災支援活動記録
各地域の事例
■富山県- 災害時外国人対応支援事業
<団体概要> 富山県 観光・地域振興局 国際・日本海政策課 所在地:〒930-8501 富山市新総曲輪1番7号 TEL:076-431-4111(代表) URL:http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1402/
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この事業の実施に至った背景を教えてください
外国人住民の方々については、富山県の地域防災計画上、障害者や高齢者と同様「災害時要援護者」として位置付けられており、災害が起こった際、言語の違いに起因する情報不足や文化や慣習の違い、災害経験の少なさといったことから、特別な対応が必要となります。県としてはこれまでにも、FMラジオを通じた5ヶ国語での防災情報の提供、市町村等向けの「災害時における外国人対応ガイドブック」の作成などを行ってきましたが、先の東日本大震災を契機として、災害時における外国人支援のあり方を見直すべきとの観点から、①行政職員等を対象とした研修により、災害時に外国人の支援リーダーとして活躍できる人材の確保・育成を図るとともに、②外国人住民は「要援護者」であるばかりではなく、外国人支援の大きな力にもなりうるとの視点に立って、日本語を理解できる外国人住民の方々を対象とする研修を実施することにより、避難誘導や情報伝達などのサポートができる人材の確保と育成を進めてきました。
具体的に、どのように実施したのかを教えてください
NPO法人多文化共生マネージャー全国協議会の高木和彦副代表理事を講師に迎え、平成24年7月に3回の研修を実施しました。初回は市町村職員、国際交流協会などの関係機関職員を対象にした研修を行い、2回目は日本語が理解できる外国人住民と災害時の外国人支援に関心のある方への研修を行いました。グループワークでは、「宗教上の理由で豚肉(牛肉)が食べられない。避難所の食事に豚肉(牛肉)は入っていないか」といった相談への対処法などを話し合いました。最終回は合同で災害多言語支援センター設置・運営訓練を実施し、災害情報を「やさしい日本語」などに変換して、それを多言語に訳して外国人に伝える訓練を実施しました。
日時・場所 | 内 容 |
1回目 |
①県・市町村・関係職員向け研修 |
2回目 7月7日(土) 富山県広域消防 防災センター |
②外国人住民向け研修 |
3回目 |
③合同訓練 目的:合同訓練を通じて、県・市町村・外国人住民の連携協力体制を確立 対象:県・市町村・関係職員・外国人住民(①、②の参加者) 内容:「災害多言語支援センターを設置・運営してみよう!」 ・災害多言語支援センター設置準備 (概要説明、役割設定、グループ分け等) ・炊き出しへの参加、非常食体験 ・実際に災害多言語支援センターを設置・運営する (設置、災害情報の選別、翻訳、情報伝達、避難所巡回 等) |
② 外国人住民向け研修 |
グループワーク |
③ 県・市町村と外国人住民 合同訓練(支援センター設置・運営) | |
総務班:避難所、避難者数の把握 | 翻訳班:災害情報の選別、翻訳 |
実施してみていかがでしたか?
3回の研修を通して、行政や関係機関、外国人住民などそれぞれの立場から、災害時の外国人支援の必要性や支援する際の心構え等について、実際の訓練を交えて学ぶことができました。今後の課題としては、実際に災害が起こった際の多言語支援センターの運営は数週間にわたり、被災地域の人材のみでは運営が困難なことから、広域連携の必要性を強く感じました。今後とも関係機関との連携を図りながら、進めていきたいと思っています。
参加された方からは、次のような感想を頂きました。
・災害のとき、気をつけなければならないこと、困ったときどうすればいいか等、
いろいろ勉強になりました。(ネパール)
・富山県は大きい災害が少ないが、可能性はあります。
少しでも防災を理解したほうがいいと思う。/研修はありがたい。(ブラジル)
・いい勉強になった。今後も参加したい。
/外国人として、心が温かい気持ちになった。(中国)
・今後も引き続きいろんな人に参加するよう呼び掛けたい。
/多言語支援センター設置・運営は初めての体験でした。
いろいろと配慮が必要で、大変なことだと感じました。
/災害多言語支援センターの設置の必要性が分かった。
運営スタッフの集め方、連絡の仕方が今後の課題だと思った。(日本)