多文化共生関係資料
東日本大震災支援活動記録
各地域の事例
■東京都 荒川区- 避難所を想定した「コミュニケーション支援ボード」の作成
<団体概要> 東京都 荒川区 所在地:東京都荒川区荒川二丁目2番3号 設立:平成元年1月25日 TEL:03-3802-3111(代表) URL:http://www.city.arakawa.tokyo.jp/
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この事業の実施に至った背景を教えてください
区では、昨年3月の「東日本大震災」を契機に、大きな災害が発生すると、外国人住民の言語レベルや障がい者の障がいの状況によっては、必要な支援を受けるためのコミュニケーションをとることが難しかったり、自力での移動が困難な場合が想定されるとして、支援用品や支援方法等の検討を行ってきました。実際に、東日本大震災では、避難した外国人や障がい者が生活をする上で必要な情報がなかなか得られないケースもありました。この中で、コミュニケーションをとることに困難のある方々が、災害発生時などの緊急事態に際して、どのように自分たちの意思を伝えるかを支援団体の方々と検討してきました。
この話し合いの中から、災害時だけでなく、日頃から利用できるようなものとして、意思確認や要望の内容を絵カードにし、それを指さして相互に意思を伝えられるコミュニケーション支援ボードを製作することにしました。
具体的に、どのように実施したのかを教えてください
コミュニケーション支援ボードには「どうしましたか?」「何がしたいですか?」という問合せに「はい・いいえ・わからない」などの意思の確認をするものや、飲食の要望、衣類(男女別)の要望、体調の確認、家族や住所を聞くなどの個人情報を尋ねるもの・その他など20種類のボードでできています。一番の特徴は、災害時に携帯しやすいこと、利用する時に選択しやすいよう情報量をコントロールするため、てのひら手帳サイズにしたことです。
そのほか、避難で重要な食品アレルギーの確認、避難所で言葉に出しにくい女性用品に配慮した絵カード、ホワイトボードマーカーで書き込むことのできる時刻や白紙ページもあります。
コミュニケーション支援ボードの製作にあたっては、実際に障がい児の療育にあたっている職員や言語聴覚士がプロジェクトチームで避難所の生活を想定して検討しました。絵カードのイラスト作成にあたっては、こどもの療育などの支援活動を行っている公益財団法人明治安田こころの健康財団、セィフティーネットプロジェクト横浜の協力いただきました。また、ボードに書かれた英語、韓国語、中国語の文章については、それぞれの言葉に詳しい区役所の職員が担当しました。
コミュニケーション支援ボード(表紙) |
コミュニケーション支援ボード(ページ例) |
実施してみていかがでしたか?
出来上がったコミュニケーション支援ボードを見て、障害者団体の人達は、「日頃から使って慣れることで、いざという時に役立つ」「手話ができないボランティアにも意思を伝えることができる」「言葉を発することが難しい方もコミュニケーションがとれる」「点字シールを貼ることで視覚に障がいがあっても活用できる」「あら坊 も書いてあって絵が可愛い」など、様々な感想をいただきました。区では全国初となるこのコミュニケーション支援ボードを5000部製作し、今後、区内の障がい者、障害者福祉施設、福祉避難所、ボランティア等に配布をしていきます。
荒川区のキャラクター「あら坊」